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第619回 初めてのサンコウチョウ

①https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/1429.html?transfer=mobile_to_pcより引用のヒナを育成中のサンコウチョウのイラスト

   私がいま現在いちばん観たい野鳥はサンコウチョウです。600回を超えて野鳥のことを語っているのに、この自分がいちばん会いたいサンコウチョウのことを主役として語ったことがありませんでした。今回が初めての語りですが、これを記述している時点で、未だにこのサンコウチョウには会っていません。サンコウチョウの漢字表記は「三光鳥」三つの光の鳥…地鳴きは「ギィギィ」と地味ですが「ツキヒーホシ、ホイホイホイ」月・日・星、と聞えることからの由来です。

サンコウチョウのオス(体長約45㌢)

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   世の中には不思議なことがいっぱいありますが、サンコウチョウみたいに極端に尾羽が長い野鳥は樹木の間を飛び交うのに支障はないのでしょうか。鳥ごとながら心配してしまいます。日本には、夏渡来し繁殖する渡り鳥です。渡りの時もこんなに長い尾羽で、長距離を飛行して大丈夫なのか、そんなことも何気なく考えてしまいます。しかし安心しました。こんなに尾羽が長くなるのは繁殖期だけで、日本にやってくる時はメスと同じく、体長約18㌢で、尾羽も小さいみたいです。

③https://blog.goo.ne.jp/pin-boke-jiiji/e/7260a2d77ae451236270e4943b2b7d39より引用のサンコウチョウのメス(体長約17㌢)

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   サンコウチョウは③の写真がメスで、④は背中が茶色く尾羽が長いオスです。しかし 実は雄に三つの形態が存在します。②の写真の背中が黒紫色で尾羽が長いオス、そして背中が黒紫色や茶色で尾羽が短いオスの三つのタイプが存在します。この中の長い尾羽は、年齢依存の場合と健康依存の場合の二つが考えられます。年齢依存の場合は、標識個体の経年的な追跡によって変化の様式が明らかになります。 いずれにせよ、長い尾羽をもつ個体は社会的な地位が高くなりメスにもてます。

④https://blog.goo.ne.jp/pin-boke-jiiji/e/7260a2d77ae451236270e4943b2b7d39より引用のサンコウチョウのオスの背中が茶色の個体

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   おそらく長い尾を持つ「カッコイイ」個体は、
社会的に上の立場にあり、子育てが上手なもてる個体なのでしょう。オスの体長は約45㌢で、メスは約17㌢。雌雄ともに尾羽の長さを引き算しましたら、約15㌢くらいですから、身長の約三倍の長さの尾羽を持つことになります。そんな長すぎる尾羽を扱って、繁殖期を過ごすのですからいかに、その生命力が強いかということです。このことは人間社会にも通づることで、そのことが人間では財をなして、社会的地位を築きます。

⑤http://nf-world.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-fafe.htmlより引用のサンコウチョウの巣

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   そんなサンコウチョウの巣作りは、樹のV字形の股の所に薄くはがしてきた杉の皮を掛けて、そこで今度はクモの糸を集めて上手にかたちを整え杉の皮やコケやショロの繊維やらでカップ状にかたちを整え巣の中にはクッション代わりかと思えるような、ショロの繊維のような物や細くはがしたと思われる杉皮などで産卵床を作ります。巣作りはオスの仕事です。そんな贅沢な巣で雌雄ともに子育て、巣立ちを迎えた頃に渡りがやってきて、オスは自らあの長い尾羽を抜いて渡ります。

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