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第892回 ウグイス(10回目)の危機

①https://www.illust-box.jp/s/sozai/34476/より引用の梅の木ににつがいの鶯のイラスト

   以前にも語りましたが「梅に鶯」はそもそも間違いで、ウグイスは本来なら藪中にいて、春先になるとぐぜり鳴きを繰り返して「ホーホケッキョッ」の練習をします。あんまり目立たない所から良く通る大きな声でさえずります。またそのさえずりは一日に最高三千回を上回ります。姿を見せずに、さえずりだけが聴こえ、昔の人はその声の方に目を向けると、そこには庭木としての梅の木があり、メジロのつがいが梅の花の蜜を吸っています。そうだこの鳥があのさえずりの鳥だと…

ウグイス(写真はオス体長約16㌢、メス体長約14㌢)のさえずり

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    ウグイスは皆さんもご存知のようにさえずる声が素晴らしく、コマドリオオルリと並んで日本の三鳴鳥に選ばれています。このウグイスをいろいろ調べてみますと、凄く鳴鳥たちの中でもその実力を認められているのか、帝王扱いです。その一つに前述した一日に約三千回さえずるというもので、ほかの野鳥たちはさえずる時間帯が定められているのです。ヤブサメジュケイキビタキとかも今はどの野鳥がさえずる時間帯と鳴くのを控えますが、このウグイスは無制限の扱いです。

③梅の木の花の蜜を吸いにやってくるメジロ(体長約12㌢)

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   さえずり以外でも、一夫多妻で繁殖期にいくつもの場所に形の違う営巣をして、子育てには関わりません。その帝王たる故に堂々とすれば良いのに、普段は藪中の隠遁生活を続けています。だから「ホーホケッキョッ」とさえずっても本当のウグイスの姿を思い浮かべてもらえず、メジロのすを普通の人は思い浮かべてしまうのは仕方ないかなとも思います。ウグイスの主食は虫が多く、梅の木にはあまり来ず、反対に頻繁に現れるのは、梅の花の蜜を吸いにやってくるメジロです。

ウグイスの巣に托卵するホトトギス(体長約28㌢)

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   ましてや①のイラストのようにウグイスがつがいで梅の木に現れることはないということです。そんな帝王的なウグイスが減少傾向にあり、竹林の減少もその一つですが、④の写真のホトトギスに托卵されてしまうからです。ホトトギスカッコウツツドリジュウイチと並んで、自分では子育てが出来ないので、ほかの野鳥の営巣に托卵して、我が子を育ててもらうのです。その時にウグイスの卵は破棄されてしまいます。またあちこちに別宅を作るウグイスは目がいきとどきません。

ウグイスを追い立てたガビチョウ(体長約24㌢)

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   そのホトトギスの托卵だけではなく、ウグイスを危機に押しやっているのは、いろんな意味での野鳥です。ウグイスの本能として、オスは種を繁栄させるために、複数のメスとつがい関係を持ち、色んなところで、ヒナをますがオスは縄張りを守るだけで、メスがヒナを育てます。またその時に起きるのが、上記のホトトギスの托卵ですが、ほかに「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されているガビチョウの存在があります。ガビチョウはほかの野鳥の物真似をすることが原因です。

ソウシチョウ(体長約15㌢)はウグイスの影武者?

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   ガビチョウウグイスの物真似もします。ウグイスが体長約16㌢に対して、ガビチョウは大きく約24㌢もあります。ガビチョウが外来種で人から見放された原因にその鳴き声の大きさにあります。その大きな声でウグイスの「ホーホケッキョッ」のさえずりを物真似されたら、ウグイスは自分の縄張りが自分よりも強いオスが現れたと放棄し、危機となります。ソウシチョウウグイスの美肌効果で江戸時代からの洗顔料の糞の影武者で、メジロみたいウグイスの糞と信じられています。

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