見出し画像

【書評】がんばらない戦略

今回読んだ本は『がんばらない戦略 99%のムダな努力を捨てて、大切な1%に集中する方法』著・川下和彦 たむらようこ /株式会社アスコム


タイトルの通り、「がんばらない」という思考にシフトして生活のクオリティを上げていこうよ、という趣旨の本です。
普通のライフハック本などとは構成が違い、物語形式になっているのが特徴です。

あらすじ

架空の国、ガンバール国とガンバラン王国が舞台であり、主人公のミサキはガンバール国出身。

ガンバール国では頑張ることが至上であり、目標達成のためにはとにかく頑張ることが肝要だという考え方が国民に根付いています。
その割になかなか成果が出ず、GDPもオリンピックのメダル数も国民の幸福度も隣のガンバラン王国にぼろ負けしています。
それなのに「成果が出ないのは頑張りが足りないからだ」と考えてさらに努力を重ねようとします。

そんなガンバール国の空気に嫌気がさして、ミサキはある朝衝動的にガンバラン王国へと向かう列車に飛び乗ったのです。

そこで見たのはガンバール国とは真逆の国民性。
誰一人として時間に追われて焦ったりイラついたりしていません。

ミサキはこの自分には無い価値観を学ぶため、ガンバラン王国を見て回ることにしました。
ミサキの前に次々と現れるガンバラン王国民たちはみなミサキの価値観からすると変人ぞろいですが、そこにはよりよく生きるためのヒントがありました。

構成

物語は10のstageに別れており、それぞれ一つの教訓が掲げられます。
最終章では総括としてがんばらなくても結果を出すための十カ条としてまとめられます。

ざっとまとめると

  1. ルール化

  2. ゲーム化

  3. シンプル化

  4. 自動化

  5. 見える化

  6. 約束化

  7. リズム化

  8. トリガー化

  9. 記録化

  10. 楽しく取り組む

となります。

詳しいことはぜひ実際に本書を読んで確かめていただきたいのですが、どれも難しいことは一切ありません。
タイトル通りがんばらないで達成できることばかりです。
あとはそれを実践するかどうか。あなたの最初の一歩にかかっています。

感想

常日頃ぼくも努力至上主義の感がある世の中には疑問を抱いていました。
特に勉強やスポーツなど思春期の学生がかかわることには、何よりも努力することが美徳とされている風潮があるような気がしていたのです。
大人になると要領の良さや力の抜き方が重視されるくせに子どもたちには無慈悲に努力を押し付けていないだろうか。

もちろん、若くて体力がある時期に自分の限界まで努力をしてみるというのはとても良い経験だと思います。

ですがもう時代は令和です。
「努力はコスパが悪い」などと言って不貞腐れる若者が出るのもわかります。
そういった人たちに「その通りだよ。間違った努力はコスパが悪いんだ。頑張らなくてもいいから一つずつやれることやってみてごらん」ということを教えてくれる本だと思いました。

本書で語られている方法論は、ぼく自身も以前から効果を感じて実践していることも多かったです。
よくぞ言語化・書籍化してくれたと思います。

最後になりますが……
物語形式であることもそうですが普段お堅い本を読まない人向けの工夫がなされています。
そのうちの一つなのでしょう。
物語中に小ボケがたくさん挟み込まれます。
(例:男の「人生はゲーム」というセリフからミサキが「ああ、あれね」と人生ゲームを連想するという勘違いを天丼する)
面白いと思う人は面白いでしょう。
「がんばらない」というコンセプトを文体で表現することにも成功しています。
ただ、ぼくは終始真顔でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?