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第1003回 ホトトギス(5回目)

①http://onyanko.mkosugi.com/page/17より引用の「泣かぬなら殺してしまえホトトギス」のイラスト

   今までホトトギスと言えば「托卵」の印象が強すぎて悪い鳥と烙印を押されたようなものでした。確かにカッコウツツドリジュウイチの四種はウグイスカササギにとっては天敵かもしれません。しかし、人間社会の文学に於いては非常に重要な野鳥の一つです。漢字表記は杜鵑、杜宇、蜀魂、不如帰、時鳥、子規、田鵑、鵑、霍公鳥、郭公などなど、異名も卯月鳥、早苗鳥、魂迎鳥(たまむかえどり)、死出田長(しでのたおさ)などなど、これだけの名前を持っている鳥は少ないです。

②https://mobile.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1490.html?transfer=pc_to_mobile&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jpより引用のホトトギスのイラスト

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   織田信長「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」豊臣秀吉「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」徳川家康「鳴かぬなら鳴くまでまとうホトトギス」と戦国時代の名武将の性格をわざとホトトギスを用いて表されたもので、①のイラストはそのうちの織田信長のもののイラストです。俳句と言えば、正岡子規がホトトギスと縁のある詩人です。「鳴いて血を吐く」と言われているホトトギスと結核を患っていた自分を重ね合わせ、ホトトギスの漢字表記の子規を自分の俳号としました。

③https://washimo-web.jp/Report/Mag-ShikiHototogisu.htmより引用の草花のホトトギス

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   全長は28㌢ほどで、ヒヨドリよりわずかに大きく、ハトより小さく。頭部と背中は灰色で、翼と尾羽は黒褐色をしている。胸と腹は白色で、黒い横縞が入るが、この横縞はカッコウツツドリよりも細くて薄く、目のまわりには黄色のアイリングがあります。夏鳥で日本に五月中旬に他の渡り鳥よりも遅くくるのは托卵の習性のために他の鳥の繁殖が始まるのにあわせる事と、食性が毛虫が主食のため、早春に渡来すると餌がいないからです。③は秋に山野で花を咲かすホトトギスです。

④https://washimo-web.jp/Report/Mag-ShikiHototogisu.htmより引用の色んなホトトギスの情報を示したイラスト

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   オスの鳴き声は大きな声で「キョッキョッ キョキョキョキョ」と聞こえ「ホ・ト・…・ト・ギ・ス」とも聞こえます。早朝からよく鳴き、鳴き始めは夜に鳴くこともあります。この鳴き声の聞きなしとして「本尊掛けたか」や「特許許可局」や「テッペンカケタカ」が知られます。また古文書の日本では、激情的ともいえるさえずりに仮託して、古今ホトトギスの和歌が数多く詠まれ、すでに『万葉集』では153例『古今和歌集』では42例『新古今和歌集』では46例が詠まれています。

⑤https://www.yushu.co.jp/shop/g/g106710/より引用のホトトギスの3円切手

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   正岡子規は「鳴いて血を吐く」と言われるホトトギスと自分を重ね合わせ、ホトトギスに因む句を一晩で数十も作り名を上げました。俳句や小説では芥川竜之介、斎藤茂吉、尾崎紅葉、野村胡堂、菊池寛、幸田露伴、夏目漱石、泉鏡花、二葉亭四迷など文学界の名だたる有名人がこのホトトギスを取り上げています。文芸雑誌『ホトトギス』や徳富蘆花作『不如帰』も有名です。なお香川県の県鳥として、また昭和29年には⑤の写真の様に切手の3円として、また63年には60円切手も。

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