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第895回 伊達男なカケス(3回目)

①https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=1002233&word=カラスの羽より引用のカケス のイラスト

   カケスといえば、シメカワラヒワの怖い顔とは違ったまた別の強面で、知能の高い「カラス」の仲間です。カケスの漢字表記は「懸巣」「鵥」で、名前は松や杉の樹に皿型の巣を懸けることに由来します。カシ、ナラ、クリの実を地面や樹皮の間等の一定の場所に蓄える習性があります。冬は木の実が主食となり、蓄えたそれらの実を食べて冬を越すので、またの名を『カシドリ』(漢字表記「橿鳥」)と言います。「ジェー、ジェー」としわがれた声で鳴き、それが英名の『Jay』です。

②https://www.birdfan.net/2018/02/23/60185/より引用のじろりと振り返り睨みを効かせるカケス(体長約33㌢)

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   カラスのように知能の高さの証明には、他の鳥の鳴き声や物音を真似するのが巧く、林業のチェーンソーや枝打ち、木を倒す時の作業音を「ジェージェー」の間奏を入れつつ再現することもあります。飼い鳥として人に慣れたものは人語の真似までします。その姿は額から頭の天辺までが白と黒のまだら模様で、喉、腹は白色、目の周りや尾羽は黒く後頭部、背面、胸部等は葡萄褐色。羽の色が美しく特に基部は黒、白、青がだんだら模様を作っていて、クチバシは鉛色で先が黒いです。

③https://fireside-essay.jp/miyazaki/bird/562.htmlより引用のベレー帽を被ったようなカケスの伊達男

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   カケスは小雨覆といって翼の肘にあたる部分の水色と白と黒のストライプ模様をした小さな羽根の塊が美しいです。ほかにも頭のてっぺんの縞模様や腰の白斑や翼の風切羽にある白と黒のストライプ、胸の赤錆色や真っ黒な頬髭、それに水色の不良っぽい眼。これらを総合するとすこぶるキザで軽い伊達男ぶりを感じさせます。またカケスはカラスの仲間なので、その英名のそのもののダミ声で「ジェー、ジェー、ジェー、ジェー」鳴きます。でもしっかり他の野鳥の鳴き真似をします。

④https://www.google.co.jp/amp/s/nonbiri55.exblog.jp/amp/22766408/より引用のドングリ好きなカケス

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   本来のカケスの食性は雑食で昆虫類が主食ですが果実、種子等も食べます。またカラスのように他の小鳥のヒナを食べることもあります。しかしドングリが大好きで、別名カシドリ宜しく、冬に向けてドングリを数多く貯食します。物真似上手なカケスはまたウグイスやタカ類など、その野鳥の鳴き声の物真似で、このあたりにはどんな野鳥がいるのか教えてくれ、また熊が森に現れたら、例のダミ声で知らせてくれます。このカケスこそ、森の中の情報屋と呼ばれるのに相応しい鳥です。

⑤-1.黒い帽子を被ったオナガ(体長約37㌢)

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⑤-2.オナガを追いやった外来種のカササギ(体長約40㌢)

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   カケスはカラスの仲間ですが、決してハシブトガラスハシボソガラスのように黒くないカラスです。カケスだけ黒くないのかと言うと、⑤-1.の写真のオナガや⑤-2.のカササギなど、皆んなお洒落な羽色をしていますが、どれも悪声なのが特徴です。黒いカラスたちも美声とは言えません。カケスは日本では漂鳥です。しかし、カケスの仲間のオナガカササギも留鳥ですが、カササギが九州で分布を拡大し続けているので、オナガが同じ仲間に追いやられ、今や東日本しか生息しません。

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