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第866回 主夫するタマシギ(3回目)

①https://imagenavi.jp/search/detail.asp?id=31539044=2より主夫のイラスト

   以前にも語りました野鳥のつがい関係。人間もこうありたい92%を占める「一夫一妻」。ついで2%を占める「一夫多妻」それから今回のタイトルである1%を占める「一妻多夫」となり、あとは「多夫多妻」とか「乱婚」とかになります。今ネット社会で、求人募集を見ていましたら「主婦歓迎」は今まで通りですが、そのすぐ横に「"主夫"歓迎」も出ています。タイトルイラストのような家庭が人間社会にも増えている証拠かと思います。野鳥の世界にもある「主夫」を語ります。

②https://www.love-birds.net/h220815/より引用のタマシギの交尾(オス体長約22㌢、メス体長約26㌢)

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   いきなり②の写真は交尾中のタマシギです。こうやってみると普通の野鳥となんら違いはありません。「主夫」する野鳥はタマシギの他に、渡鳥のヒレアシシギやオジロトウネン、留鳥のミフウズラとシギチの仲間が多いです。シギチの仲間のタマシギは珍しく留鳥です。「一妻多夫」関係なしにシギチは渡鳥もしくは日本に立ち寄る旅鳥が多いです。その中でタマシギは、水田や湿地、河川の岸など、淡水の水辺に生息します。それが生活実態を把握するとやはり「主夫」は大変です。

③https://www.love-birds.net/h220815/より引用のメスがさえずりオスを誘うタマシギ

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   ③の写真はタマシギのメスが羽ばたこうとしているのではなく繁殖期に於いて、つがい相手を探すために縄張りを確保して、オス相手にさえずっているのです。そのさえずりもメスがオスに向かって「コー、コー、コー」と高く鳴き、写真のように求愛ディスプレイの舞を披露します。同じ「一妻多夫」のミフウズラは地面とよく似た体色のせいかあまり目立たない雌雄とも地味で「ブーゥ、ブーゥ」と低く鳴き、何から何まで双方とも地上営巣で狙われやすいのに正反対な性格です。

④-1.http://www.aguni-archive.jp/search/detail.jsp?id__=471より引用のメスなのに目立つタマシギ

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④-2.https://note.com/hiho2351/n/nc6dad7ee0a2eより引用の隠みの術のタマシギ

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   この交尾の後、つがいになったタマシギのオスは直ちに巣作りを始め、メスは産座に卵を産み落としたなら、すぐに抱卵もせず、次のつがい相手のオスを求めてて、このつがいとの関係は解消されます。この後タマシギのオスは抱卵し、ヒナが帰れば「育メン」し、巣立ちまで面倒をみます。③の写真でもタマシギのメスがどれほど派手で目立つのかは、④-1.のメスと④-2.のオスの目立ち具合の差です。むしろタマシギのオスは、目立たないというより、保護色で隠みの術を使っています。

⑤http://surimu60.blog.fc2.com/blog-entry-216.htmlより引用の「育メン」するタマシギ

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   ⑤の写真のタマシギの親子を見れば、誰しもが母鳥が産まれたヒナたちの面倒をみていると思われると思います。しかしこの写真は優しいオスがメスに代わって「育メン」しているのです。父子ともに地味な色をして、天敵から身を守ります。その頃、母鳥は次の交尾をすまして、また次のオスへと。ちょうどウグイスオオセッカの逆パターンの「メスハーレム」と言うことになります。そのタマシギの雌雄の関係は、圧倒的にオスの数が多くて、確実に子孫を残せるよう逆転しました。

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