見出し画像

第2038回 モズの裏表

ご注意:この記事の中に衝撃的な写真を掲載しています。紹介のためお許しください。

①https://holi3.exblog.jp/31163406/より引用の「鷹になれなかった雀」(モズの幼鳥)

   モズという鳥は①のタイトル写真(モズの幼鳥)のようにスズメに似ていますので、よく「鷹になれなかった雀」と揶揄されます。写真を見てみますと猛禽類のような完全な肉食で、小さな昆虫や小魚、エビなどの魚介類、カエルなどの両生類、トカゲやヘビなどの爬虫類、ノネズミなどの小さな哺乳類、同じ仲間の小鳥などを捕食する、いわゆる小さな身体の猛禽類みたいなものです。体長約20㌢の身体で自分より大きな体長約27㌢のヒヨドリを襲うこともあったりします。日本の猛禽類のタカで一番小さいのは体長約27〜30㌢のツミがいます。街中にいる体長約33㌢のドバトより小さい猛禽類です。猛禽類の定義には鋭い鉤爪の趾と、鉤状のクチバシの二つです。襲って捕獲した獲物をクチバシで仕留め、鉤爪で挟んで樹上に持ち去り捕食するというものです。モズにはこの太い脚の先に付いた、鉤爪がなく猛禽類でないのです。

②-1.https://www.pref.osaka.lg.jp/koho/character2/index.htmlより引用の大阪府鳥でマスコットのモズやん

画像4

②-2.YouTubeより引用の「小鳥のものまねで求愛するオスのモズ」

画像3

   本来ならモズは猛禽類になりたかった鳥なのに、その容姿から、また猛禽類の二大要素のひとつの鉤爪が欠けていましたが、昔からの注目を浴びるべき存在の鳥であったわけです。それが証拠にモズは②-1.のイラストのように大阪府の府鳥であり、またマスコットでもあり、なおかつ副知事の役職も持っているといいます。またモズの名前は堺市の世界遺産に登録されました百舌鳥古墳群にもその名前を馳せていて、地名の百舌鳥町や駅名の中百舌鳥などにも採用されています。そんなモズは繁殖期を迎える時には、他の鳥が自分のさえずりをつがい相手のメスに聴かせて、求愛行動するのに対して、モズの求愛のさえずりは他の小鳥のさえずりの鳴き真似をするのです。これだけでもモズは大変愛嬌のある鳥で、『表』の顔です。

③-1.https://www.iga3farm.jp/wp/2019/03/02/%E3%83%A2%E3%82%BA%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%8C%E3%81%84/より引用のつがいのモズ(左がメス、右がオス共に体長約20㌢)

画像1

③-2.https://www.birdfan.net/2018/10/19/65608/より引用の高鳴きするモズ

画像2

   ③-1.の写真はつがいのモズです。それと共にタイトル名であります「モズの裏表」を表しています。①の写真の幼鳥時や、成鳥になっても他の鳥と比べてみましても頭でっかちで、猛禽類の鋭い目付きの顔ではあり得ないモズ。こんな表情の顔付きをご覧頂いても、こんな可愛らしいモズが同じ鳥の仲間のスズメなんかを襲うというのはやはり「表裏」の『裏』の部分ではないかと私は思います。『裏』への「裏表」からの切り替えが秋も半ばに差し掛かる時期に行われる③-2.の写真のモズの高鳴きをきっかけとします、餌の乏しくなります冬への入り口の時期の縄張り宣言だろうと。

④-1.https://torilog.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-5e60.htmlより引用のモズのつがい相手への求愛給餌

画像5

④-2.https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32172000663より引用の雌雄で子育てするつがいのモズ

画像6

   ③の項の秋深くなり、高鳴きをする以前の繁殖期のモズは、つがい相手になってくれたメスに対して、④-1.の写真のように求愛給餌を行います。給餌を受けるメスはまるで、ヒナに還ったように甘えるように、つがい相手のオスから、給餌され捕食します。そして、春先に営巣を開始します。巣を作る場所はつがいで決めた縄張り内で、巣が見えにくくなるような茂った葉があるか、すぐに餌が捕獲できる場所に地上から1~2㍍ほどの高さに作ります。巣作りはメスが中心になり、オスはメスに従い行動し、外敵に邪魔をされないよう見張りをします。3~4個を産卵し、抱卵ははメスだけですが、その間オスはメスのために給餌します。卵が孵化しますと、つがい揃って④-2.の写真の様に雌雄でヒナに給餌し、オスはヒナの糞を処理するなど綺麗好きで、幼鳥になるまで郁雛します。

⑤-1.https://galaxygemsmatome.blog.jp/archives/11954861.htmlより引用のスズメを捕獲したモズ

画像7

⑤-2.YouTubeより引用の捕獲したスズメを速贄にするモズ 

画像8

   モズは繁殖期につがい相手を探し、子育てをして、若鳥として育て上げたのちの秋半ばに高鳴きをして、つがい関係、親子関係を解消し、個々の縄張りを持つべく高鳴きを、オスもメスも周りで高所の樹木の天辺で高らかに行うわけです。それだけ主食としていた昆虫や両生類、爬虫類が減り、⑤-1.のような小鳥や小さな哺乳類しか捕食の対象にならなくなる前に、色んな獲物をモズは速贄にします。速贄の目的は冬の蓄えとも、高鳴きをした縄張り宣言の見せしめとか言われていますが、まだまだ研究段階で謎は残っています。今まで繁殖期にあんなに優しいモズの家族は離散し、生きる為の個々の狩人となるわけでし。⑤-1.の写真は大きな括りでいうと仲間であるスズメを捕獲して、⑤-2.の写真のように生贄なのか、貯食なのか木の枝に突き刺して、速贄にしてしまいます。これは頭でっかちで、スズメ体型の可愛らしいモズしか知らない方にとってはモズの『裏』の姿を知ればびっくりされることだと思います。しかしモズの非繁殖期のこの行動は自然を生き抜くための行動であり、また翌年の春先にはまたモズはメスやヒナに対しても、生き抜くことを教えます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?