見出し画像

医療従事者は"悪"だと言う風潮

コロナ禍において散々言われてきている事が、
医療従事者に対しての誹謗中傷。

医療従事者は「コロナに感染した人の治療やケアを行う立場でありながらも最も感染しやすい所にいる」上に、感染すればたちまち病院内にも広がってしまう所謂クラスターになりかねない、そんな所にいる。

私は日々のニュースやTwitterで、例えばドラッグストアの店員や、例えば病院に勤めている方、そんな人たちの言葉を見ていた。
マスクがないと怒鳴り散らされ、アルバイトをやめていく人が多いだとか、
院内感染が広まると「病院の対応が悪かった」などと報じられ、やってらんねえよ!と声をもらす人、万が一を考えて子供を毎日抱きしめ、好きだよと言い続けたり、遺書をかいておいたり
、様々だ。

何気ない、心ない言葉の一つ一つはこうして誰かに突き刺さり誰かが悲しむ。
いう側の気持ちが全く分からないというわけではないが、
今一度、自分の振る舞いを考えてみた方が良いのではないだろうか。

自分や自分の大切な人が万一の時、助けてくれるのは医療従事者の方々だ。
感謝こそすれ責められる事等、あの当時は考えもしなかった。

北播磨総合医療センターの記事


ネット上に実名さらされ、誹謗中傷「父は犯罪者扱いされた」 遺族が語る、今の思い

今日見たのはこの記事。かいつまんで話すと、
この医療センターで院長をしていた方がコロナに感染し、休診。
ネット上で実名を晒され、院長が病気を病院に持ち込んで休診させたとか、
ウイルスをバラまく殺人鬼とか、そんな風に言われたらしい。
当然それは近所にも広まるわけで、家族は外にも出にくかったと。

人々を助ける為に働いている人に頼り、いざその人が感染すると、
手のひらを返すかのようにして遠ざける。
私はこの記事を見て「まだこんなことをしてる奴がいるのか…」と心底悲しくなった。

例えば病院側がしっかり対策せずにずさんだったとか、院長が実は夜遊びばっかりしてて感染してもそりゃそうだ、って言われるような、そういった事実があったとするなら言われても仕方ないように思うけれど、でも別にそういうわけではない。ただ「院長が感染した」という事実だけが彼らをそうさせている。
「感染者の近くにいると感染する、最悪死に至る」事もあるのだから、無論遠ざけたくなるのは分からないでもない。
でも、だからといってわざわざご家族に対してこんな心ない言葉を投げつける必要性があっただろうか。

以下は記事内にあった家族の言葉。

 長女「70代医師と匿名で報道されたが、父だと推測できたので、知らない人からや無言の電話が鳴り続けた。電車(実際は車)で病院へ行ったとされ、インターネット上では、ウイルスをばらまく殺人鬼などと書き込まれた。風俗やパチンコでもらったと言う人も。院長が病院にウイルスを持ち込んで業務を停止させるなんてお粗末とも言われた」
 妻「ネット上に実名をさらされ、当時は感染するだけで犯罪者のように扱われた。近所の人もみな知っており、(濃厚接触者として)自宅待機の2週間が過ぎた後も外を歩くのが怖く、買い物は車で遠くに出掛けた」

こんな悲しくなるような記事の中の後半、入院中のやりとりもあった。

 長女「3月9日に入院し、翌日、急に容体が悪化して人工呼吸器をつけた。鎮静剤を入れるので意識がなくなる。万一を考えてLINE(ライン)で『大好きだよ、ありがとう』と伝えた。父も『心から愛しています。ほんとうに幸せだよ』と書いてくれた。家族はほとんど話していないし、まさか亡くなるとは思っていなかった」
 妻「私も、しばらく入院して帰ってくるとのんきに考えていた。主治医から話しますかと言われ、夫が『念のためありがとうな』と言ったので、私も『念のためありがとうね』と。それが最後の言葉になった」

私はこれを見て、自分の周りの大切な人達を思い浮かべた。
今回のコロナを受けて、私は人が人に対する気持ちや反応、自分の周りにいる人たちと過ごす事の大切さや、「当たり前だと思っているもの」を当たり前だと思わないように意識したり、色々と考えさせられた。

いつ何が起きるか分からない今の時期、1日1日を一生懸命生きていかなきゃいけないな、と思った。大切な人たちへ対する気持ちもかなり変わったように思う。
そして、今も人々を助けてくれている医療従事者の方々へ改めて、
感謝したいとそう思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?