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ローラの発表した『Studio R330』で考える今後のファッション

ローラが6月5日に自身のブランド『STUDIO R330』で環境に配慮したサステイナブルなワークアウトウエアのシリーズを発表した。

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STUDIO R330公式ホームページ


彼女のオリジナルブランドの第一弾として発表した「+ONEコレクション」は、日本環境設計株式会社が手掛けるブランドBRING (TM)の再生ポリエステルを採用している。ローラ自身が工場に赴き、布地の共同開発を1年かけておこなったという。

サイトを見るとわかるが、モードでスパイスのきいたデザインのウエアだ。写真が転写され、Studio R330のロゴもはいっている。お洒落なワークアウトウエアはすでに一般的だが、彼女の好みと意志の強さの感じられるエッジの効いた「かっこいい」デザイン。

私はローラのこの発表はファッション、現在の消費社会、人間の生き様に対する“挑戦”だと感じている。


サステイナブルもエコも当然のことを定義し直しブランド化する現代社会

リサイクル、リユースも今に始まったことじゃない。でもここ数年私が引っかかっている言葉が「エシカルな」ファッション。ここでいうエシカル、つまり倫理的というのは環境への配慮、発展途上国で低賃金で生産させられる作り手への正当な対価を払うという観点である。

でもここでいうエシカルな選択は他の業界ではもっと前から着目されていた。例えば再生紙もそうだし、缶やビンのリサイクルも何十年も前からしている。

そしてファッションも遡れば、日本人は古着を生まれ変わらせて長く愛用してきた文化をもっている。

江戸時代、上流階級でない多くの人が古着屋で着物を買い、襟をつけかえたり合わせにしたり、染めかえたりしながら着物を着ていた。一人が何着ももつような生活ではなかったから、少ないもの大切に手をかけて着ていた。着物の素材は丈夫だ。上等なものなら何代も受け継ぐのが当然だった。

当然であったことが今ブランド化されている。

ブランド化されるというのは、それが貴特なことであったり、先駆的なことであったりするからだ。価値があるということである。

ちなみに現代社会において2000年に比べ人々が購入する洋服は60%も増加していて、生産量はおよそ2倍になっている。そしてこれら、製造された服のおよそ85%は捨てられているという現実がある。


切り口は異なるが、“メチャカリ”は洋服のサブスクサービスとして5年前からスタートし、「物を持たない」暮らしを推し進める一端になったと思う。

物質的な消費量と生産量を減らす一つのやり方だろう。これは解決策はとてもシンプルで究極作る量と買う量を減らせばいいだけ。コストは一切かからない。だけどこれをシェアの時代にうってつけのサービスとして売出しているのが現代なのだ。


CSR活動なくして服は売れなくなっていく

企業の社会的責任=CSRである。企業が倫理的観点から事業活動を通じて社会に還元し貢献していく活動であり、利潤を追求する商業主義とは逆の考え方である。


私は今後のアパレル業界はどれだけ環境に配慮して作られたか、労働力に対しフェアトレードを行っているか、売上を動物保護やこども基金にあてたか、などのストーリー性を漏れなくすべてのブランドに対してつけていくと考える。

そのストーリー重視の情報がファッション誌にも加わっていくと思っている。生産のヒストリーでもいい、消費者がその商品を買うことが「賢い選択」と思わせ社会貢献をしている感覚をもたせるような広告が、おしなべてすべてのブランドでされていくと思う。

物を消費しない社会という背景、女性の社会進出による経済的な自由と表現の自由、SNSなど個人が発信する時代性。コロナで日常が変わったように常識が変わる転換期にある。

ここ5年はシェアの時代だったが、コロナにより不特定多数の人とシェアすることに対する危惧が高まっている。かと言って、物を消費する時代でもなくなっている。

一点に対する価値を高めて高い価格で売っていかないと、アパレル業界は今後厳しくなるだろう。




正直に言うと「エシカルな」ファッションだとかという言葉を最初に雑誌でみたときは『また薄っぺらなワード使って・・・』とか思ってたけど、今回ローラが初めてのオリジナル商品のスタートポイントを環境に配慮した素材選びをしたことが、ここ数年の彼女の自分で世界を広げていった行動のひとつのアウトプットという形に受け取られて、なんだかとても考えさせられた。


今まで必要以上に洋服を消費していたけど、恐らくそのトレンドも急速に変わっていくと思わずにはいられないのでした。



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