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第1082回 野鳥と和歌 ⑴

①http://gahag.net/tag/梟(フクロウ)/より引用のイラスト

②https://auctions.yahoo.co.jp/search/search/オシドリ/2084006133/より引用のオシドリの日本画

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   ⑴鴛鴦(をしどり)は夫婦愛の象徴。
1.おしどりのひとりね→恋しい人を思いつつ寝ることの例え
2.うきねどり→「浮寝」に「憂き寝」をかけ、涙に濡れて寝る身の例え
⑵鶉(うづら)は京都の深草との結びつきが強い。
飼い鳥として声を楽しむことも人気。
⑶鴨→「鴨の浮き寝」とは、鴨が水に浮きながら眠ることで、安眠できないことや、落ち着いていられないこと。
⑷雁(かり)→秋に来て春に帰るという習性から、「来る」「待つ」「別れ」「旅」の意を内包するものが目立つ。
⑸きじ(きぎし、きぎす)→キジの母鳥は、子を思う愛情深い鳥。妻を求めて高く鳴く、愛情深い鳥。
求婚の歌謡の慣用的な表現。
⑹水鶏(くひな=和名ヒクイナ)→鳴き声が戸を叩く音に似ることから、鳴くことを「叩く」という。
その鳴き声を、人の訪れと誤って詠まれることもある。

③http://www.livejapan.cn/rzfh/recommend/20190628/20467.htmlより引用のシギの日本画

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⑺しぎ(タシギ、ヤマシギ、ハマシギなど)→田に住むものが「鴫」、海岸などに住むものが「鷸」
夜明けに嘴で羽をかく動作を「鴫の羽掻き」と表現。女の閨怨の常套句となった。
⑻しゃくしぎ(ダイシャクシギ、チュウシャクシギ、コシャクシギの総称)→江戸時代には主にダイシャクシギを指した。
⑼ちどり→千鳥の声は古来物思わせるものとされてきた。須磨、明石が名所とされる。冬の歌が多い。留鳥であるコチドリ、イカルチドリ、シロチドリ秋のチドリではメダイチドリも含まれる。
万葉集でちどりは二十二首詠われているが、群れを成している一般の鳥を『ちどり』としている歌が四首。平安時代になって浜にいる千鳥を『はまちどり』と呼んだ。
⑽鶏→鳴き声が夜明けを告げるところから、太陽神の使者として闇の邪気を払うもの。逢瀬の区切り。鶏が鳴くと、男は帰らなければならない。帰らないと、扶養義務が発生する可能性も。
(11)初音→初めて聞く声を初音というが、初音はウグイスとホトトギスだけ。それはこの二つの鳥はその初音が待たれるから。ウグイスの初音は春の訪れ、ホトトギスは夏の訪れ。ホトトギスは立夏の日に鳴き出すと考えられていた。
(12)ふくろう→中国から来た言い伝えでは、親を食う不孝鳥。

④http://www.yashironi.co.jp/topics/back_number/0405.htmlより引用のホトトギスの日本画

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   (13)鳳凰(ほうおう)→漢語の「鳳凰」をそのまま詠まずに「桐」に居る鳥と詠む。「ももしきや桐の梢に住む鳥の千歳は竹の色も変はらず」
(14)ほととぎす→その声が、人の叫び声のように感じられ、人恋しさを誘う。
万葉集四千五百余首のうち、鳥類最高の百五十六首に読まれる。百人一首では一首だけ。
1.不如帰(ふじょき)=中国でプルクイチュ(帰りたい)と聞いた。
2.時鳥=夏に限って鳴くから(日本独特の表記)
3.郭公=ホトトギスとカッコウが区別されるようになったのは鎌倉時代から。
※1.橘→ホトトギスと共に詠んだ歌二九首。ホトトギスは柑橘類に付くアゲハ類の幼虫を好んで捕食
※2.卯の花→田植えを控えたこの時期、米粒に似た卯の花の咲く風景に秋の豊かな実りを願いながら見る花。『田植鳥』と呼ばれたホトトギスとの取り合わせが好まれた。ホトトギスと一緒に詠まれたのは万葉集に十五首。
※3.忍び音→その年に初めて聞くホトトギスの声。
ホトトギスは、鳴き初めて間もない頃忍び音で鳴くとされていた。ホトトギスは立夏に初鳴きすると信じられていた。
(15)都鳥(=ゆりかもめ)→都以外の地に在って都鳥を詠むというのが一つの様式。
(16)やまどり→雌雄は昼は共に居るが、夜は峰を隔てて寝るといわれる。

⑤https://note.com/hiho2351/n/n550c119d8d30より引用の万葉集の中のホトトギス

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   万葉集でのホトトギスの表記は                          ❶霍公鳥  94首  ❷保登等芸須24首  ❸保等登芸須
23首  ❹その他  4首

   ⑴万葉集と⑵古今集で登場する野鳥
❶ホトトギス  ⑴152首  ⑵43首
❷ガン  ⑴67首  ⑵24首
❸ウグイス  ⑴51首  ⑵27首
❹ツル  ⑴44                                                          ※1.万葉集で鳥の歌は35種、611首、新古今集にはホトトギスの歌は47首

※2.ホトトギスの漢字表記⑴万葉集  霍公鳥  ⑵古今集  郭公

※3.ホトトギスの呼び方は、不如帰、時鳥、子規
霍公鳥、杜宇、蜀魂、うずきどり、あやなしどり、くつてどり、しでのたおさ、たまむかえどり
霍の字義は『あわただしく飛ぶ鳥の形容』

  古今和歌集で鳥が登場する回数
1.ホトトギス(郭公)(山郭公)  42回  2.ガン(かり雁)(初雁)  26回  3.ウグイス(鶯)  25回  4.ツル(鶴)(あしたづ葦鶴)  9回  5.(ふゆつけどり木綿付鳥)  4回
6.(とり鳥)  4回  7.(いなおほせどり稲負鳥)  2回  8.
チドリ(千鳥)  2回  9.(はまちどり浜千鳥)  1回  10.(ももちどり百千鳥)  1回  11.(あしがも葦鴨)  1回  12.ウズラ(鶉)  1回  13.キジ(雉)  1回  14.シギ(鴫)  1回  15.カイツブリ(にほどり鳰鳥)  1回  16.(みやこどり都鳥)  1回  17.(むらとり群鳥)  1回  18.(よぶこどり呼子鳥)  1回  19.オシドリ(おしどり鴛鴦)  1回



   

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