ガンダムSEED FREEDOMをみたある女オタクの人生語り
ガンダムSEED FREEDOMを見てきました。
公開2日目に見て、その後別々の映画館で2回見て、4DXでもう1回見て、応援上映回は外れました。「月光のワルキューレ!! お前は美しいよーっ!!」とか言いたかったなあ!
…なんで今さら感想書いてんの? というと、Twitter(X)でこういうツイートを見たからです。
むしろ私は男性ファンこんなにいたんだってびっくりしたよ!! 今までどこにいたんですか!?
昔はMSしか見る所ないってすごい虐められたからね!!!
…げに恐ろしきはエコーチェンバー。いや当時はそんな言葉ありませんでしたが…。ネットで見える範囲や世界は…狭いのである…!
確かに男性ファンからも女性ファンは見えないかもなあ…と思ったので、書いておいたほうがいいかしら…という気持ちで書き始めました。冷静な感想はみんな書き尽くしているだろうし、当時の気持ちを中心にした居酒屋でのぐだぐだ話みたいな形で…と思って書いたら人生の話になった。私…そんなにSEEDが好きだったの…?
この先あまりに人生すぎなので言わずとも伝わると思いますが、女オタクと言っても千差万別ですのでサンプルの一つとして、Twitter(X)の垂れ流しまとめとして「へえ~」と思う程度のものとしてお読みください。私、たぶん当時大手だったアスキラが一切刺さらなかったからメインストリームでは…ないし…。
また、あまりに人生すぎてリアル知り合い(親兄弟)にバレる可能性が高かったので、年代やらなんやらをずらしたり脚色して書いてる部分があります。
追記:本編アニメを改めて見返したり調べたりせず書いている(居酒屋性を増すため)ためアニメの記述けっこう間違ってます。すまねえ。
ガンダムSEEDにまつわるネットまわりのおもいで
ガンダムSEEDといえば治安最悪インターネットは切っても切り離せません。現代よりもはるかにインターネットがアンダーグラウンドだった時代、ガンダムSEEDは集団ヒステリーの様相で叩かれまくっていました。
まあ、展開がセンセーショナルな割りにガバでデリカシーがなく、雑なオマージュで1stガンダムが好きな人の神経を逆なでしまくっている…松井優征の言うところの防御力のない作品なので、現代でも普通に治安の悪いファンダムになると思います。そこはしゃーない。
ただあのヒステリーぶりは、今でいうインフルエンサー的な立ち位置だった超大手テキストサイトでのアンチ記事が牽引していたなあ、という印象です。それが膨大な知識に裏打ちされた面白い文章だったのでより一層、「ツウのオタクはこれを叩くもの」的なブームが生まれ、コントロール不能な所まで行っていた、というか…。
そういう風潮・ノリの強いところでは、SEEDという作品だけでなく、SEEDが好きなファンも「ガンダムのニワカ」として叩いていい、叩かないやつは軟弱者である…という空気がありました。特にニワカの代名詞とされた女性ファンへの当たりはとても厳しかったです。女とバレたら(スレで認定されたら)最後、同じようにSEEDを擁護してた人からも滅茶苦茶に撃たれました。あんなに一緒だったのに、夕暮れはもう違う色。コーディネーターと言われたキラ、こんな気持ちだったのかな。
私はただ、初めて作ったブリッツをもっとかっこよくしたいけど、黒いのに墨入れってできるの? って聞いただけなのに。ハサミと爪切りで作ったのがそんなにダメだったのかよ! 男ならそれくらいのことボンボンで読んでるから知ってるだろうから女、でも女が難しいブリッツを作れるわけがないからこいつは嘘つき、なんだそれ意味わからん! ガンプラは接着剤いらんしハサミと爪切りでも余裕で作れるぐらい簡単だろテメエが不器用なだけじゃ要塞落としたブリッツが一番強いしガンプラのブリッツはランサーダートがちゃんと動いてカッコイイだろうが! と暴れて背中から撃ってきたやつをアク禁に追い込みました。
…まあ、このように私はキラでなくジェネシスを撃つタイプだったので事なきを得たのですが(?)、傷ついてジャンルを去る人も多かったです。そのため女性ユーザーは2chや大手テキストサイトの話は漏れ聞きつつ、個人ウェブサイトを拠点にする動きをしている人が多かったように思います。私もニワカと叩いてきたくせに私がガンプラちゃんと作ったと認定したら私を撃った下手人だけを始末して姫扱いしようとしてきた本当に撃つべき邪悪を撃てなかったので、SEED好きの友達と合同のウェブサイトを作って小さいコミュニティで過ごしていました。未だに黒い機体を墨入れ程度の手間でちょっとかっこよくする方法は…わからないまま…。
ガンダムSEEDの思い出(愛しい女の記憶)
ネットのことは収集がつかないので作品の思い入れの話します。
ガンダムSEEDは、私が初めて見たガンダムシリーズ…というか、初めて見たロボットアニメでした。中学生の頃です。…正確には初めて見たのは魔法騎士レイアースじゃねえ? という気がしなくもないですが、私はあれをファンタジー変身美少女アニメだと思っていたのでノーカンとします。
当時すでにジャンプの封神演義でオタクになっていたこともあり、それはもうすごい勢いでSEEDにもハマりました。こう書くとBL系と思われがちなのですが、その時はBLはそんなに好きではなく、ジャンプ考察系からテキストサイトに流れて上記のようなトラブルにあう…というルートでした。
正直、当時はロボットの区別は色でしかつかないレベルで、一番の興味はキャラクターでした。心を揺さぶられたのはフレイ・アルスター。そして一番好きだったのはカガリ・ユラ・アスハです。
そのころはうぶな思春期の小娘だったため、フレイの壮絶な覚悟と行動があまりにも衝撃的だったのを覚えています。嫌な性格の女ではあったけど、お嬢様だった女の子が、己の性という一番大切なものを武器にする。それほどの覚悟を見せたなら善悪とか愚かさはともかく、一目置くしかない。オタクデビューが封神演義だったので人間をハンバーグにして親に食わせるぐらいしないと悪女ではないと思っていたのもある。それでいて私はうぶな思春期の小娘だったので、どれだけ追い詰められたとしてもちんちん欲に負けるヤツはだめだな…とキラに厳しい判定を下していました。本当に可哀想だし同情の余地はあるけど追い詰められてもちんちんは元気じゃんみたいな…。女子中学生厳しい。
そしてカガリ。正直に言えば馬鹿な子なんですが、悩んで黙り込んで、腫れ物を触るような息の詰まる人間関係の中、ストレートに感情をぶつけて、否定されても何度だってぶつかりに行く女の子は魅力的でした。
またも自分語りになりますが、私はいかにもパッとしない、田舎に住んでいる小太りで運動できないメガネでお下げのオタクでした。その上、将来はITエンジニアになると情報工学系に進もうとしていたので田舎でのヒエラルキーは推して知るべし。両親はな~んにも気にせんで好きな勉強し!と暖かく応援してくれていましたが、親戚や教師に進路の話をすると「女の子なのに?」酷いときは「あなたは(女の子らしい気遣いができないし)それがいいかもね」などと言われました。悪気がないのがたちが悪いところです。
そんなモヤモヤとした怒りを抱え、ネットでも前述のような理不尽な叩きに遭う時代、カガリはとても輝いて見えました。天下のガンダムで、可哀想だったり悲惨な死に方をして戦争の悲しさを表現する役でも、誰かの愛人枠でもなく、主役機と同じデザインのストライクルージュに乗って出撃し、力の及ばないところがたくさんあっても頑張ってくじけず、それでいてとても可愛いヒロインでもある。ずっと可愛い。
そして何よりアスランとの関係がよかった。難しいことばかり考えて悩んでいる彼から、女の子に照れちゃう普通の子の側面を引っ張り出し、弱音をはかせ、いざキラと和解するときにまごまごしてたのを、二人まとめて抱きしめる。そんなに距離が近いのにいざアスランにキスされるとカチカチになっちゃう。可愛い。カガリ可愛すぎる。あとアスランは両思いでもキスより先のことしないからえらい(貞操観念に厳しい女子中学生)。
そうやってアスカガ最高…と思いながらも、このまま幸せには終わらない気がしていました。アスランは悲しいすれ違いと敵対の末にようやくキラとともに歩めるようになったけど、父親のことをどうやっても止められそうになかったので。難しいことばかり考えて極端に走るアスランは、そのまま死んでしまうのではないか。どれだけ人気があろうとメインキャラだろうとストーリーの上で死ぬべきときには死ぬものだと封神演義で学んだ。セーラー戦士もうさぎちゃんを残してみんな死んでしまった(原作)。
そして最終戦…覚悟していた通りナタルも、フラガも…そしてフレイまでもあっさりと死んでしまった。アスランは父を止められず、殺すことすらできなかった。もうジャスティスを自爆させるしかない。
そうか…さようならアスラン…。
そこに駆けつけるカガリ!!
「逃げるな! 生きることが戦いだ!!」
一番好きなセリフです。本当にかっこよかった。あの子はずっと諦めなかった。夢中になって一年追いかけた彼女が、ギリギリで最悪のエンドのフラグを折ってくれた。本当に嬉しかった。
悲しいけど、世界はめちゃくちゃだけど、大事なものも取りこぼしてしまったけど、でもすべてを失うことはなかった。よかった。大変だったけど、最後まで見てよかった!
ガンダムSEED DESTINYの思い出(くるしみのきおく)
もうここで終わっていいですか?
前述でカガリのどこがどれだけ大好きだったかを書いたので、DESTINYが辛かったねというのはすでに伝わっていると思うのですが、DESTINYはDESTINYで人生に影響を与えたキャラが…おりまして…。
シン・アスカっていうんですけど……。
…やっぱもうここで話終わってもいいんじゃね? と思いつつ…。この先はとっちらかっているので「傷が深いんだな…」と思ってください。
これまでちょこちょこ個人の話をして察している人もいるかもしれませんが、私は結構苛烈なタチで、特に思春期には将来への不安や劣等感や理不尽を怒りに変えるタイプでした。
またあの頃の1歳2歳の差は本当に大きく、年齢が近いキャラというのはそれだけで感情移入度が大きく違いました。フレイにすごくびっくりしたのもこれが大きかったと思います。
ぶっちゃけ「HGに恋するふたり」の主人公まんまの境遇と思っ…いやあの主人公はとてもきれいで優しいので私と同じではありません。あんなきれいなオタクになりたかったです。
ともかく…シンはキラのように超常的な強さや繊細な優しさはなく、アスランのように大人びていたりせず、怒りで暴走して力に溺れ、増長するクソガキだったので、まあ人気が出づらいのは理解していました。ただ世の中の上手く行かなさ、苦しみの表現できなさ、めちゃくちゃに暴れながらも誰かに受け止めてもらいたい甘え、それらが本当に理解できたし、その上で彼は守りたい、繰り返したくないという真摯な気持ちも持ち合わせていた主人公でした。私には年の離れた仲のいい妹がいたので、より一層共感していたように思います。
それに序盤の主人公っていうのはダメなとこ多く描かれがちだしね、大人気のキラだってフレイのおっぱいに負けてAAの空気最悪にしたし(キラにやや軟化したがまだ厳しい女子高生のすがた)という余裕もありました。
そんな余裕、1クールも持ちませんでしたが…。
こう…比較的扱いがマトモな序盤も、メインストーリーを実質アスランが回していて、怒って暴走しているところばかりクローズアップされ、肝心のその暴走の原因(トラウマに追い立てられて代償行為でしか自分を癒やせない苦しみ)はサラッと流されてあまりわからない。いや「戦争はヒーローごっこじゃない!」ではなくてだな…! アスランは頑張ってはいることがわかるだけに辛い。
一方でメインとなっているカガリも、前作から悪い意味で成長がなく、シンの言い分がごもっともとしか言えず、被害者同士が傷つけあっているような形で本当に辛かったです。分かり合ったり歩み寄ったりすることもなくこの二人の絡みが終わり、カガリはセクハラとモラハラの果てに魅力だったがむしゃらな突破力を奪われお飾りの姫君としてフリーダムにさらわれ、ただの無力な女の子として戦場で泣くしかなく、挙げ句の果てにシンは恩人を殺すような事態に。いや、これシンの初覚醒シーンなんだけど(※誤り。初覚醒はザムザザーのとき)カタルシスは…キャラみんなデバフされた先には負のカタルシスもないんですけど…。
せめて「ハイネの思いを無駄にしちゃダメだ」という方向でまとまると思っていたんですが、カガリは今泣いてるんだではないんだわ。こっちもないんだわとかも言いたくないんですよ、カガリが好きだから。
心がふたつ(どころじゃないくらい)ある~~~!!
えー言い出すと永久に終わらないのでカッ飛ばして断片的に語りますが、ステラのことも大好きでした(金髪が好き)が、出てくる全ての情報が「死」で見えていた結果を確認する作業だったのはともかく、ネオ=ムウ(なんでいきてんだ? 私の涙返せ)の処理の雑さにもうどうすればいいのかわからない。せめて拳を振り下ろす先をくれないか? 別にキラを憎みたくはないんですが?
誰も頼りにならず増長していくシンに、実質レイだけが話聞いてくれている状態でどんどん好きになってしまうんですが、絶対にこの子はヤバい。具体的に言うと隣の池田秀一声のやつから一刻も早く引き離さないとヤバい。ルナマリア助けて。奏でてやろうレクイエムじゃないだろうが。ルナまで落ち込んじゃった!! もうおしまいだよ。
いや冗談抜きで心の底から応援してた主人公がシナリオからネグレクトされた挙げ句、素朴な感情で一番の親友に寄り添った結果ナチのSSに仕立て上げられたみたいになっちゃったんだけど、スティーブン・キングのホラー?
…語り草になっているTV放送版最終回は生涯忘れることはないでしょう。
苦しみの果てにもはや止まることもできなくなって錯乱し、覚醒したアスランに完膚なきまでにやられてしまうシン。
かつてどんな命だって生きられるなら生きたいはずだと言って、命がけでステラを助けてくれたレイに、生きることが戦いだと言ってくれる人はおらず、彼は崩壊するメサイアと命運を共にする。
ラスボスと対峙することも、親友の最期を知ることもなく、なんとか殺さずにすんだルナマリアにすがって泣くことしかできないシン。
無傷でカッコイイポーズのフリーダムとジャスティス。
放送終了後カットのボロボロに崩れたデスティニー。
…いや最後の2つどういう判断? あまりのことにネットで喧嘩してたキラ推しシンアンチの人までドン引きしてて仲直りできた。DESTINY最終回で唯一よかったことコレ。
…キャラの一貫性というか、シミュレーション的な部分に関して文句はありません。あのキャラがあの状況に置かれたらそうなる、まあ完璧です。
だから何!? SEEDってそんな緻密な救いの無さがメインの魅力じゃなかったよねえ!? キラがイージス自爆から突然プラントまでワープしてミーティア流しながらの舞い降りる剣するの超カッケェから細かいとこはまあええかあ! ってするのがウケてたよねえ!?!?!? メイリンが突然暴れ出してアスランが脱走できてんのに適当なタイミングでシンがAA内にワープしなかったのは逆に怠惰じゃねえのか!?!?!? 戦力が足りないなら議長が悪のシャアガンダムに乗って出撃してこいやエンタメとして日和ってんじゃねえのか!?
少なくともデュランダルのドタマに後何発か撃ち込むべきだろなにいい感じに死んでんだ「ば、ばかな…」って言うの義務だろアホたれ!!!!!
せめて…せめてメサイアにシンとルナマリアがいることはできなかったのか…。何もできなかったとしても、彼らを最後まで縛り付けたラスボスと、友情は本物だったレイの顛末を見届けてはいけなかったのか。
それすらできないほど主人公から引きずり降ろしてシンを悪役にするというのなら、いっそのことルナマリアも自分の命さえも怒りと狂気で燃やし尽くし、アスランの取り返しの付かない傷になってしまったほうがよかったんじゃないのか。だって死に場ってキャラクター最大の見せ場でしょ。シナリオの端っこで処理するんじゃなくて、彼にふさわしい見せ場をくれよ。
そして田舎では映らなかったのを、親戚を頼るなどして頑張って見たファイナルプラス。いっそ燃え尽きてしまえばよかったんだと暗黒に染まる当時の私には、また花を植えるよがまったく心に響かず。あれを受け入れられたのはTHE EDGEの完結と10年後のHDリマスター版まで待たねばならない。
ついでにアスランとメイリンのラストカット。
もうなーーーーーーーーーーーんもわからん! 知らん! おわり!!
DESTINYというかシン・アスカの深刻な影響(箸休め)
男性ファンはスパロボやGジェネ、連ザ、エクバといったゲーム作品でシンへの思い入れが増したり、シンを最強にして溜飲を下げたという人が多いようなのですが、私はちょっと違いました。
スパロボのシンはカッコよかった。でも全然だめでした。
スパロボLが本編だとか、UXで竜宮島メンツの先輩やってるとか言われても、そんなのは誰か他の人の見た夢か、私の知らないオリキャラでしかない。私が救われてほしかったのは、そんなゲームのシンではなく、あのときルナマリアにすがって泣いていたシンだったのです。
…あとスパロボはクロスオーバー用にキャラの欠点を削りつつ特徴を誇張してなじませる方向に調整されて普通に別キャラなのでお祭りキャラゲーとしては楽しいけどこれが本編とか言うのは悪いオタク仕草だと思う。
むしろゲームをきっかけに好きになったのはキラ。
正確には好きだと気づいたのがキラ、でしょうか。スパロボでシンに親しいキャラたちがキラを非難したシーンで、反射的に「お前らキラのことなにも知らねえくせに!!」とキレてゲームを放り出してしまったんですね。今までこの記事ではちんちん欲に負けた呼ばわりぐらいしか触れてなくて申し訳ない。いや主人公好きじゃなかったら4クールは追えないです。
そんなこんなで、ゲームのシンはもっと他の道がなかったのかと頑張っている分、かえって「そうはならなかったんだよ、ロック…」の気持ちが強くなりすぎて途中からあまり触れなくなり、むしろ死んだあの子の面影を追いかける気持ちで別の作品の似た傾向のあるキャラクターに救いを求めるようになりました。
具体的に言うとグラブルそんなにやってないのにサンダルフォンにけっこう課金しました。
私の観測範囲内、かつてシン・アスカのことが大好きだった女性の100%がサンダルフォンに落ちてる。
単に種デス見てた世代の騎空士の数が多いだけだと思いたい。
一番好きなのは土リミテッドのアナザーです。光リミテッドは引けてない。呪いが解けたからかもしれない。
FREEDOMを見た
それから20年。劇場版はどっかでポシャって二度とやらんのだろうなと思い過ごし、終始優等生なガンダムという奇跡みたいな水星の魔女を楽しく見終わり、これが令和のガンダム! おめでとうスレッタ、ミオリネ、末永く幸せにね! と思ってたら葬ったはずの平成が襲いかかってきた。
もっとゆっくり祝わせろ、スレッタとミオリネを。
告知が来て私がまずやったことは監督のTwitter(X)アカウントをブロックすることでした。大人になってまで余計な言葉に一喜一憂したくないという強い気持ちの現れです。積み重ねた愛憎と信頼がすごい。
映画館で正式ポスターを見たときに「ヒッ ほんとにやるのか」と震え、悩みに悩んだ末、同年代の友人たちに「誰か…公開二日目に一緒に行きませんか?(ネタバレは踏みたくないが一人で死ぬのは耐えられない)」と声をかけて行くことになりました。一緒に行ってくれた友人、「声かけられなかったら行ってないよ」とのコメント。とりあえず最低限の合格ラインを「シン・アスカがガンダム顔のMSに乗せてもらえること」に設定し、それが達成されればOKということにするぐらいハードルを下げました。ムラサメでいい。「でも下げたハードルを潜っていくのが種デスクオリティだったし…」「キラが悪堕ちして裏切ったアスランと殺し合って爆発して生死不明になってSEED JUSTICEに続くつもりで」「何があってもゴールデンカムイ見て帰ればトータルアドのはず」「帰ってブレイバーン見れば全部有耶無耶にできるから最新話まだ見てないんだ」など死ぬほど予防線を張りながら。
すん…ごい面白かった。
でもこれSEEDか? ちがくない?
しかし同時にすごいSEEDの味もする。なにこれ?
何らかのズルしてない?
正直ズルだよFREEDOM
まあ普通にズルはしているなあと思います。
TVシリーズではキラだけでなく多くの人たちが苦しみストレスをかかえていて、そこが交錯していくダイナミズムも魅力の一つでした。重苦しさと辛気臭さともいう。劇場版はそこをほぼカットしているので、こんなのSEEDじゃねえだろと言われたらそう。でも尺がねえからな。SEED JUSTICEに続かなくて偉いのでそこは切ってもいい。
キャラクターだけでなく、全体としてストレスかなり軽減されています。
ブルーコスモスはカルト扱いで地位を追われ、連合とプラントとオーブは喧嘩もするけどちゃんとリモート会議し、連合はパスワード4桁で国境線配備してるけど核はコレクションにしときたい人たちだし、プラントの議長はマトモな人で大量破壊兵器を新たに作ったりしてなかった(知らん間に再建されてたけど)。世界はいい方向に行っているね。デュランダルの功績のような気がするし各地にミラージュコロイド搭載機と核動力に換装したMSがあったけども。
ともかく苦しんでいるキャラクターがキラとラクスに絞られ、彼らを助けられる人たちがたくさんいる、という構造にしているのが過去作との大きな違いだと思います。焦点をしっかり絞っているのでとても見やすい。
演出は昔より格段にわかりやすく遊びつつ、キラとラクスの苦悩にフォーカスを当てている前半部分は変わらぬ重苦しさであり、その点ははっきりと「懐かしのSEED味」もします。
また後半のめちゃくちゃなところも絵面で遊びまくってる所も、人の自由意志と愛という大事な部分には終始真面目に向き合っているのは素直にすごいと思いました。ラクスのセクシーパイスーも、同時に愛と命と業の話してるから意味はあるしな…。
ここから知力3くらいの一部キャラ感想
シン・可愛すぎる・アスカ。
見たことねえこんなシン。いや正確には、鈴村健一氏が昔っからシンについて語るときにだけうっすら見えてた。本当は可愛いところもあるのでなんとかその面を感じられるように演じたいと言い続けてた。
これを20年抱えて今までキレキャラしてたと思うと、鈴村さんだけでなく監督や脚本が「シンはこんなんじゃない」「シンがわからない」とか言ってた意味が全部通りますね。本当はこんな可愛い子なのにどうして滅茶苦茶になっちゃったんだろうってことだったのか…。そんな状態で作ったアニメ放送するな。
なんか男性ファンのやられている率が高いんですよね。わかる。かわいい。元気。犬。
昔からそうなんですが「どうしてそんなやられ役みたいな事言うの…」という台詞回しが健在&前半はやられ役で不安にかられましたが、本気のシンとデスティニーガンダムの大暴れが滅茶苦茶で笑うしかない。デスティニーなら負けないのが本当なことある?
というか、本気でデスティニーが出るとは思っていませんでした。だって…デスティニープランを守るために作られた機体なんて、デスティニープランを否定した以上闇に葬って当然だと…頑張っても敵が乗ってきたのを鹵獲するぐらいしか出しようが無いと思っていましたが、オーブがパチって直してるのってなにか裏で恐ろしいことが起きてませんか? でもシンが「デスティニー!」って言ったら許しちゃった。シンがいいならいっかあ。いいのか? いいかな? 可愛いからいっか~! 初見時はこの辺から完全にバカになってしまった。いや4回見た今でもバカになっている。ズルだって。
私、本編のデスティニー受領で「わーい!」ってなってたシンのことそんなに嫌いじゃないんだよな…。メディアミックスでもあまり採用されないんですが、シンは力に溺れがちなキャラの裏返しとして、自分がただの力としてその手を汚すこと自体に大きな苦しみはないというのがキラやアスランと違った強みだと思っていたので…。望まないものに対してその力を振るわされることは苦しみだけれど、力はあるに越したことはないよねという割り切りがあるというか。
カガリ
地味にさ、可愛すぎシンの分身より知らんカガリがいるんですけど。
SEED→DESTINYの間何してたの? 寝てた? みたいな成長の無さをぶっ飛ばす意味不明成長曲線です。2年寝かせるとその先1年で10年分くらいレベルアップする的なバグがあるのかもしれない。コズミック・イラRTA。
これまでSEEDの外伝や二次創作するならとりあえずオーブの地下にカガリの知らないヤバ兵器入れとけばええやろと思われていましたが、当の本人がザフトのNJC搭載機を地下にパクってアカツキ(オーブ製)とデスティニー(ザフト製)が共用で使えるシルエット開発していたのはステージが変わりすぎじゃないか? エクリプスさんにもう少し気を遣っては? シン、ほんとに「デスティニー!」でよかったんか? オーブが強ければ侵略されないからOK? そっか~。
あと見返してわかったんですけど、リモート会議で「ヤマト准将の件にも納得がいかん!」とか言ってる時点でコンパス生き残り保護済みだし、数日後にはムウさんをミラコロで隠したアカツキに乗せて打ち上げてるんだよなカガリ…。こわいよ!! あとムウさんの扱いが雑!! ブラック!!
政治力とアスランとメイリンを手に入れたカガリ、冗談抜きでコズミック・イラ最強の政治家じゃないだろうか。
ステラ
まさかの出番にびっくり。かわい~~~~~!!
シンを守るためにステラのかんがえたとってもこわいものに変身するのであれは魔法少女のすがたをガンダム的に解釈したものでしょう。いや真面目に描写するとデストロイかフリーダムになっちゃうし…。
イメージやシンの心象存在とかでなく本当に本人がいるっぽいことを一瞬気にしたりしましたが、超能力者いるから幽霊がいてもいっかということにしました。どっちも特殊属性の攻撃と思えば同じだろ。
ルナマリア
これまであまりルナマリアに興味がなかったことをお詫びします。
すまない。正直アグネスと同じこと思ってた。シンがルナマリアのこと好きになる導線はまあわかるけど、ルナマリアはいいんかと。「好きだけど悪い? 好きじゃなかったら付き合わないけど?」のド正論に痺れました。マジすみません。
でもあの状況でテロリストごっこするやつが彼氏で本当にいいんですか? アグネスが生きてて安心するくらい心が広い女だから問題ない? シンはマジでルナマリアのこと大事にしなさいね?
ところでルナマリアの射撃が当たってやっと報われたと思った瞬間コースを変える二発目の核ミサイルくんのデリカシーのなさどうにかできませんか? ドンマイルナ! 次は行けるよ!(次があってたまるか)
アグネス
月光のワルキューレ。お前は美しい。
大好き! 物語を回すのに親切すぎる女! テーマを逆側から証明してくれる女! ラブデスター怪人!! 生き残って嬉しい~~!
特典小説が月光のワルキューレの方だったんですけど、全編ブレないラブデスター怪人ぶりでよかったです。お前が好きなのは彼氏じゃなくてルナマリアだと思う。ルナマリアがシンとアグネスの両方を抱いてる同人誌が出たらご一報ください。買うから。
アスラン
元はと言えばファイナルプラス(もしくはリマスター最終回)のお前の軽率な行動によって私たちは20年苦しんだんだ。わかるか?
なんか出るとこ出るとこ全部面白かったしお前が愛しているのはカガリだけだとこれ以上ないほど明確になったので許そう。DESTINYのキス待ちカガリがそんなにツボだったのか。あれ可愛かったもんね。わかる。
ところでお前の種割れの効果なに? その戦闘に必ず勝利する効果?
キラとラクス
「僕はラクスのすべてを愛してる!」
「わたくしも愛していますわ! キラ!」
それが聞きたかった~~~~~~~~~~~!!!!!!
真面目に、この人たちが何を思っているのかを直球で言ってくれたので過去全てのシリーズが格段に見やすくなりました。愛ならしょうがねえ。直球でいうのはなあ…ワビサビがなあ…というのはもう古い。直球で行け。今はそれが格好いい。
あとキラはいつも「世界は…」「人類は…」というなんでそんなん巻き込まれた個人に聞くんだよ、みたいな問題をぶつけられて、答えたら答えたで傲慢だと言われるのホント可哀想だったので「あなたは彼女を愛せるの!?」という即答できる質問投げてもらえてよかったね~~~と思いました。私TRPGプレイヤーですけど突然難しいこと聞かれたらほんと困るからね。私はうるせえ知るかボケって殴る方です。ちゃんと考えるキラは偉い。
オルフェ
素晴らしい悪役、キラ・オルタ。悪役としての罪を重ね、気持ちよく倒されてくれ、それでいてただの三下ではなく、キラたちが否定したものの犠牲者としての側面も併せ持つ青年。君とはスパロボで…仲良くなりたいな…。
あとオルフェ、おっぱい触ったイジりされてるらしいんですが、あのシーンでラクスの胸が揺れるのはちゃんと意味があるので言わんといてあげよう。本当に遺伝子だけで話が決まるのならラクスの意思なんて関係なくオルフェは彼女を犯せるはずだけど、どんなにおっぱいが揺れようが触ろうが心がなかったらエッチとか思う余裕なんかない! 虚しいだけ!! そのへん詳しいだろ議長!!!! なんて真面目なんだオルフェ…。
あとオーブはいずれ撃たねばならぬ国なの100正しいから好き。
アウラ
一方ただの三下。特に「ミレニアムを撃て~!」と、ラストで椅子から這って逃げようとするところ、これまでのSEEDのボスに足りなかったものの山盛りでサイコー。お前のこと大好き!!!!
これ田村ゆかりじゃなかったらもっと邪悪になってオルフェとイングリット生き残り出来たんじゃないかと思いますが、でもそれだと2時間じゃ収まらなかっただろうな…というきもち。エンタメに徹するとはこういうこと。
この人がなぜロリババアなのかをスルーする脚本は只者ではないと思う。
実は不満もある
エンタメに徹していて楽しい! サイコー! なのは間違いないのですが、それでも不満というものはあるもの。…というか、一切期待していなかったので最初から諦めていたけど、最高のものを出されたがゆえに惜しくなった…というのが近いでしょうか。
シンを単独主人公にした話が見たいなあ~!
今回大活躍をしたシン・アスカですが…立ち位置としてはメインストーリーラインから外れたところで元気いっぱい暴れていたという形になっています。過去主人公の客演と思えば暴れすぎだろの領域ではありますが、そもそもメイン主人公としてのシン・アスカは一度も描かれていない現状です。
最低限ムウさんとどういう経緯で落ち着いたのかは真面目に教えてほしい。ムウさんがネオ時代をどう捉えているのかもちゃんとしてほしい。キャラ的に1年あれば「おっさん!」「おっさんじゃない!」の関係になること自体はおかしくないと思うけど、間は知りたいよさすがに。
それと、レイのことに全く触れられなかった点も何かしらの補完がほしいなあと思いました。レイには生きていてほしかった。コンパスでキラの補佐をしたりアスランに塩対応したりレジェンドで暴れたりするのを見たかった。正直この感情、私が当時レイシンレイでBL活動していたせいかなと思ってたけど同じこと言っている人山ほどいたので安心して言います。生きててほしかった。
もしこのままレイ何も触れられず前日譚もお蔵入りのまま終わったら私の中でフリーダム強奪事件で仮面枠として登場してたことにします。
いや、真面目に仮面枠で復活できない? だめ? 宇宙空間にヘルメット飛んでないからセーフでしょ? だめか??
おわり。