〜まだ見ぬイメージの先へ〜神使轟く、激情の如く。【神奏曲:ライトニング】レビュー
いよいよ明日に迫った神使轟く、激情の如く。武道館単独公演、宣戦布告
そんな彼女らが武道館という戦場に向けて放った眩い閃光【神奏曲:ライトニング】についてレビューをしていきましょう
奇しくもなのか意図してなのか、「宣戦布告」と同じくシンバルの4カウントが始まりを告げると流麗なピアノの旋律とソリッドなリフと共にことのから歌い出し
このパートは曲の最後と同じメロディであり、その部分をことのさんといもこがそれぞれ担当しているという配置の関係性からしてもうすでに叙情度が高いです
やはりこの二人が神激の始まりなのであり、その歌声が核となっているからこそ、多彩な楽曲陣も「神激」としての統一感を得ているのだと思います
単音を織り交ぜたメインリフをつんのめるような疾走ドラムに乗せ、終わり際に会心のピッキングハーモニクスをぶちまけてからAパートへ
ここの歌詞、地味に神激の中でも上位に入る名句かもしれないですね
運命だなんて陳腐な枠組みを否定し、あくまで自分たちで掴み取ったという矜持を感じて好きです
ライブでの「互いで引き寄せた世界へ」で三笠とTiNAがお互いの腕を引き寄せるフリも好き
1回目あまねシャウト
フライスクリーム攻めですね
地味に「初期衝動 今に繋いで繋いで」の「今に」で地声成分が薄らと被さっているところがポイント高いです
1回目よいこラップ
入りのギターリフが極悪感あっていいですよね
音素詰め込まれまくっていて歌詞見ながら聴いてもうまく聞き取れない。間違いなく現時点での最高難易度個所なんじゃないかなと思います
裏でなっているSAWサウンドが奏でているメロディがクールでイカしてます
ウインドチャイムのそよ風とアルペジオが響くパート
ここで一旦クールダウン、サビの爆発前における必然としてのタメですね
ことのさんの「手招いてもう戻らない」の「もう」だけ裏声なところが推しポイントです。その裏でなってるスライドで繋いでいるベースフレーズも続くサビへの期待を一層高めていて良いですよね
サビ
キメが2回も大盤振る舞い
1回目は特にしつこいくらいのキメようで、「デデ」の後に一度休符を挟んでからさらにバンっと放ってくる徹底ぶりで、全国1000万人の「曲中のキメオタク」を入念に殺しにかかってます
前半セクションではよいこラップ、後半ではあまねシャウトが合いの手の如く入っているところもお約束を抑えていて非常にいいです
正拳突き
神奏曲シリーズ恒例の必殺技パート、ついに究極的な一撃、正拳突きへと到達しました
裏で楽器隊がこれでもかと縦に刻み、ピッキングハーモニクスが乱れ飛んでいて入念にメタル魂の保持者を殺しに来ています
聴いていてテンションバグる箇所しかないこの曲ですがここもかなりのAgitationalなパートですよね
2回目よいこラップ
Trap的なハイハットと共に2回目が襲来します
ここは裏の演奏が曲中一番変態的なフレーズを乗せていますね
後で出てくるブレイクダウンも同傾向なフレーズですがここはラップが目立つ分好きにやっちゃている感じがします
今まではあまり取り入れていなかったであろうテクデス的アプローチでしょうか
いもこ叙情パート
澄んだ鉄琴系のシンセと散りばめられたシンバルが美しくも儚く彩るパート
ここはMVやライブでのメンバーの立ち位置が秀逸で、いもこと背中合わせにことのさんが立っているところが最大のポイントですよね
もうここの歌詞はいもこからことのさんへ向けたラブレターと言っても過言ではないでしょう
TiNA最高音パート
歪んだベースの一発から幕開けるエモ・スクリーモ系パート
現状、ここで一番高い音を使用したらしい
珍しくギターにフェイザーがかかっているのと、普段よりベースのドライブが強めなので抜け間のよい低音が聞けて気持ちがいいです
作曲者曰く、ここはいずれノンブレスで歌って欲しいとのこと
最初は3回くらいブレス挟んでいましたが、最近は1回だけで、その位置も徐々に後ろにずれていっているような気がするのでTiNAの意地が見えますね
2回目あまねシャウト
今度は多彩な発声を織り交ぜているパートです
高音低音吸いと今までの総集編のような選り取り見取りっぷり、吸いは初登場ですがエグい音響かせてますよね
ここは歌詞不明
3回目よいこラップと三笠パート
ここはTrap感満載ですね
skrr skrrを(救う、救う)にしてる遊び心とか面白い
三笠パートは吐き捨て系の香りがする歌い方でいいアクセントと格好良さが出ています
サビ前クールダウン2回目
ここは前より短めですが、英語風発音の日本語が出てきて神奏曲:ガイアを彷彿とさせますね。こんな感じで過去の曲の要素がこっそり散りばめられているのも今作の魅力
「シュプレヒコール」前のベースラインが逸品です
サビ2回目
歌い出しとサビ以外は同じ展開を使ってないんですよね
BAD CAKEと比べるとシンプル目だなと思っていたんですけどこの曲も全然シンプルではないです感覚が麻痺していますね
「成功者の歴史本じゃない 冒険者のドキュメントの歌を今も」というフレーズは神奏曲:テンペストの「歴史の学び方は教えても作り方は教えてはくれない」や、オキシバギーの「アバンギャルドなシナリオ描いてこ」に通じるものがありますよね
ブレイクダウン
テクデス由来成分強めでしょうか
基本は縦にノっていればいいんですけど散りばめられたタッピングフレーズや拍子のズレ、一瞬挟まる変拍子に気を取られるとドツボに嵌まりますよ
いもこメランコリィパート
コーラスのかかったギターと深く伸びるベースに支えられたポエトリーなパート、どこか憂鬱な表情を演出しています
メタルコア由来のジャンルでは静と動の対比を曲中で表現することが多いですが、この落差によって次に来るパートがよりエモーショナルに感じれるタメのパートです
激情系叙情スクリームパート
本楽曲のハイライトを一つ選ぶなら間違いなくここでしょう
迸る感情を日本語で叫ぶ
発音の都合上、日本語のスクリームってちょっと泥臭くなりスタイリッシュさを失ってしまうことが多いですが、そこを逆手にとることでエクストリームにエモいパートに仕上がります
日本語母語話者である特権ですこれは
このメッセージ、クリーンで歌ったとしてもいい出来になる程ストレートに素晴らしいですが、あえてスクリームに乗せている点が趣深いです
裏の演奏もたまらない
前半部分のローポジションからスライドして入ってくるロングトーンのから始まる泣きまくりのギターフレーズ、後半部分の流麗に流れるピアノの美メロと8分で踏んでいたバスドラが最後に16分で疾走する構成とか曲全体で最高潮を演出していると思います
3回目のサビ
大盤振る舞いなキメ、無茶苦茶な手数のドラムと動きまくるベース、冴え渡るよいこのラップとあまねのシャウト、限界なんて切り裂いて行けそうだと思えるほど切れ味抜群な歌声と持ち味全部を詰め込んだラスサビ
聴いていてこれほど心躍る曲はそう簡単には出会えない、だからこそ何時までも奏で続けていて欲しいと思いますね
ラスト
ことのさんの歌い出しと対になるいもこの最終パート
いもこから「君」へ贈るメッセージ
このストーリーは私たちのもの
メンバーへ、スタッフや作曲者へ、もしかしたら聴いている神者たちへ、どう受け取ってもえもいわれぬメッセージですよね
彼女がいうように「等身大で叫んだメッセージ」だからこそ、いろいろな人に届いて響き、それが繋がって武道館という大きなステージ、そしてその先へと続いていくように思えます
神激というグループに私が惹かれたのはその等身大のままで高みへと至ろうとしているところかもしれないと、ここまで書いていてふと思いました
無論曲の良さは大前提なのですが、それだけではここまで人生の一部だと思えるほどの存在にはなっていないでしょう
その叫びがいつまでも残響してくれることを祈っています
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