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第1374回 鳥を詠んだ川柳 ⑴

①https://www.koubo.co.jp/contest/senryu/senryu/079700.htmlより引用の鳥を詠んだ川柳のイラスト

②-1.食用としては高値のアオサギ(体長約93㌢)

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②-2.https://utaneko.hatenablog.jp/entry/2016/06/13/203056より引用の余り飛ばないアヒルが飛んだ

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   ⑴  アオサギ(青鷺)
1.  青鷺の 茶碗で化す 料理茶屋
   (鷺料理は少量でも高価)
2.  青鷺と 化すは五位の 安茶碗
   (料理は高価なのに、一位ではなく五位の安茶碗)(五位鷺にかける)
3.  青さぎを おつかなそうに さげて行き
   (素人には扱いかねる食材)                               ⑵  アヒル(家鴨)
1.  羽根の有る いひわけ程は あひるとぶ
    (あまり飛ばない)
2.あひるでも 追えと黒鴨 弐朱もらい
   (あひる=深川の岡場所)(黒鴨=供男や下男)
3.  黒鴨は 家鴨のやうな 下女と逃げ
    (似た者同士)
4.  ガアガアと いう筈女房 元家鴨 
5.  あひる住む 所も泥の 流れなり
6.  泥水で 白く育った 鶩の子
7.  安い鳶 あひるふさがり 鷹へそれ
     (鳶=火消し)(鷹=夜鷹)                        (3)  (鵜)
・鵜の面は 凡慮の外な 所へ出し                  

③藪中から外を伺うウグイス(写真はオス体長約17㌢)

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    ⑷  ウグイス(鶯)
1.  鶯と 梅は鳴ひたり 笑ったり
   (笑う=花のつぼみが開く)
2.  鶯の 片言梅は 笑ひ出し
3.  鶯を 逃がして屋根の 谷渡り
(篭から逃げた鶯を追って屋根の上を追いかける)
4.  南無阿弥陀仏 法華経を 猫が取り
   (飼っていたウグイスが猫に取られた)
5.  鶯は昔のままの感応寺
   (鶯=法華経=日蓮宗 感応寺は日蓮宗から天台宗に改宗)
6.  鶯の 歌は春の序 古今の序
   (古今集の仮名序に「花に鳴く鶯、水にすむ蛙の・・・」)
7.  鶯も 蛙も泣かぬ 小倉山
   (古今集には鶯と蛙の歌があるが、小倉百人一首には無い)
8.  定家の 門に鶯 ないて居る
   (藤原定家が編集した百人一首に、鶯は一首もない)
9.  鳥飼の 鶯餅に 茶の初音
   (鳥飼和泉は名代饅頭屋)
10.  鶯や 鶉をつかむ 鷹の爪
   (鶯餅) (鶉餅) (鷹の爪は銘茶)
11.  鶯を ききながらくう 藪のそば

④-1.深草にウズラ(体長約20㌢)

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④-2.三羽でも一羽でもオシドリ(雌雄共に体長約48㌢)

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   ⑸  ウズラ(鶉)
1.  化したての 鶉鷹より 猫に怖ぢ
    (七十二候 「田鼡化して鶉となる」)
 (モグラの天敵は鷹だが、ウズラの天敵は猫)
2.  鶉でも 能(よ)いと藪入 よわく出る
    (鶉=芝居小屋の後方の安い席が鶉座敷)
 (安い席でも構わないから芝居を観たいとねだる)
3.  おだやかさ 鶉を敵に 八萬騎
    (鶉狩りに旗本が集まる。徳川幕府には旗本八萬騎いたとされる。)
4.  浅草に鳩 深草に鶉鳴く
(深草は京都の鶉の名所。「浅」と「深」の掛詞) ⑹  ウソ(鷽)
1.  鷽替の 神事と誘ふ 息子連
     (鷽替の神事を口実に、遊里へ行こうと示し合わせる)
2.  亀井戸と 号し息子は うそ祭り                     ⑺  オウム(鸚鵡)
・異国から 来ても鸚鵡は 江戸言葉                        ⑻  オオバン(大鷭)
・武の誉れ 小判の親を 御拝領
    (オオバンも狩猟の対象)                             ⑼  オシドリ(鴛鴦)
1.  鴛に 小袖を懸る 霜の夜
   (鴛=オシドリのオス)(亭主に小袖を掛けて2.  やるおしどり夫婦の女房)
3.  三羽でも 一羽でも鴛鴦 あわれ也
4.  春秋は 池へ鴛鴦 下りるなり
    (上野不忍池に出会茶屋があった)           

 ⑤-1.https://www.google.co.jp/amp/suwatakken.naganoblog.jp/a1399347.htmlより引用のマガモの昼寝

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⑸-2.https://www.seikatsu110.jp/animal/am_pigeon/35213/より引用の悪巧みをしようと群れるカラス

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  ⑽  カモ(鴨)
1.  芹の上 鴨昼寝して うなされる
    (江戸の庶民は、セリと鴨を一緒に煮る)
2.  伊勢屋から 又外へ飛ぶ 暮の鴨
    (お歳暮用に鴨肉を購入)
3.  寒見舞い 鴨は先から 先へ飛び
    (お歳暮の鴨肉を、たらい回し)
4.  日の足も 短く成って 鴨雑煮
    (冬は日が短い。鴨も短足)
5.  類は友 歯白が寄って 鴨の鍋
    (羽白は鴨の一種、歯白は歯を染めていない女で、娘)
6.  いい鴨を網で捕らずに駕籠で捕り
    (井伊掃部、桜田門外の変)                         (11)  カラス(烏)
1.  悪だくみ している様に カラス群れ
あれ烏め という振で 一つもぎ              (柿泥棒)
2.  元朝の 烏鶴にも まさる声
    (元旦の烏は神の使い、めでたいとされる)
3.  鷺と烏と泊まっている 馬喰町
 (馬喰町には公事宿があり、訴訟手続きができた)     (12)  雁
1.  風呂を焚く 薪の中から 雁の糞
   (雁が残していった木片で風呂を焚くことを雁風呂といった)
2.  雁風呂の 長湯は後が 先になり
   (雁の編隊は、後から来た雁が先頭になる)
3.  雁は減り 乙鳥はふへて 国へ行
   (雁鍋にされた分、減る)
4.  琴柱(ことじ)ほど 霞の中を 帰る雁
   (琴柱=人という字に似た形をしている)





 

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