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【百合?SF?演劇?】じわじわ話題の今期アニメ『ゲキドル』を君はもう視聴したか

みなさまいろいろと大変な昨今でございますが、いかがお過ごしでしょうか。私は今年減らすと言っていたソーシャルゲームをなんだかんだで体感2~3割しか減らせておらず、毎日周回やデイリーミッションを律儀にこなし、アニメも今期は7~8本視聴しながら、加えて気になる百合漫画や小説などを読む日々を過ごしており、もう全然時間が足りません。さながら現代の娯楽に踊り狂わされている操り人形です。百合を摂取しようとすると取捨選択を迫られる昨今、本当に喜ばしいことだなという気持ちですが、その多くを享受出来ないことの歯がゆさもやはりあり、悩ましくも思っている今日この頃です。

さて!そんな2021年冬ですが、今期百合好きの間でじわじわと話題沸騰中のアニメがあることをご存知でしょうか。それがタイトルにもある『ゲキドル』です。

元々私も年始に投稿した今期の百合アニメの紹介記事(↓)にてゲキドルには触れていましたが、オリジナルアニメであることもありあまり情報がなかったので、よくわからないけど百合が期待出来るかもしれない枠として入れていた作品でした。

そして私も紹介はしたものの、今期は他にも多くの注目作品があったことから、自分の視聴するアニメの中には入れていませんでした。


でも、それが間違いだった。


この記事は今期のダークホース百合枠『ゲキドル』について(正直まだ全然注目されてないので)ご紹介させていただき、まだ見たことのない方には布教を、既に視聴されている方にはより魅力を伝えることを目的とした記事です。


①ゲキドルってどんなアニメ?(放送前情報編)

まず『ゲキドル』を見たことがない方向けに、ざっくり概要を説明したいと思いますが、まずは公式サイトのストーリーのページから、物語の導入が載っている「Introduction」を実際にご覧いただきたいと思います。

というのも、『ゲキドル』が話題になっていった経緯として、「まさかこんな話だとは思わなかった」という意外性が一因にある(ように私は思う)ので、そのあたりも含め放送前の情報から紹介していくのが良いと考えたからです。

さて、アニメを見る方なら分かると思いますが、公式サイトの「Introduction」は物語の概要が載っているページであり、それを見れば公式側がどのような物語を我々に届けようとしているのかが分かります。実際に私も放映前に公式サイトでこのページを確認したのですが…

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なんだかよく分からん。


「世界同時都市消滅」「シアトリカルマテリアルシステム」などの気になるワードはありますが、物語の軸は「光り輝くステージを目指す少女たち」に置かれているようで、そうすると物語は王道のサクセスストーリー系なのかな?とか、何となくのイメージは出来ますが、いまひとつ全体像が見えてこない。これが当時の私の率直な感想でした。


しかしながら作品紹介としてはまだ放映前PVの存在もあります。私はこのPVを見て、ある程度自分なりに「あーーー、なるほどね」という作品の形を掴むに至りました。



まず、『ゲキドル』というのはどうやら「演劇」と「アイドル」がかけ合わさった言葉っぽいぞ、ということがこのPVから推測できます。恐らく部活やスポーツもののような、青春ものっぽい要素も入ってくるのでしょう。そして同時に、ラストのちょっと不穏な要素から、例えば世界の真実的なものに迫っていくとか、主人公のきらめきが世界を救う鍵になるとか、そんなイメージが私はこのPVを見て頭に浮かびました。YouTubeのコメント欄では『がっこうぐらし!』を想起した方もいらっしゃるようですね。

でもそれと同時に、「いや…これ面白いのかなあ…?」という気持ちになったこともまた事実でした。


なぜかといえば、「アイドル要素を混ぜたアニメ」というのはここ数年めちゃくちゃ多く、もちろん女性キャラ主体のものが多いため百合要素も期待は出来るのですが、その多くがどこか凡庸になってしまいがちというか、なんだかどこかで見た設定、ストーリーのものが多くて、百合的にも正直ぱっとしない印象が強いというのが私の感覚でした。

この作品もPVを見た限りではそんな数ある作品の一つである気がしてしまって、私はファーストインプレッションとしてはあまり期待を抱けませんでした。みなさんはいかがでしたでしょうか?


これらの情報から、私は今期アニメの放映が始まっても『ゲキドル』は1話を視聴することはありませんでした。もし話題になればそのうちTLで流れてくるだろうと、そんなことを思っていたのですが……。


②ゲキドルってどんなアニメ?(放送開始後編)

転機が訪れたのは、『ゲキドル』第4話の放映後でした。どうやら百合的に大きな展開があったということで、私のTLにやマシュマロにもたくさんの情報が舞い込んできました。それによると、どうやら女女のキスシーンがあったとのこと。しかもちゃんと(?)口と口とのキスで、事故チューとかではなく、マジのキスらしいとのことではないですか。

百合作品が増えてきた昨今とはいえども、なかなかアニメで女同士のキスシーンまで描写する作品はまだ少なく、しかも『ゲキドル』は特に百合とは謳っていないオリジナルアニメで、そんな作品でキスシーンがあることは、百合オタクの私に言わせても数年に一回あるか無いかの貴重な出来事です。

これはさすがに視聴せざるを得ないと、尼プラ(Amazon Price Video)にて早速後追いで見始めました。


まず視聴した感想として、前述のようにかなり思っていた話とは違っていました。具体的に言うと、

アイドル要素あんまり関係ない(そこまで物語の主軸ではない)
・不穏なSF要素や小劇団と大手劇団の対立構造などが色濃い
・「ドール」と呼ばれるロボットの少女が結構重要な役どころを担っている

上記の要素あたりは個人的に想定していなかった点でした。アイドル系の青春要素というよりかは、物語的にはSF的な要素や、泥臭い劇団の奮闘といった要素が強く、私にとってはいい意味で期待を裏切られた内容でした。


もう少し具体的にストーリーを紹介しますと、舞台は謎の災害、世界同時都市消失(文字通り都市が一瞬にして削り取られたように消えてしまう)から5年経った世界で、主人公の守野せりあがひょんなことから池袋の路地裏にある、シアトリカルマテリアルシステムという3Dホログラムを用いた演劇を行う小劇団『アリスインシアター』へと、座長である榊原かをるの勧誘を受けて入団し、人の演技やクセを完全にコピーし、まるで別人のような演技ができるという能力を開花させながら、劇団の主力女優へと成長していく一方で、同システムを持つ大手劇団『スーパーマテリアルシアター(SMT)』との対立や、災害で家族を失ったことへのトラウマ、舞台装置の一部である感情を持たない機械人形、ドールの暴走といった要素を交えながら、複雑に展開していく物語といった内容になっています。

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↑筆者作図解

しかし!!!!この作品の魅力はこれだけにあらず。何と言っても想像以上の百合要素がこの『ゲキドル』の大きな持ち味の一つなのです。(てかキスしてるしな)


③『ゲキドル』の百合要素について

さて、物語は1話で主人公のせりあが座長のかをるに劇団への勧誘を受けたところから大きく動き、演劇を通じて出会う人物との間でいろいろな関係性が発生するのですが、それ以前にせりあと関係を築いていた人物がいます。それが樋口真琴というキャラクターなのですが、彼女がゲキドルで出会う最初の百合要素と言ってもいいでしょう。

何と言っても公式のキャラクター紹介文がそれを物語っているのですが、

「ツンツンしたところがあるが、実は面倒見がよくて優しい。せりあのこともいつも気にかけている」

という、かなり典型的なツンデレ百合キャラっぽい設定が目を引きます。さらにこの設定で見た目もツインテでお嬢様っぽい感じなので、もうそれはレズやんというところがあります。まあ名字も樋口だしな(?)

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↑筆者作図解2

この真琴は紹介文通り1話からせりあにツンデレ的な態度で面倒見の良さを発揮するのですが、それが残念ながら逆に負けヒロイン感も感じさせてしまい、多分キスするのはこのキャラじゃないんだろうな…ということが何となく察せられてしまうのが悲しいところです。あだ名で読んでほしいのにせりあには頑なに名字呼びされてるところとかも含め。(今後逆転するかもしれないけど)


では誰がキスをするのか?というところなのですが、一人は主人公であるせりあ、そして相手はせりあが入ることになる劇団『アリスインシアター』の主力メンバーであるあいりです。

このあいりがまたかなりの百合ポテンシャルを秘めており、まず感情がデカいのでせりあが入団してすぐちょっとした諍いを起こすのですが、それがきっかけでせりあと親密な関係を築いていきます。(2~3話)

さらにあいりには元々いずみという演劇のパートナーがおり、あいりは彼女に誘われて演劇の世界に入ったのですが、いずみはもっとメジャーになるためにアリスインシアターを離れ、現在は大手のスーパーマテリアルシアター(SMT)に所属しています。また、いずみはせりあが演劇に興味を持つきっかけとなった役者でもあり、そういった背景も、前述の諍いの一因となっています。

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↑筆者作図解3。だんだん複雑になってきた

そして話題となった4話。その日はせりあの誕生日ということで、あいりはせりあの下校時を狙って声をかけ、すこし強引にデートへと連れ出します。(実際に「デートしよ、せりあ!」と言って手を取って駆け出していく)

ショッピングしたり一緒にパフェを食べたりと、楽しい時間を過ごし、そして時間はあっという間に夜に。一緒に花火を見上げるせりあとあいり。花火に見とれている間に、不意にあいりの手がせりあに触れ、あいりは思わずはっとした表情を浮かべます

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↑『ゲキドル』4話より。あいりが女の顔に

その後、どちらからともなく、固く手を結び合うふたり。彼女たちの距離の縮まりを讃えるかのように、夜空に大きな花火が打ち上がります。このあたりの一連のシーンはマジでただの百合アニメといったところがあるのですが、これだけで終わらないところが『ゲキドル』のすごいところです。


楽しい時間も過ぎ、残念ながらお別れの時間が来てしまいます。バス停でせりあの乗るバスを待つふたり。しかし名残惜しさ故か、愛しさが臨界点を超えたのか、バスに乗り込もうとするせりあの腕をあいりが衝動的に掴み、「もっと一緒に…」と切なげな表情で伝えます。

一緒に

↑『ゲキドル』4話より。あいりが女の顔に。(パート2)

突然腕を掴まれたことで体勢をくずし、あいりとぶつかるせりあ。そのときに唇同士がぶつかってしまい、少し気まずい時間が流れます。(ここは当該キスシーンではない) 「乗りますか?」という運転手さんの声に、あいりを見て一瞬逡巡するも「いいえ」という答えを返すせりあ。バスはせりあを乗せずに発車し、またふたりきりの時間が訪れます。

もはや先程の事故チューのことしか考えられないのか、あいりが完全に女の顔になってせりあの唇を見つめます。(ここはマジで完全に女の顔なので是非見て確かめてほしい) そして「せりあ」と声をかけると、もう抑えられないといったようすでガッとせりあの肩を掴み――





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ズキュウウウン



やっ やったッ!!!!他の深夜アニメにできない事を平然とやってのけるッ



と、気分は完全にディオの取り巻きに。一旦事故チューを挟んでからの本気のキス。いや女女の""本気のキス""がアニメで見られることあるか???プリンセス・プリンシパルですらまだ見たことないぞ。(比較対象そこ?)


しかしながら、本当にごまかしの無い見事なまでの本気の女女のキスなので、イチ百合ファンとしては感嘆の面持ちです。もちろんこちらも心の準備が出来ていない中での突然の本気のキスなので、かなり「エーーッ!!」というところはあるのですが、それまでのデートシーンの雰囲気の良さを思えば自然なことなのかもしれません。(本当か?百合好きになって10年以上経つが、未だに百合のことは分からない)


そして実はこの後が怒涛の展開で、何故か4話のラストではこう↓なります。

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あんなに熱いキスを交わしたはずのせりあが、なぜか別の女(しかもドール)と一緒に親密な様子を醸し出しており、それをあいりが遠巻きに見つめているという構図です。あまりにも衝撃的な展開に、再び「エーーッ!!」っとなるのですが、あいりの胸中はそれどころではないでしょう。女とキスをして幸せに満ちていたはずのあいりはものすごい表情を浮かべて4話のラストのカットを締めくくります。このスピード感は是非実際のアニメを見て味わっていただきたいですね。


そしてさらに5話以降はこのドールとあいりがせりあを通じての誇張なしの三角関係を繰り広げるようになり、さらに百合要素が激化していくこととなります。いやマジでどんなアニメ???

ちなみにアリスインシアターの他の劇団員には女性に告白して振られた女性(そして振られた理由も別に女だからとかではない)がいたりと、謎に百合要素が多い作品になっています。それなら初めから"そういう感じ"をもっと醸し出してくれんか????

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↑筆者図解最終版。もう女の関係性でめちゃくちゃ。(ちなみにこの記事でも敢えて触れていない重要な関係性が裏にあったりします)


そんな女と女の混沌とした関係性が繰り広げられていく中で、アリスインシアターが奮闘していく姿だったり、劇団同士の対立だったり、ドールが覚醒して人間を洗脳し始めたり(!?)、災害の裏側が描かれたりと、かなり多くの要素がうごめく物語がこの『ゲキドル』となっています。なので一体どういう話なのかが8話現在掴みきれていない人が結構いるというなかなかすごい作品なのですが、不思議と惹きつけられる魅力があり、最後まで追いたいと思わせてくれる作品です。


④『ゲキドル』の視聴方法(dアニメストアがオススメ)

さて、そんな『ゲキドル』ですが、TV放送はAT-XとBSフジのみで地上波はゼロという、なかなか攻めた姿勢です。

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↑公式サイトのOn Air情報より

しかしながらアニメの配信サービスが整っている昨今、ネットで視聴するという方も多いかと思います。『ゲキドル』も尼プラを始め主要な配信サービスに対応していますが、最速はdアニメストアなので、視聴はdアニメストアをオススメします。

dアニメストアであれば始めは31日間無料なので、今から登録すれば『ゲキドル』を最終話まで無料&最速で追いかけることが可能でしょう。ちなみに私もゲキドルのためにdアニメストア(for Prime Videoのほう)を登録しました。その他の配信サービスは以下です。

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是非お好みの環境でご視聴下さい。



さて、最後になりましたが、今期は『ゲキドル』以外にも多くの百合関連作品があり、どれも目が離せないものばかりです。個人的には『ウマ娘』がかなり良く、毎週楽しみにしています。『ワンエグ』は若干どうなるか分からなくなってきましたが、最後まで見たいと思います。皆さまも好みの百合に出会えますよう。


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