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許した形跡

しごと再開してから、すっかり臆病になってた。
人目に触れることってこわい。
だってどんなに気をつけたつもりでも、やっぱりわたしはやらかすから。
ありきたりな言葉はトゲのない言葉なんだろうとか。なぜカンチガイしたか。
王様の耳はロバの耳。
心の赴くままにことばを吐き出すなら、あなたそれは井戸に向かって吐きなさいよと。ええ。自分に言いたい。
いや、言い続けてるんだけど。明日にはもう忘れてるんだよきっと。
王様の耳じゃなく、わたしの頭がロバだと。
ロバはかわいい。ロバに失礼だろとか。
あーほらまた。臆病になる。

わりと能天気な、ハッピーなことばかりを言ってるつもりで
苦しいという感想を聞いてやっと、ああまた間違えたんだなと気付く。
自分では、どこがどう苦しめたのかがわからないから病は深い。
ずっと、
曖昧でふんわりした、とらえどころのない話ばかりしてきたつもりでいた。
いる。
こんな、「つもり」のままで、ひとを苦しめたままで、いいのか?
いかんだろ。

ちゃんと確認しよう。



びくびくして。自分の文章を少しだけ、読み返してみた。
ここかな、これだな、と、いちいち思い当たった。
そして。
ちゃんと、考えて考えて、でもそれでもどうしても書くのを止められず書いていたことがわかって、ちょっと泣けた。

そうか、わたしはわたしに、この言葉を吐き出すことを許したんだな。

じゃ、しかたないか。
それで世間から責められるなら、もうほんとうに、どうしようもない。
だってもう一度その時間に戻っても、同じことをわたしはやらかす。
腹をくくって、断罪されよう。

発した言葉のすべては、わたしがわたしに発するを許した形跡です。
ごめんなさい。愛しているよ。
そしていつか、誰からも顧みられない深い穴のなかで、とんでもなく奔放に
ことばのてあしを伸ばすぜかならずいつか。
そんなことを夢見たりする。
それはきっと、
いま書いているものと絶対ちっともこれっぽちも見分けがつかない。
きっと。

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