見出し画像

未完のベネチア旅行記(2018年2月)

生きていて一番心がときめいたのは、このベネチア旅行のときだったと思う。
遡ること今から5年前、ウィーン短期留学中に2日間弾丸ベネチア旅行にいった。今日(仕事が暇すぎて)ノートを漁っていたら、その時の日記を発掘した。読むとみずみずしい旅の記憶がよみがえってきて、捨てるのがもったいなくなったので、ここに供養することにした。

帰りの電車で書いたので途中で力尽きているが、書いていく。原文ママ。

2/18
2日間のベネチア旅行が終わった。気持ちが新鮮なうちにまとめておこうと思う。
自分は海外が初めてではなかったけど、留学っていうのは私の面倒を見てくれるホストファミリーや、学校や組織があって、なんかやらかしても誰かがついてて守ってくれるという感じだし(実際そうだが)旅行って自分から計画を立てて、自分の身をきちんと自分で守らないとアウトって結構ハードル高いな…と思った。たくさん調べたけど、やっぱり不安な部分も多かった。だってネットで調べたら、スリとかオーバーブッキングとかパケ死とか、とにかく怖いことばっかり書いてあるんだもん。

「帰りの電車、終電に間に合うかな…」とか、「よく見たらチケットに書いてあるのと違う名前の電車やないけ!でもこれ以外ないしなぁ…」とかで不安だったけど、いざ寝台列車に乗ってみると旅の実感が出てきてワクワクしてきた。
3人個室のやつを予約したら、思ったよりもすごく豪華で掛け布団付き!(そういや枕もあった)スリッパに水250ml ×2 個、すりおろしたりんごがウィダーみたいなのに入ってた。耳栓、フェイスタオル、ビールが備え付け!ビールってすごいよね、飲まなかったけど。

私が真ん中の段のベッドでゴロゴロしてると、おばちゃん2人が乗ってきた。おばちゃんたちは次の日私より早く降りてしまったけど、いい人たちだった。体が大きい方のおばさんは「耳栓ある?」って聞いてきて「持ってるよ」と答えたら「私はいびきがうるさいから、耳栓した方がいいわよ。あなたの眠りを妨げちゃうわ」と言った。私は「オッケーつけるからノープログラム」って言ったつもりだったが、「あなたは良くても、私は気にしちゃうわ」 と返ってきた。実際 4時頃に目が覚めた時は、そのおばさんは耳栓つけてても聞こえるくらい、いびきをかいていた。(気になんないレベルだったけどね)

二度寝から覚めたらイタリアにいるようだった。朝焼けでほんのりピンクがかった空に、一面に広がる平原(ときどき畑)とポツポツ家が建ってて完璧に田舎だったが、駅名(Podなんとか)を見てテンションが上がった!イタリアだ!と部屋を出て、窓の外を見ていると 客室係(か車掌)の兄ちゃんが出てきて「ご飯食べる?」と聞いてきたので、持ってきてもらうことにした(多分7時ごろ)。興奮して外の写真をバシャバシャ撮りまくっていた。山が見えたので、アルプス山脈かなあと思ってバシャバシャ(絶対違う)。

そうこうしてるうちにニーチャンがご飯を持ってきてくれた。前日の夜に朝食カードにチェック付けてたのを持ってきてくれた。ハムがなかったけどまぁ気にしてない。パリパリに焼かれたパンが2つ、ブルーベリージャム、バター、ヨーグルトにフルーツティーが付いてた。フルーツティーは酸っぱかった。パリパリのパン(中はもっちり)をちぎってバターとジャムを切り口に塗って食べた。ヨーグルトは安定のうまさ。

食べてからネットの設定して予定を立てていると、またニーチャンが来て「あと少しでサンタルチア屋駅に着くから、用意して」と言っていたので用意して外を見ると、電車が海の上走ってる!!!!!とはしゃいでまた写真を撮りまくった。予報では雨だったが、ウソのようにいい天気。「これだから iPhone の天気予報はあてになんねぇ!ベネチアが私を歓迎してくれているんだ!日頃の行いが良かったんだ!ヒャッホー!!」と喜びまくり。
実際晴れていて、空気も澄んでいてとてもいい朝だった。

本土が離れていくとともに、向こう岸にぼんやりとしか見えなかった島の影が、はっきり建物の形まで見えてきた。水の都ベネチアの名を冠するだけあって、本当に水の中にドンッと町がある!!やばい!ポケ〇ンのラティオスとラティアスのやつや!ヤバイ!感激!!とテンションだだ上がり。 部屋の外にはアジア人の女の子たちがいて、みな景色を楽しんでいるようだった。

ドキドキしながら電車を降りて駅を出ると、絵本の中のような、映画の中のような、そんな景色が私たちを待っていた。サンタルチアが祀ってあるという緑の屋根の聖堂。その横にずらりと並ぶ色とりどりの建物 。可愛い橋があちこちにかかっていて、その下をエメラルドグリーン(ブルー?)の水が流れている。しかも天気は晴れてて気持ちいい。ずっと憧れていた街が目の前に広がっていた。私のテンションは天井知らずだった。

「あまりに浮かれてるとスリに狙われるぞ!」とか「変なことやらかすぞ!」と必死で自分に言い聞かせていたが、それでも顔がニヘラァとなってしまう。それかすっごいアホ面してたんだろうなと思った。浮き足どころか、体全体が浮いたように足どりが軽かった。

サンタルチア駅の横の、白くてねじねじした変な像がてっぺんに立ってる教会を探していたけど見当たらなかった。スカルツィ橋は見つけたから、近くにあるはずなのに…と思ったが見つからなかった(次の日、工事中だったことが発覚)。他2つの教会は閉まっていたが、たどり着けたことで街歩きに対する妙な自信がわいてきた。ずんずん歩いているとかなり汗をかいた。かなり興奮してたのかもしれない。 コートなんていらないじゃん!という強気っぷり(2月の欧州なのに)。

サンジョッベ教会はかなり島の端に建っていて、運河に沿って道を進むと向こう岸の本土が小さく見えた。自分が現実とはまるで遠く離れた場所にいるようだった。ディズ〇ーリゾートよりも夢の国のようだった。街のどこを見てもかわいい。いい写真が撮れるけど実際に自分の目で見えるものの方がずっとずっと綺麗だった。良いカメラをよりも頭にぐるっと1周目が欲しかったし、見たものを鮮明に思い出せる脳が欲しくなった。家族や他の人にもこの綺麗な風景を見せたいのに、うまく撮れなくて少し悔しかった。

駅の方に戻って2日間 船に乗り放題チケットを買った。30ユーロで船をエンジョイしまくった。レデントーレ教会に向かうべく2番線のバポレットに乗った。ベネチアの本島と他の島(?)の間を通る…というより、本島の外をぐるっと周る、って方が近いのかもしれない。 船に乗る人は、朝けっこう早かった(9時ごろ)からか、けっこう少なかった。船が動き出すと、次から次へと表情を変える街並みにまたヒャッハーして写真を撮ったが、時間帯と日差しの影響でほとんど逆光になり、トホホなかんじだった。海にも出たがどこまでも 絵の具を溶かしたような、ミルキーカラーな青緑が続いていた。

教会に着くと開いていなかったので焦ったが、どうやらオープン15分ほど前だったらしいので周囲をぶらつくことにした。スーパーがあったので、どんなものが売ってるのか気になって入ってみた。しかし、ここは魔のスーパーだった。スーパーの入り口を通るとすぐに遊園地のアトラクションのような一方通行のレバーがあり、レジを通らないと出口が他にないという仕様だったのだ。ただ幸いにも、私はお気に入りのビスケットを見つけていたので、これを買うことにした。スウェーデンにいた時に、このビスケットにクリーミーなチーズを少しのせて食べるのにハマっていて、帰国してからそういうものが食べたいと思っても無かったのが少し悲しかった。ウィーンに行けばあるかもと思っていたが、ビラを2軒回っても見つからなかったので、信じられないがひょっとするとウィーンにはないのかもしれないと思ってたので、とびついて買った。さすがにまとめ買いはしなかったが、これが私のベネチアでの初めての買い物となった。日本や他の欧州諸国とは異なって、イタリアはこんなキャリーバッグみたいなコロコロ買い物かごで、皆さん買い物しまくって大荷物だったので、旅行中の私の荷物が目立たないほどだった。

教会に入ると受付カウンターのような小さな小屋にお姉さんが入っていた。指定の教会に入れる共通チケットは12ユーロと聞いていたが、学生だったので 8ユーロで買うことができた。教会の所在地を示したマップをもらってほくほくだった。おねえさんありがとう。教会は天井が高くて、丸くて、柱や装飾も立派で、まるで神殿のようだった。最後に行ったサンタマリア デイ ミラーコレ教会以外は豪華絢爛といった感じの教会だらけだった。初教会の記念におさいせん入れてろうそくに火を灯して、消えかけのローソクの隣に置いておいた。



ここまでで多分前日夜(出発)~1日目昼(or夕方)まで。
このペースで書いてたら一生書き終わらん気がする。
あんなにはしゃいで撮った写真もすべてiPhoneから消し飛び、いまはもう無くなってしまった。
はっきりとは思い出せなくても、ベネチアが美しかったことだけは忘れないだろう。

力尽きて書けなかったけど、夕食のシャンパンをお姉さんにサービスで付けてもらったのと、ホテルの部屋が死ぬほどかわいかったのと、ガラス細工のお土産屋さんがすてきだったこと(今度は本島以外も行きたい)、美術館で写真撮ってもらったこととか、いろいろあった。
街並みも綺麗で、美術館とか博物館も面白くて、人も面白くて、ごはんも美味しい。
死ぬまでにまた行きたい。

オーバーブッキングについて冒頭で触れているが、この2週間後のスペイン旅行で見事にフラグ回収するのはまた別の話。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?