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第1798回 カラスのイメージ

①https://www.istockphoto.com/jp/search/2/image?mediatype=illustration&phrase=カラスより引用のカラスのイメージのイラスト

   前回の項でも記述しましたように現在のカラスのイメージはかなり悪いです。町内のゴミ置き場のポリ袋から生ゴミを取り出して、散らかしたり、頑丈な巣を作ろうと考え、巣材に一軒家の洗濯場やマンションのベランダから、針金のハンガーを拝借したり、またその営巣先が電力会社の電信柱の天辺であったり、公園などの樹木の上に営巣して、通りかかる人を威嚇攻撃したりと、悪行に事をかきません。殆どが街中で生息しているハシブトガラスの仕業で、人は悪いカラスだとします。

②https://jp.freepik.com/premium-vector/spooky-crow-illustration_10812292.htmより引用の不気味なカラスのイメージ

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   私が子供の頃はカラスは街中には殆どいませんでした。たまにカラスが街に現れますと「縁起が悪い」「カラスが鳴けば人が亡くなる」などと、当時は殆ど姿を見て見せませんでしたので、街中で見る一番大きな鳥は公園や自社仏閣にいる、餌を撒けば寄ってくるハトでした。しかし、そのハトよりふたまわりくらい大きく、真っ黒なカラスは余計に不気味だったんだろうと思います。そんなカラスが街中に進出してきたのは、高度成長期にゴミの収納をゴミ箱からポリ袋に変えた時です。

③https://katayamakyoichi.com/第一回%E3%80%80『古事記』とはどのような書物かより引用の「古事記」

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   いまでこそ、カラスの評判は悪いですが、古代の人々はカラスに良いイメージを持っていました。「日本書紀」「古事記」ではカラスは神の使いとして登場します。神武天皇が登場する「八咫烏」の物語もありますが、ここでは「古事記」からです。『古事記』中巻に神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコ)は、日向の国(現在の宮崎県)から国を治めるための東征の途中に、その幾多の困難から神を助けたのは、天の神々が太陽に棲むと言う、三本脚のカラス(八咫烏)が神を導きました。

④https://blog.goo.ne.jp/taitouku19/e/4021dd9e26dda804603d594742d1e461より引用の神からの使者「八咫烏」

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   「八咫烏」というカラスはいったいどんな鳥なんでしょうか。日本神話に登場するカラスはあり、導きの神です。一般的に三本足の姿で知られ、古くよりその姿絵が伝わっています。三本足の鳥は、中国の伝承で太陽の中に棲むと伝えられ、それは太陽の黒点を表しているといいます。八咫烏は太陽神である天照大御神の使いの神となり、八腿鳥の「咫(あた)」とは長さの単位で、一咫とは、親指と中指を広げたくらいの長さで、八咫という表現はすなわち大きな鳥という意味があります。

⑤https://ja.m.wikipedia.org/wiki/八咫烏より引用の天皇の礼服(らいふく)の紋章は八咫烏

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   しかし今のように悪いイメージがついたのはいつ頃でしょう。文献では江戸時代からこの印象が定着しました。「朝カラスの声がうるさくて寝られなかった」とは落語の題材で「吉原の花魁が寝られないとぼやいたり」という文献が出てきます。それほど、カラスが人間にとって身近な存在てした。しかし、天皇の礼服の紋章には⑤の写真の三本足のカラスの刺繍が施されています。皆さんの身近な処で、サッカー日本代表のマークにもこの「八咫烏」が三本足そのまま使われています。

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