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宇宙童話 記憶保管所 記録係

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惑星に1万年以上前から伝わる伝達方法《便り石》便り石に込めた想いを読み解き、想いを写し込むことが出来る少女の物語
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記事一覧

宇宙童話 記憶保管所 記録係⑦ クリスタルの洞窟

 父さんが帰ってくる。  夜空を眺めながら、いつものように「おやすみ」を伝えた。 あと、…

宇宙童話 記憶保管所 記録係⑥ 石職人と磨かれた石

 工房までくると、ドアノブには《お休みです。また来てください》という看板がかけてあった。…

宇宙童話 記憶保管所 記録係⑤ 惑星アーザンヌの預かり石

 惑星管理局に登録した翌日から読み解きのお手伝いが始まった。とても楽しいお仕事だった。 …

宇宙童話 記憶保管所 記録係④ 読み解きのテスト

 便り石は誰でも読み解くことができるわけではないんだよと小さい頃、父さんが兄さんに話して…

宇宙童話 記憶保管所 記録係③ 兄と教え

 晩ご飯の後、兄と一緒に便り石の読み解きを母から教わる。 「読めた?」 「ううん……」 …

宇宙童話 記憶保管局 記録係②  便り石工房

 わたしが一番お気に入りの場所。 それは《便り石工房》  家の近くの川は便り石に適した石…

宇宙童話 記憶保管所 記録係① クリスタルの板

 庭に置いてある箱を開けると小さな石が入っていた。 久しぶりの便りだ。わたしはその石を握りしめて家の中に入った。 「便り!便り!誰からかしら?」 「この時期には珍しいわね」 お皿を洗う母さんはわたしに読んでいいわよと言ってくれた。 わたしは石をテーブルに置くとゆっくり眺めながら人差し指と親指でつまんだ。 「ナイル、そうじゃないわ。中指よ」 「あっ、そうだった!」 もう一度、石をテーブルに置く。そして、中指と親指で優しくつまむ。 「集中して、あなたはまだ慣れて