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株式会社Growth Camp を始動します

こんにちは、樫田です。

この度、株式会社 Growth Camp(グロースキャンプ) を創業して活動を始めたので、そのことについて皆さんに少し知ってもらえたら嬉しいな、と思いこの記事を書いています。

よければ、しばしお付き合いください。

誰がやっているのか : 創業メンバー

Growth Campは現在、創業者のふたりだけの小さなチームです。

一人目が僕(樫田)で、前職メルカリではData Analystチームの責任者をしていました。

専門とする領域はデータ分析 / 事業戦略 / プロダクト改善です。サービスの本質はなにか、を考え、それをフレームワークに落とし込んだり数値化したりするのが得意です。

樫田 光 
twitter / note / podcast

外資系戦略コンサルファーム、分析専業会社などを経て、2016年にメルカリ入社。メルカリでは分析チームの責任者を務める。4年間の在籍期間を通して、データ分析を通したプロダクト開発、CRM、事業計画・事業戦略、マーケティングなどの幅広い領域で企画立案と意思決定の支援を行う。
2020年メルカリ退社、Growth Campを創業。

[メディア掲載]
Forbes - 意思決定をデザインする
Seleck - メルカリの「意思決定」を支えるデータアナリストImpress - メルカリ流 Data Analytics 実践のススメImpress - メルカリ流 Data Analytics 実践のススメ
ほか多数


もうひとりが山代で、前職は僕と同じくメルカリに在籍し、Marketing & Growthチームの責任者をしていました。

得意とする領域は、マーケティング全般、コンセプト/クリエイティブ開発、CRM、グロースキャンペーンなどです。

中長期のブランディングから新規顧客獲得まで、マスとデジタルの統合してマーケティング戦略を設計することや、目標に対してコツコツ数字を積み上げてトップラインを作るのが得意です。

山代 真啓 
twitter

2007年、P&G Japan マーケティング本部に入社。紙おむつブランド「パンパース」の日本およびアジア市場のブランドマネージャーとして従事し、ヘアケアブランド「パンテーン」ではマーケティングを牽引。

2017年、株式会社メルカリに入社。 TVCM・獲得型デジタルマーケティング・CRM等、IPOまでのマーケティング全般を統括。2018年からは株式会社メルペイにて、マーケティング・グロース責任者として、事業の垂直立ち上げを行う。
2020年にメルカリ退社、GrowthCampを創業。

[メディア掲載]
急成長を約束する“グロースハックの教科書”本当のデータドリブン・マーケティング


僕たちは、メルカリという会社の中で一緒に働き、サービスの成長のためにともに汗を流してきました。

そんなふたりが一緒に創業したのが「Growth Camp」です。


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樫田 / 山代

なにをしているのか:ざっくりと

Growth Campは、世間的に平たく言うとコンサルティング会社ということになると思います。つまり、契約した他社に対して事業のアドバイスを提供する、というモデルをベースにしています。

しかし僕たちは、自分たちを「コンサルティング会社」とはあまり思っていません。事業モデルも、単に月額いくらをいただく、いわゆるコンサルティングフィーモデル以外の選択肢なども用意しています。

とりあえずは、事業会社の支援する強力な外部パートナー、という風に認識してもらえれば十分です。なんと呼ばれるべきかは、時間とともに定まっていくと思います。

現在の活動内容については、文章の後ほどでまた簡単に触れさせていただきますが、その前にまず、もう少し僕たちの会社についてイメージを持ってもらうために、僕たちが注力している領域に関するキーワードをふたつ紹介させてもらいます。

・グロース
・意思決定のROI


僕たちは、このふたつの領域を軸として、スタートアップからメガベンチャークラスまでのIT企業に対して、社外から支援をする仕事をしています。

1 / グロース(Growth)

1つ目のキーワードが「グロース」です。

僕たちGrowth Campは、その社名が表す通りですが、グロースという領域に賭けています。

僕たちは、メルカリ/メルペイでもサービスの成長のために力を尽くしてきました。サービスの成長のために必要な要素は数多くありますが、その中でも特にProduct / Marketing / Analytics の3つが重要な柱と考え、これらのファンクション、およびそれらを駆使して行われる、サービス成長のための活動を総称して「グロース」と呼んでいます。

かつて、ジェフ・ベゾスはこのように言いました。

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昔は30%の時間でサービスを作り、70%の時間をその喧伝のために使った。今やそれが逆転している

これは、ITの世界においてプロダクトづくりとマーケティングの主従関係を表す、印象的な言葉だと思います。

しかし、ITの世界でも時代が下るにつれ、既存のサービスの単純なデジタル化から一歩進んだ「新たな市場創造」が重要になってきていると感じます。これは古来よりマーケティングが担ってきた領域と言えます。

サービスを成功させるためには、もちろん優れたプロダクトを持つことは前提ですが、それだけでは不十分になってきていると感じます。マーケティングとプロダクトを統合したサービスの成長戦略、つまり「グロース」という考え方がより重要性を増していると考えています。

それは、アメリカのテック界隈でグロースという概念が非常に一般的になっている(※参照)ことにも現れているのですが、何よりも僕たちがメルカリでの実務での経験を通して学んだことでもあります。

グロースにおいて登場するメインの役者は3つだけであり、それはLTVとCAC そしてVolume です。


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"Growth Pyramid"の構造(Growth Camp社提唱)


LTVは本質的には「ユーザが金銭対価を払っても良いと思う価値の創出」に関する活動から生まれ、基本的にはプロダクトの世界の話、そして、CACはプロダクトをユーザーに届けるために必要な営業/宣伝活動から発生し、これはマーケティングの世界で起こる話です。

このLTV-CACの両方をバランスさせて綱引きをベストな形で行うために、グロースにおいてはマーケティングとプロダクトは融和して動くことが運命づけられています。そしてこれらの数値を客観的に可視化して正しくPDCA活動を回すためのデータ分析が必須となります。

このあたりについては以前に「グロースについての9つのPrinciple」に詳しく書いたので、 興味があるかたはぜひ読んでみてください。

上述のベゾスの発言から15年が経ち、新世代のスタートアップのひとつであるAirbnbのグロースチーム興味深いプレゼンテーションで下記のような発言を残しています。時代が変わり、ベゾスの提唱した「30% vs. 70%」の力学はまた変動しつつあるといえるでしょう。

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市場の問題:グロース人材の欠如

僕たちふたりのコンビネーションには、グロースの分野においては特にユニークな強みがあると考えています。

船旅を例にふたりの役割の違いを表してみたいと思います。

僕(樫田)は最低限海に出れる船を整えることと、そして羅針盤の機能を用意することが得意です。(プロダクト改善や事業の戦略、KPI設計など)
そして、船出ができるようになり行く方向も定まったところで、山代が得意とする船の帆に強力な風を送り込む役割(大規模なマーケティング投資)の出番となります。

また、「最低限」だった船も、余裕ができたときにはどんどん整えていく必要があります(Growth Hack的なPDCAやCRM戦略など)。ここはふたりでの共同作業になる部分が大きいです。樫田は改善点を指摘して設計図を引き、山代が現場を指示して修理を推進する役割を担います。

グロースは非常に幅広い領域に関する知見とアクションが必要ですが、僕たちが二人で組むことによってカバーできる範囲はかなり大きいと自負しています。

市場を見渡してみると、このグロースに領域には必要な人材が十分存在しているとは言い難い状況だと、僕たちは考えています。グロースがスタートアップのその後の命運を大きく分けるにもかかわらず、です。

僕たちふたりは、グロース分野に強みを持つエキスパートとして、この問題を解決したいと考えています。そして、それを敢えて「会社の外から」という形で行おうとしています。


2 / 意思決定のROI

なぜ会社の外からなのか?
これは、2つ目のキーワード = 意思決定のROI が関わっています。

「意思決定のROI」という言葉は僕たちの作った造語のため、耳慣れない言葉かもしれません。

しかし、全てのビジネスにおいて間違いなく重要な概念であり、さらにこれから重みを増すミームであるはずだと考えています。その想いから、この記事に先立って 意思決定のROIという考え方 という文章を公開しています。


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良い意思決定の構造(Growth Camp社提唱)


僕たちはビジネスにおいて「意思決定」こそが最重要な行為、最需要なリソースであるという立場を取っています。

僕たち自身の経験でいえば、山代はP&Gやメルカリでマーケティング・グロースの責任者として、グロースの施策や予算に対して意思決定をする立場、僕(樫田)はデータ分析を中心として、事業上のより良い意思決定をサポートする立場として、事業の現場でコミットしてきました。

FoundXの馬田先生の資料「やはり俺のスタートアップの意思決定はまちがっている」 にもある通り、「資源の乏しいスタートアップはFocusと意思決定が必要」であり、また意思決定は情報とプロセスを正しく扱うことで明確に改善することができるはずです。

馬田先生の資料の中では、意思決定の正しいプロセスを持つことで、その決定の精度が約7倍になるという研究事例を紹介しています。

グロースにまつわる多くの意思決定は、外部のエキスパート人材を社内の意思決定のプロセスに並走させることで、飛躍的に良化できる可能性が高いと考えています。

多くの企業が意思決定についての問題を抱えており、多くは「遅すぎる」か「早すぎる」ことでしょう。遅すぎる、の極地が「決定されない」です。

意思決定のROIという考え方のフレームワーク(6つのファクター)に則って考えるならば、特に「知識と権威」「分析」「情報の統合」「プロセス」の4つについては、多くのスタートアップにとっては「重要だとは気づいているが、手に入れられていないもの」であるケースが非常に多いはずです。

僕たちはこれまで得てきた経験を元に、クライアント企業に対してこれらのファクターを適切に提供したいと考えています。

世に多くある、外部からの支援を謳う企業が提供しているものの実態は、"作業によるアウトプット" か、 "なんらかの知識" のどちらかにほぼ分類されると思います。

僕たちは、そのどちらだけでもなく、事業上の(特にグロース分野に関する)「良い意思決定がされること」にコミットしたいと考えています。逆に言えば、そのために必要なものは何でも提供します。

知見の共有、分析、調査、フレームワークの創出、会議の主催、第三者の巻き込み....そのほかなんでも、です。そして、「意思決定」自体ではなく「その意思決定が正しかったことにする」ための実行部分についても、僕たち独自のやり方で関わっていきます。

これは、(実際にやってみるとわかるのですが)単に作業リソースや情報を提供するだけの活動とは大きく異なります。僕たちは、そこに対して新たな価値と自分たちのユニークネスを見出すことができると確信しています。


現状の活動

Growth Campは創業して間もないチームですが、縁に恵まれ知古・紹介を経由として既にいくつかの(そして僕たちとしては十分な数の)IT企業のみなさまと一緒にお仕事をさせていただいています。現状ではグロース領域との相性の良さから、いわゆるIT企業にフォーカスを絞っています。

クライアントは、アーリーから、2桁億円を調達した勢いに乗っているミドル、ポストIPOのメガベンチャーまで幅広く、事業領域も様々です。

組織のサイズなどはバラバラですが、共通しているのは、どの企業においても「グロース」に関わる領域で「意思決定」から「実行」まで横断的に支援しているという点です。

僕たちは1社1社のカスタマーサクセスに集中するため、必要以上に多くのクライアントとは同時に関わらないという方針を持っています。

※ 社内では"N-Stones Rule"と呼んでいます。Nは同時に関わるクライアント社数の上限で、現状ではかなり少ない数字をおいています。

そのため現状では新規のクライアントサポートについては、しばらくのあいだ開始タイミングお待ちいただいている状況となっています

(すみません……!このような記事を出しておいて恐縮ですが...!)

ですが、ディスカッションやご相談などについては常にオープンでおりますので、

・我々からの支援に興味のある企業さま
・また、グロース支援のために我々と連携できる可能性のある企業さま

がいらっしゃいましたら、お気軽にご連絡いただければと思います。こちらのフォームよりお問い合わせお待ちしております!

終わりに

長文にお付き合いいただきありがとうございました。

会社としてはまだまだこれからですが、自分たち自身も試行錯誤のプロセスを回して、変化を恐れず、時には大胆に方向を変えながら進んで行きたいと思います。グロースとは絶え間ない試行錯誤と判断、意思決定のサイクルの繰り返しなのですから。

謝辞
創業にあたって、コーポレートロゴは友人でデザイナーのスワンさんに作ってもらいました。

この記事の公開にあたって、広報観点での助言などをフリーランスパブリシストの田山慶子さんにご協力いただきました。

ポートレートは Photographer Shunichi Oda さんに撮影いただきました。

また、今回の創業に当たりいろいろな面で多くの方に助言をいただきました。この場をお借りしてみなさまに深くお礼を述べさせていただきます。


いつも読んでくださってありがとうございます。 サポートいただいたお代は、執筆時に使っている近所のお気に入りのカフェへのお布施にさせていただきます。