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第1634回 旅がらす

①https://kigurumi.co.jp/product/tabigarasu/より引用の旅がらすのイラスト

   ①のイラストはカラスが旅がらすの衣装をまとっている様子です。『旅がらす』を国語辞典で引きますと「ねぐらをもたない烏の意。定住しないで、旅から旅へと渡り歩く人。また、よその土地から来た人を卑しめていう語」とあります。この文面を解釈しますと、カラスは生息地が定まらず渡りを繰り返していますから、ねぐらも持てずに生活している野鳥だから、昔の時代劇で流行った俳優中村淳夫の「木枯し紋次郎」のような渡世人や居所を転々とする人のことを表したようです。

②http://ikimono8000.blog36.fc2.com/blog-entry-1510.htmlより引用の左がハシボソガラス(体長約50㌢)と右のハシブトガラス(体長約56㌢)

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   本当にカラスは前項のような印象を受けさせるような鳥なのでしょうか。②の写真には日本の代表的なカラスでありますハシボソガラスハシブトガラスの二種が写っています。皆さんから嫌がられていますカラスはゴミを漁る※1.ブトで、田畑で種をほじくっているのが※2.ボソです。二種とも留鳥で渡りはしません。またブトとボソは普段は②の写真のように仲良くはなく、ボソは特に縄張り意識が強くてこれは珍しい写真です。しかし、ねぐらを組むとなれば何故か二種合同で組みます。

  ※1.ブト→ハシブトガラス  ※2.ボソ→ハシボソガラス

③-1.https://www.birdfan.net/2017/09/22/55627/より引用のホシガラス(体長約35㌢)

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③-2.https://www.birdfan.net/2017/02/24/50417/より引用のカワガラス(体長約22㌢)

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③-3.https://www.birdfan.net/2015/03/20/33689/より引用のウミガラス(体長約42㌢)

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   まったく身近なカラスではなくなりますが「カラス」と名が付くものには高山に生息致します③-1.のホシガラスがいます。冬季はやや低地に降りてきますが渡りはしない留鳥です。③-2.のカワガラスは留鳥として、河川の上流から中流域にかけてと山地の渓流に生息します。しかし、カラスの仲間ではありません。③-3.のウミガラスは北方領土辺りに生息し、冬になると本州北部に越冬はしますが、基本的に留鳥で、カラスとは名づいていますが、ウミスズメの仲間でカラスではないです。

④-1.https://yacho-joho.com/niteiru-yacho-chigai-miwakekata/miyamagarasu-kokumarugarasu-chigai-miwakekata/より引用の右がミヤマガラス(体長約47㌢)と左二羽が黒型と白型のコクマルガラス(体長約33㌢)

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④-2.https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ミヤマガラスより引用のミヤマガラス

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   少なくとも、二、三年に一度は新聞やテレビのニュース番組にその姿を見せる④-1.のコクマルガラスミヤマガラス。特に九州地方に越冬のために現れて、マスコミを賑わせます。同じ写真に写るコクマルガラスを行動を共にして、群れを為して渡ってきます。④-2.の写真では何となく、三度笠が似合いそうな雰囲気を持っています。この二種はコロニーを結成し、集団行動が日常です。本来の三度笠を被った『旅がらす』というより、二種のコクマルガラスを引き連れた黄門様の様です。

⑤https://www.advan-group.co.jp/times/karasu_syurui_japan/より引用のつがいのワタリガラス(手前がオス、奥がメス共に体長約61㌢)

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   ⑤の写真がワタリガラスと言っても、ハシブトガラスによく似ています。恐らくカラスでは一番大きいと思います。冬鳥としては生息地のユーラシア大陸全域や北半球から少数が、流氷が来るころ知床などのオホーツク海沿岸にに飛来するということです。カラスの中でも四歳児の知能を持つとされています。ブータンの国鳥でもあり、ノアの方舟にも登場します。多分極地に近いものが南下して北海道にやってくると思われます。こういう経過を見てみると『旅がらす』はいない様です。

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