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第1225回 不思議なアオバト(6回目)

①http://psiphipsiphi.blogspot.com/2011/05/thick-billed-green-pigeon-treron.html?m=1より引用のアオバトのイラスト

   私たちの住んでいる街で身近な鳩といえば、駅のロータリーや公園、神社仏閣など人の集まる場所に必ず現れてとことこ歩いているドバトと、以前には「ヤマバト」と呼ばれていましたが、環境の変化から街中に最近になって進出して来ましたキジバトの二種が身近な鳩と言えます。しかし、二種には及びませんが、キジバトの別名と同じ名前のアオバトが本当に山に住んでいます。②の写真がアオバトです。二種の鳩と違い、アオバトは写真のように樹上生活をする「ヤマバト」です。

ヤマバトことアオバト(体長約33㌢)

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   アオバトは若草色の羽が美しいハトで、名前の通り全体的にオリーブ色ですが、オスは頭から胸にかけてが黄色、腹はクリーム色、肩から羽が暗赤色。一方メスはそれらの箇所もオリーブ色で、虹彩は青色。広葉樹林や針広混交林を好み、単独でも、集団でも多い時は十羽程度の群れを作って行動し「アオー、アーオー」等と聞こえる独特の声で鳴き、樹上に木の枝を束ねた皿型の巣を作ります。植物食で果実や種子等を食べます。ドバトキジバトと違うのは地上でなく樹上生活です。

③https://mainichi.jp/articles/20130830/mul/00m/100/040000cより引用の日本に生息する鳩

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   ③のイラストは日本に生息する七種の鳩の仲間です。ドバトキジバトアオバト以外は地域が限定されています。その三種の中でも、アオバトは街中に現れることがありませんので、そういう意味では身近でない鳩と言えます。アオバトの漢字表記は「緑鳩」で、種小名は、テミンクがシーボルトへ献名したものです。身近なドバトキジバトとは違い、街中には現れず、身近な二種の鳩が地上採餌するのに対して、このアオバトは樹上採餌を基本として、鳥類でも珍しい植物食です。

④https://mobile.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4519.html?transfer=pc_to_mobile&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jpより引用のアオバトのつがいのイラスト(左側がオス、右側がメス)

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   アオバトは広葉樹林や針広混交林を好み、単独から多い時は十羽程度の群れを作って行動します。ドバトが集団行動、キジバトが単独かつがい行動に対して、アオバトはその両方の行動します。またアオバトのみが、植物食で果実や種子等を食べます。鳩独特のピジョンミルクをヒナに与えますが、非常に栄養価が高いので、アオバトズアカアオバトのように植物食のみだと難しいと言われていますが、他の鳩の仲間同様にピジョンミルクをヒナに与えて育雛を行えるのはなぜでしょう。

⑤海の磯辺に海水を飲みにくるアオバト

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   アオバトは夏になると、森林で生活しているのにも関わらず群れをなして、海辺の岩場に集団で海水を飲みに危険を覚悟してやってきます。岩場で海水を飲むのは波にさらわれる可能性もある危険な行為です。その理由は塩分やミネラル補給のためと考えられす。植物食だけではピジョンミルクを生成することが出来ないからです。海水は⑤の写真のように鳩しか出来ないストローのように吸い上げます。その際、尾羽から下半身を意図的に海水に漬ける「尾浸け」という行動を行います。

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