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第852回 いろんな渡りの野鳥たち

①https://blog.goo.ne.jp/jumpkomei/e/4f1a577f3c4ec048066ad8c84b38dbd1より引用の野鳥の渡りの世界

   世界の鳥のおよそ五種に一種は渡り鳥です。私たちにもお馴染みの夏の渡鳥のツバメや、フクロウの仲間のアオバズク、托卵で有名なホトトギス、冬にやってくるマガモやガンの仲間、また一部の地域によって漂鳥として渡りを行うヒヨドリ、どの渡りの旅も壮大で、時には危険を伴う持久力の偉業ですが、その距離、数千㌔から数万㌔に及び、その行手には高山があったり、季節風や台風、いろんな障害が待ち構えるなか、半球睡眠しながら夜通し跳び続ける野鳥、壮絶な七種です。

②https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4416/?ST=m_newsより引用のヒマラヤ山脈を飛び越えるインドガン(体長約58〜68㌢)

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   ②の写真のインドガンは河川、湖沼、湿原、農耕地などに生息し、昼間は土手などで休み、夕方になると活動する夜行性です。非繁殖地では大規模な群れを形成するします。そのインドガンの渡りほど一貫して高い所を飛ぶ鳥は他にいません。繁殖地のモンゴル、チベット平野、中国北部から越冬地のインドに向かう旅の途上で彼らは平地の10%しかない酸素を使って、追い風の助けもなしに標高7,000mに及ぶヒマラヤ山脈を越えるのです。渡りの距離は3,000〜5,000㎞に達します。

③https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4374/?ST=m_newsより引用の時速97㌔で渡るヨーロッパジシギ(体長約30㌢?)

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   ③の写真のヨーロッパジシギは、短距離走ならば獲物を襲う時に時速390㎞に達するハヤブサの勝ちでしょうが、長距離の渡りでは予想外の最速野鳥は、冬の渡りの前にどれほど栄養を蓄えて、体力を蓄えるのか。航空力学的に欠けているところの燃料タンクの大きさを容量を倍増することで埋め合わせをしているのです。早く飛ぶことを助けると思われる追い風に頼ることなしに、このズングリした鳥は6,800㎞の距離を時速97㎞で飛んだ記録を達成しています。一切休憩をせずに飛び、その結果体重の半分を失うほどハードです。

④休息なしで11,000㎞を飛んだノンストップ飛翔の最長記録保持者のオオソリハシシギ(体長約41㌢)

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   そのヨーロッパジシギによく似た記録は、④の写真のオオソリハシシギです。飲まず食わず、そして睡眠も取らず(半休睡眠)に九日間飛び続ける渡り飛行、これがオオソリハシシギの渡りなのです。オオソリハシシギは東アジア・オーストラリア地域航路を利用します。アラスカからニュージーランドまで休息なしで11,000㎞を飛んだ休憩なし飛行の最長記録保持者です。オオソリハシシギに耐久力の問題はなさそうですが、その休憩地点に南港野鳥園みたいな場所が有ればと思います。

⑤http://www.cec-web.co.jp/column/bird/bird167.htmlより引用の小さな身体で約15,000㎞渡るコオバシギ(体長約24㌢)

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   ③のヨーロッパジシギに、④のオオソリハシシギ、そして⑤のコオバシギとシギチの仲間です。この小生息数のコオバシギは、非繁殖期は干潟、水田、河口、海岸等に生息し、オバシギの群れに混ざって行動することが多く、いつもその中では少数派です。コオバシギはせいぜい数十羽の群れでいることが多いのです。繁殖期は、ツンドラ地帯に生息し、わずか体長24㌢のシギですが、毎年チリやアルゼンチンの南部沿岸からカナダの北極諸島までのなんと約15,000㎞をも渡ります。

⑥https://penguin-book.com/adelie-penguin/より引用の太陽を追って繁殖コロニーから南極大陸のロス海の越冬地まで平均13,000㎞を歩いて渡るアデリーペンギン(体長約60〜70㌢)

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    「そんなわけがあるものか」と思われるのは当たり前だと思うほど、この⑥の写真のアデリーペンギンは太陽を追って繁殖コロニーから南極大陸のロス海の越冬地まで平均13,000㎞を歩いて渡るといいます。ペンギンは飛行出来ないはずなのに、どうやって、そんな長距離を移動することができるのかと私でも思います。水中を泳いで渡るに違いないと。食性はオスが魚類を主に食べ、メスはオキアミ類を主に食べる、そんなアデリーペンギンはなんと歩いて渡りをするから驚きです。

⑦渡りの距離30,000kmのハシボソミズナギドリ(体長約42㌢)

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   この⑦の写真のハシボソミズナギドリは、最も長距離の渡りをする鳥の一つとして知られ、一年のうちに累計距離にして約32,000kmを移動するという世界記録をもっています。同じ仲間のオオミズナギドリは、同じく長距離を渡りますが、途中に京都府舞鶴市冠島に立ち寄ることから、京都府の府鳥に指定されています。「タスマニア・マトンバード」とも呼ばれるこの世界を旅する渡り鳥は、毎年繁殖地のタスマニアやオーストラリア南部から、極東ロシアのカムチャッカ、続いてアラスカなどを長距離飛行する旅鳥です。

⑧年間に渡る距離が月まで行って戻るキョクアジサシ(体長約39㌢)

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   最後に登場した⑧の写真のキョクアジサシはやはりシギチの仲間です。最も長距離の渡りをする鳥の一つとして知られ、一年のうちに北極圏と南極圏の間を往き来する野鳥です。 アジサシに似ていますが、クチバシと脚が短く見え、さらに、夏羽ではクチバシと脚が赤いので区別できます。並外れた最長の渡りが知られているこの中型の野鳥は、毎年北はグリーンランドから南はウェッデル海まで、極から極へと90,000㎞も旅をします。オオミズナギドリ同様、長寿で三十年も生きます。

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