第1109回 カラスの減少(ハシブトガラス、ハシブトガラス共に16回目)
①https://w-sc.jp/crow/より引用のハシボソガラス(体長約50㌢)
もう何回も①の写真のハシボソガラスと②の写真のハシブトガラスを紹介して語ったことでしょう。今我が国に於いて「カラス」といえばこの二種のカラスのことでありますが、最近では街中によく見かけるハシブトガラスがカラスと言えると思います。しかしこの二種は姿形が凄く似ていて、やはりカラスといえばこの二種を指すことになります。街中でハシブトガラスを見ないことはないくらいに目立っていると思います。しかしこの二種のカラスも減少しているらしいです。
②http://gaityu-town.com/column/theme01/column07/より引用のゴミを荒らすハシブトガラス(体長約56㌢)
カラスの実態調査を開始した1985年に6727羽だったカラスは増加を続け、ピークとなった2000年には1万8664羽となりました。しかし、2000年以降は減少に転じ、2015年には4816羽と最盛期の約4分の1になっています。私が子供の頃の昭和40年代の頃には街中にカラスがいること自体が珍しく、また久方ぶりに現れましたら、それこそ不孝の始まりで、人が亡くなる予兆であるとかいわれました。その時たまに現れるカラスはハシブトガラスではなく、ハシボソガラスでした。
③https://www.ec-life.co.jp/garage/yodo/trash/page/40/より引用のゴミステーション
以前は街中にいたとはいいませんが、時たま現れたのはハシボソガラスでした。英名のCarrion Crowは「屍肉を食べるカラス」で、街中に現れるどぶネズミの死骸なんかを食べるスカベンジャーでありました。街中にハシブトガラスが進出してきましたのは、高度成長が二度ありGNPが上がった頃、ゴミ出しを蓋付ゴミ箱から、ポリ袋にいれて町内会が指定するゴミ置き場に起き始めた頃に当時は森林にいた英名Jungle crowのハシブトガラスが、森林生活より街中に居住を移しました。
④https://www.shimintimes.co.jp/news/2019/05/post-5021.phpより引用のカラスの営巣
ハシボソガラスは反対に山沿いで暮らすカラスでした。地上採食で、ハシブトガラスのように見晴らしの良い場所でなしに、とことこ歩き回る同じ二種のカラスの中でも雑食ですが、植物食の強いカラスです。たまに街中に現れ、ネズミの死骸などを採餌していて、Carrion Crowになりました。反対に動物食の強いハシブトガラスは、森林を駆け巡り小動物を採餌するより、人の残飯をゴミ袋から取り出して採餌する楽な道を選びました。
⑤https://note.com/hiho2351/n/ncfed8e6148e8より引用のハシボソガラス(左側)とハシブトガラス(右側)
なぜ二種のカラスが減少しているかは、生息する生活環境にあります。ハシボソガラスは人から離れた田園地帯に追いやられたので、街中に暮らすハシブトガラスと比べて繁殖能力は低いです。ではハシブトガラスはというと、以前のようなゴミ置き場から③の写真のようにネットをキチンと被せるようになり、採餌が難しくなったこと。まだ採餌を巡って、ハシブトガラスは街中から、田園地帯まで、生活範囲を広げ、ハシボソガラスとガラスの縄張り争いをするのも減少の一因です。
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