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ヒトラー『わが闘争』を読むことによって得られる意外な効果


始めに

嘘を嘘と見抜ける人でないとインターネットを使うのは難しい

ヒトラー『わが闘争』より

『わが闘争』ではない何かより引用

みたいな嘘引用をたまに見かけます。これ結構好き。

わが闘争』は言わずと知れたナチスの独裁者アドルフ・ヒトラーの著書です。

一般的には大悪党ですが、その考え方は前衛的で旧世紀の人物とはとても思えない。そして悪のカリスマとして妙に惹かれるものがある。
まるで我が国の第六天魔王・織田信長のごとく。

そんな軽くてミーハーな気持ちで悪の教典たる『わが闘争』を手に取ってみたものの、これ非常に読みづらいのです。

『わが闘争』はなぜ読みにくいか

ぼくはわが闘争を買ってから一度読むのをやめました。
なぜって非常に読みにくいからです。
読みにくい理由を考えてみました。

①冗長である

とにかく表現がくどいんですね。
分かりにくい比喩を多用しますし一文が非常に長いのです。
ドイツ語ってそういうものなのかな、とも思ったのですがそれとは別の理由がありました。
実はこれ獄中において口述筆記させたものだそうです。(全部が全部そうなのかは知らない)
弁舌家のヒトラーのことです。そりゃ熱が入って一文一文が長くなるはずだ。

②常に何かに怒っている

ヒトラーの原動力は現状への不満と怒りではないかと思います。
それくらい本文では何かに怒っています。(その怒りの矛先はたいていはユダヤ人です)
怒っている人の文章を延々と読むのはなかなかしんどいものがあったりします。
もちろんヒトラーという男を知るうえでそこが面白い部分でもあるのでしょうが。

③分量が多すぎる

翻訳したものは角川文庫版で、上下巻に分かれて合計およそ1000ページ。
正気の沙汰じゃないですね。
章立てと話題ごとの節立てにより、区切りは多いのですが逆にそれゆえ読んでも読んでも終わらない錯覚に陥ります。

④シンプルにつまらない

ごめんなさい。
ヒトラーを専門に研究されている方やこの本を気に入っている方には申し訳ない。
ただ本当につまらないのです。
こんなことを言うと前述の方々は相当カッカするでしょうね。総統閣下だけに
もちろん楽しむための前提知識がぼくに足りないだけなのは承知しています。
しかし、ぼくのような多くのライトリーダーたちを楽しませる工夫が入った本ではないことは確かです。

『わが闘争』を読み切る方法

ならばそんな読みにくさMAXの『わが闘争』を読み切るにはどうしたらいいのか。
『わが闘争』にどう立ち向かうのか、ぼくなりの闘争をご紹介します。

①長期戦略

とにかく長いので一気に読み通そうとすると心がやられます。
心がやられるくらいなら読まないほうがマシです。
ならば一日数ページずつコツコツと読んでいくしかないのでは。
ぼくは大体一日一節程度読んでいました。ページに換算すると4~5ページくらいでしょうか。
多くても10ページくらいです。それ以上読みたいと思わなかったもので。
最終的に上下巻を読み切った時には半年以上経過していました。

②さらりと受け流す

あなたがヒトラーのことをよく知らず、その思想を深く探ってやろうと思っているのでないのなら、彼の言葉に真剣に耳を傾けてはいけません。
大体は何かに怒っているだけなので「あーはいはい」と受け流していいのです。
何に対してどの立場で腹を立てているのかを理解できれば結構面白いのですがそうでもなければ右から左でOKです。

③行単位のしおりを使う

とにかくページ数や文字が多く話もあちこちに飛ぶのでどこまで読んだかわからなくなりがちです。
ページを見失ってしまうと一気に読む気が失せてしまいます。
それを防ぐためにはしおりが必須です。
巷にはどこの行まで読んだかがわかるしおりもあるのでそれを使うとページ内でも迷子になりにくいです。

で、読み切った先に何があるのさ?

まるで苦行であるかのように語ってしまいましたが、この本の面白さをわからずに読み通すのは紛れもない苦行でした。
ですが、この本を読み終えたことにより、自分の中にとある変化が表れたのです。

それは「分厚い本を手に取ることに心理的抵抗がなくなった」ということです。

本を読むのが好きな人は分厚い本ほど目を輝かせたりします。京極夏彦とか。
ですが基本的には分厚い本は敬遠されがちです。(「薄い本が好き」というのはまた別の意味になるけど)
でも分厚いけれども有用な本はたくさんあります。
特に学習書などはその傾向が多いです。

例えば基本情報技術者試験の参考書などはページ数が多いものが多く、500ページ超えなどはザラです。中には800ページ超えも。
分かりやすいものほどページを多く費やす傾向にあるのでページの少なさで選ぶのはちょっと危険です。

ですが、あの『わが闘争』を読み切ったならばどんな本でもはるかに読みやすいはず。

実際、その後のぼくは躊躇なく分厚い参考書を買って数日で読み終え、いくつかの検定試験に合格できました。

こんな使い方してゴメンとは思いますが『わが闘争』はぼくの大きな糧になってくれています。
おススメはしません。

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