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第816回 古今伝授中の三鳥

①https://smartomaizu.com/kanji-wallpapers/p2317.htmlより引用のイラスト

   お題の古今伝授中の三鳥を辞書でひくと『中世、古今集の難解な語句の解釈などを、秘伝として師から弟子に伝授したこと。東常縁(とうつねより)から宗祇(そうぎ)に伝えられたのが始まりで、以後、堺・奈良・二条の各伝授に分かれた。三木・三鳥などの秘事が有名』とかもっと難しく解説してあって、難しいばかりで何がなんだかわからないのが実情です。現在のように野鳥の名前が正式に決まってない世の中に、人によっても、場所によっても、その野鳥の名前が違うからです。

②https://aucfree.com/m/items/h424807116より引用の「古今集」

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   古今伝授中の三鳥とは、異説があるでしょうが、稲負鳥(いなおおせどり)、百千鳥(ももちどり)、喚子鳥(よぶこどり)、または百千鳥の代わりに都鳥(みやこどり)の三鳥をいいます。また野鳥の古名で、この野鳥はこの鳥と分かっているのは、青頸、緑頭(あをくび)→マガモ、斑鳩(いかるが)→イカル、妹背鳥(いもせどり)→ホトトギス、雁(かり)→ガン、雉(きぎし)→キジ、鵠(くぐい)→白鳥、四十雀(しじゅうからめ)→シジュウカラ、鵐(しとど)→ホオジロ類、鴗(そにとり)→カワセミ

③http://blog.livedoor.jp/a_delp/2018-10-07_HashimotoGahoより引の『稲負鳥(いなおほせどり)』?のセグロセキレイ 

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   上記の野鳥は正体が知れていますが、やはりこの鳥かも知れないけど、写真や録音機のない時代に決定的な証拠はありません。その野鳥の古名の判断が付かないので、古文伝授中の三鳥となったわけです。その中で③の『稲負鳥』にはこの日本画の田から稲を背負って家々に運び込む頃に鳴くのがセグロセキレイとか、稲を負っている鳥だからスズメとか、同じスズメでもニュウナイスズメとか、清少納言も歌っているからトキだとか、バンクイナタマシギと多くが上がります。

④http://www.hegurinosato.sakura.ne.jp/tori_htm/e_uguisu01.htmより引用の『百千鳥(ももちどり)』?とされるウグイス

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   『百千鳥』は辞書でひくと『多くの小鳥。いろいろの鳥。また、春の山野に小鳥が群がりさえずるさまやその鳴き声をいう』とあり、または「チドリ」の仲間か、ウグイスを指します。有名な「我が門の榎の実もり食む百千鳥千鳥は来れど君ぞ来まさむ」作者不詳 『万葉集』 とか「ももちどりさへづる春は物ことにあらたまれども我ぞふり行く」よみ人知らず『古今集』 ともありますように、春の代表的な野鳥としてウグイスが最有力候補ですが、本当は春さえずる野鳥と思います。

⑤http://bonsaiscroll.com/bird/春ー夏%E3%80%80雨中郭公図/より引用の『喚子鳥(よぶこどり)」?のカッコウ

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   古今伝授の三鳥は秋の季語の『稲負鳥』を除いて『百千鳥』とこの⑤の『喚子鳥(または呼子鳥)』は春の季語です。『喚子鳥』を辞書でひくと『人を呼ぶような鳴き声の鳥。一説にはカッコウのことという』とあり、他にはヒヨドリとか、アオバトゴイサギアトリとあり、鳥ではありませんが、サルまで候補に入っています。その鳴き声の主だけではなく、子を呼ぶのか、また呼恋鳥、晩春に子(妻)を呼び求めて鳴く鳥とか、妖怪である山彦説ともいろんなロマンスがあります。


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