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第989回 素晴らしいヤイロチョウ(2回目)

①https://ken2xmint.exblog.jp/iv/view/?i=201708%2F21%2F18%2Fe0218518_20154925.jpgより引用のヤイロチョウのつがい(多分色あいが少し派手な右がオス、左がメス、共に体長約18㌢)

   ヤイロチョウは漢字で読んで字の如く「八色鳥」ではないですが、ヤイロチョウの『八色』は数ではなく「多い」の意です。夏季に日本、台湾、中華人民共和国東部、朝鮮半島で繁殖し、冬季に中華人民共和国南部やボルネオ島へ南下し越冬します。日本では主に本州中部以南に繁殖のため飛来する夏鳥で、また日本でのみ本種の確実かつ継続的な繁殖が確認されていると言われます。高木からなる常緑広葉樹林に生息し、樹冠により日光が遮られ下生えが発達しない環境を好みます。

②構造色のカワセミ(体長約17㌢)

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   ②の写真は私が一番身近に観ることができます綺麗なカワセミです。カワセミは水辺の宝石と言われるように、漢字表記が「翡翠(ヒスイ)」と書いてカワセミです。殆どの方はヒスイという宝石からカワセミの和名が出来上がったとお思いだと思います。それは反対のことです。カワセミからヒスイが誕生したのです。③の写真のヤイロチョウをご覧になられ、ヤイロチョウの亜種か何かと思われる方もいらっしゃるだろうと思います。カワセミと同じく光の当たり具合で変化します。

③https://www.city.kochi.kochi.jp/akarui/mangekyo/man1811.htmより引用のヤイロチョウ

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   この碧色に見える色具合はカワセミと同じく構造色からくるものです。構造色とは「窒素分子や酸素分子による散乱量は、波長の短い光ほど大きいので青色が目立つ。空が青く見えるのと同じ現象。羽枝の複雑で繊細な構造の角質層に光が反射、屈折して、人の目に『青い色』として映っている。チンダル現象とも呼ばれる。(波長の短い青が、波長の長い赤に比べて優先的に散乱するので青く見える。青い色素に基づいた青い鳥はほとんどいない。関与する細胞が限定され羽枝にのみ生じる」と難しいですがそう表記されてます。

④http://ja5uxr.web.fc2.com/8.htmより引用のお腹に赤い日の丸があるヤイロチョウのオス

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   ヤイロチョウは学名Pitta nympha(Pittaはインド南部の言葉で小鳥、nymphaはギリシャ神話などに出てくる下級女神=精霊)  英名Fairy で妖精とその稀な美しさを色んな言葉で表しています。『八色』で表すように綺麗な姿は写真をご覧頂いた方が分かりやすく思いますが、腹部や尾羽基部の下面を被う羽毛(下尾筒)は赤く、また日本でのみ本種の確実かつ継続的な繁殖が確認されていて、白いお腹に赤い日の丸が付いていますから、それがいかにも、ヤイロチョウが日本のものと思えます。

⑤https://www.kochinews.co.jp/sp/article/204397/より引用のヤイロチョウの営巣

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   繁殖期になると樹上で「ピィフィ、ピーフィ」「フォフェーン、フォフェーン」とさえずります。林床の下生えのない場所や高木の枝又などに⑤の写真のように、木の枝や葉、苔などを組みあわせた直径20cmに達するドーム状の巣を作り、日本では五〜七月に一回に4〜6個の卵を産みます。ヤイロチョウが好む繁殖地は高知県四万十川のあるどこかです。清流が流れるこの川の何処かで、精霊が妖精を産むために、雌雄とも協力しあい、この日本で繁殖し、またこの聖地に帰ります。

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