2023.4.15 脳内にて

2階の上の階に、小さな部屋があった。
小窓と、シングルベッドとカーテンがあるだけの、殺風景な部屋。
昨晩のことだから、彩もよく思い出せない。
ベッドの上には、幼馴染のアンディ、窓際には、弟の、確かウィリアム?だったっけな。少しばたつく足を、小さな両手でくるんで上目で私を見上げていた。
もう何年も、手のひらどころか
顔すら合わせていないのに。
2人が私を見つめていた。

そこから始まっていた。

アンディとウィリアムと、私と、コウキは、朝も昼も、時には夜だって一緒に過ごしていた。
ミツダのおばちゃんも、エッちゃんも私らを必死に探していた。それでも私らは、鬼ごっこしてるみたいに、息を切らしながら、はしった。
笑いながらはしった。
転んで擦りむいたら、手当てをしてあげる。
はしれないくらい疲れたら、おんぶしてあげる。
友達って、おおきくなると、
友達じゃなくなることもあるんだ。
私らがそうなるなんて、あり得ないはずだけどさ。
だから、明日もまた、4人であそぼう。

どうしてだろう。
もうずいぶんあっていないのに、
あの日、日が暮れるまで山の中を探検した
終わらないと思っていた夏の日を、
思い出すのは。

小さな部屋には、もう戻ることはできなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?