第690回 首を振って歩く鳥
①https://matome.naver.jp/m/odai/2136535054168847901より引用の首振りドバトのイラスト
ハトやニワトリは歩くときに首を振ります。このことは以前にも語りました。色んな研究をされる方がおられ、実験でニワトリを自転車に乗せ、ゆっくり漕ぐと首を振りました。ルームランナーで歩かせたら首を振らなかったようです。暗視カメラ、暗い部屋の中では歩いても首は振らなかったというこの三点の実験で、景色に合わせて首を振っているらしいことがわかりました。もう一歩を踏み出す片足立ちの時に頭を停止し、両足をついて一方で地面を蹴る時に首を伸ばします。
②https://www.google.co.jp/amp/xn--h9jua5ezakf0c3qner030b.com/4481.html/ampより歩くニワトリ
視野の安定は、近距離を見るとき重要眼が頭の側面に付いている鳥は、流れる背景の追従眼球運動の代わりに、歩行中に首を前後に振ります。物をよく見るには眼の位置を固定した方が、しっかり見えます。人間は無意識に目を動かし景色を追い、鳥は目を少ししか動かせず、普通に歩くと常に頭が移動し、眼の位置も動き、物がよく見えません。そこで頭を固定し首を縮めます。限界にはすばやく頭を前に移動し、この繰り返しが、顔を動かさない時間を作り、物を良く見るためです。
③地上で採餌して歩くムクドリ
私たちがよく見かけるハトは視野が広く、左右の景色を左右の眼で別々に見ています。ハトは眼球を動かさず、眼球を動かす代わりに首を動かして景色を見ます(追従眼球運動の代わり)。頭を瞬間移動し、物を立体的に捉えるためと重心を保つためです。立つ時は二本足ですが、歩く時は一本で支えます。人は手を振り重心を保ち、一部の鳥は脚を上げる時に、首を後ろに引いて重心を体の中央に保ち、脚を出すときに首を前に出して重心を移動します。鳥によって違うのです。
④歩く首の長いアオサギ
歩行を安定させるには、片足立ちの瞬間に首を固定することで、姿勢が安定します。また歩く時に首を前に出すことで、歩行時の安定性を増します。歩きながら食べ物を探してついばむ鳥が多く、③と⑤の写真のムクドリとセキレイの仲間がそうです。採食行動と関係しています。動きが速すぎたり、遅すぎたりして気づきにくい鳥もいます。それが④の写真のサギの仲間です。採食行動と関連していて、飛行中はもちろん首を振りません。セイタカシギは一歩で二度首を振ります。
⑤首も振り、尾羽も上下に振って歩くハクセキレイ
殆どの鳥が首を振らないのはなぜでしょう。それは一歩が短いからで、脚の回転数を早くして速度を高めていて、両足立ちの時間が長いからです。チドリの仲間は一箇所にじっと立って、比較的遠くの獲物を探し、見つけるとそこに駆け寄って採食します。猛禽類や、ツバメ、カワセミの仲間では前方視が主なので首は振りません。またハクチョウやペンギンなどは首を振りません。人間が手を振らないで歩く時のように、体全体を大きく揺らして進み、早く歩くことは出来ません。
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