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第1309回 抱卵しない鳥

①https://www.misawa.co.jp/50th/sumai/forest/scrubfowl.htmlより引用のツカツクリの巣のイラスト

   第1284回で一番「早成性」の野鳥の条件として、⑴  寒い時のために保温性がある綿毛が産まれた時から生えている  ⑵  産まれた時から開眼している  ⑶  産まれたと同時に巣立ちする  ⑷  産まれた時から採餌できる  ⑸  産まれた時から親離れ  と言う五つの条件を要しています。この五つの条件をすべて有している野鳥は残念ながら日本には存在しません。また、ツカツクリと言う名前はフクロウと同じく総称です。ツカツクリという鳥種もいれば、これから紹介していく仲間もいます。

②https://blog.goo.ne.jp/pandado4/e/d37209bc9801475dd13b33ba779390e0より引用のヤブツカヅクリ(体長約70㌢)

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   そもそも超がつくほど「早成性」のツカツクリの漢字表記は「塚造」で、その生活そのものの行動が名前に現れています。地面に穴を掘り、枯れ葉や土などを盛り上げ、高さ1m以上の塚をつくり、その中に卵を産みます。その生息分布はアメリカ・マリアナ諸島、インド・ニコバル諸島、インドネシア、オーストラリア、トンガ、フィリピンなどです。その姿は黒や褐色の羽毛で覆われ、種によっては頭部に羽毛がなく皮膚が露出し、鶏冠や肉垂があり、日本でいうならキジの仲間です。

③https://www.google.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/mimosa-pudica-l/entry-12004875017.htmlより引用のクサムラツカツクリ(体長約51〜60㌢)

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   題名が「抱卵しない鳥」というのはツカツクリの仲間しかいないのですが、それではその仲間とはどんな種なのでしょうか。②の写真はヤブツカヅクリ、③はクサムラツカツクリ、④はセレベスツカツクリ、⑤のイラストはエボシツカツクリ、他にもモルッカツカツクリツカツクリを合わせて六種いることになります。ツカツクリは当たり前でメスが卵を産み、つがいで穴を掘り、その穴の下に卵を産みつく、上には葉っぱや草などの植物を置いて塚を作り、後はオスが面倒を見ます。

④https://tr.twipple.jp/hs/1a/33/%23子ども科学電話相談xセレベスツカツクリ.amp.htmlより引用の塚造りに卵を産みつけるセレベスツカツクリ(体長約55〜60㌢)

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   ④の写真はセレベスツカツクリのつがいが営巣している風景です。メスは森林の林床や砂浜、水辺などに深さ90〜120㌢の穴を掘って卵を産み、地熱や太陽熱によって卵を孵化させます。場所によっては、火山付近の温かな地面に塚をつくり火山の熱を使う種もいます。普段は森に住むキジの仲間。脚力があるので、地上で生活します。メスの産みつけた卵を、オスはタマシギのように郁雛はしませんが、クチバシを地面に刺し、舌を通して温度を確認し、巣の温度を調節するといいます。

⑤http://www.jade.dti.ne.jp/~zardoz/birds/397.htmlより引用のエボシツカツクリのパプアニューギニアの切手

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   ⑤の写真はパプアニューギニアの切手にもなったエボシツカツクリです。外国の野鳥なんで非常に情報も少なくです。ここでおさらいですが、ツカツクリカッコウの仲間のように綿毛もなく体温も低そうなので、このように塚を作りその中に卵を産み、中に枯れ葉を混ぜあわせ、微生物が枯れ葉を分解する際に生じる発酵熱を利用しているのです。この発酵熱によって、塚の中はいつも30度以上で、抱卵せずに卵を温めることができます。自然の力を借りて繁殖する素晴らしい鳥です。

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