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第2003回 あのぅ、さぁのぅ(砂嚢)

①https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E7%A0%82%E8%82%9Dより引用の焼き鳥の「ずり」こと「砂肝」

   今回の①のタイトルイラストは焼き鳥好きな人は必ず頼む一品の「ずり」と呼ばれる、塩を振って焼いたら、コリコリの食感があるニワトリの消化器系の内臓です。別名に砂ずりとか、砂肝とか、何か食べたら、砂がじゃりつくのではないかと思わせるような名前です。「ずり」というのは食品名の呼び方で、正確には『砂嚢(さのう)』といいます。鳥には必ず付き物の消化器系の内臓です。基本的には歯を持たない鳥やミミズ、ザリガニや爬虫類でも鋭い牙生やしたワニなどにあります。この砂嚢はどんな消化器の役割を持つのでしょう。

②https://kotobank.jp/word/%E3%81%8F%E3%81%A1%E3%81%B0%E3%81%97-1527168より引用の歯がない代わりの鳥のクチバシ

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   歯がなく、代わりにクチバシのある鳥の消化器官の吸収能力は、哺乳類に比べて劣りますが、消化時間は短いです。それは消化の良いものを食べるので利用率は高いです。歯のある哺乳類は消化器使用率は約10%、歯がない鳥は約33%の利用率となっています。鳥はクチバシを使い、餌を哺乳類と逆の右に寄っている食道を通します。歯がなく、丸呑みすることが多いので、急に餌を詰め込める様大きく伸びて膨らむ事ができます。この食道には哺乳類にはない餌を集める所があります。

③https://kotobank.jp/word/%E9%B3%A5%E9%A1%9E-98231より引用の鳥の内臓のイラスト

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   その場所は嗉囊(そのう)といい、環形動物、昆虫類、軟体動物、鳥類などに見られます。消化管の一部で、食道に続く部分が膨らみ、食物を一時蓄えられる場所です。消化液は分泌されませんが、唾液やバクテリアなどの作用で、有る程度の軟化作用が認められます。天敵が来る前の短い時間に多くの餌を摂取しておき、安全な場所でゆっくり消化できる。人間や哺乳類でいう所の唾液かもしれません。鳥の中でも持たないのは昆虫食の鳥とか、フクロウです。ただ膨らんでるだけ(貯蔵庫)の役割を持つのはウなどの魚食性の鳥です。単嚢(一つ)しか持たないのは肉食性、穀物食性の鳥で、左右二嚢もつのはハトです。嗉囊を持たない鳥では前胃が発達しています。人でいう胃のことです。

④https://jfood-brothers.com/archives/665より引用の前胃と砂嚢のイラスト

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   前胃(腺胃)は科学的消化をする場所で、消化液を分泌(pH0.2~1.2)し、混ぜ合わせます。消化酵素のペプシンは骨を消化させます。魚食、果実食の鳥や嗉囊のない鳥で発達しています。キツツキ類では膨大です。猛禽類の肉食、腐肉食では酸性が強く、有害な細菌を殺す為のもの体内殺菌です。   砂嚢(筋胃、砂肝)は機械的消化を行います。強力な筋肉と砂などですり潰します。ハトやスズメなどの穀物食の鳥で発達しています。植物食の比率が高い種ほど、より多くの胃石を取り込んでいます。昆虫食、果実食の鳥では痕跡程度です。砂嚢の中の小石は磨り減ると、糞と共に排出されます。収縮時間はニワトリで一回20秒で、一分間に2~3回繰り返されます。胃壁は厚く内部は狭い。鳥の筋胃の大きさは一定でなく、10日で倍ほどになることもあります。幽門胃は第三の胃といわれ、コウノトリ目や、サギ等ペリカン目にあります。

⑤Xより引用の砂嚢の中身 

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   その消化器官を通過した食べ物は、今度は糞尿となるべく最終段階まで進みます。大腸は非常に短く、不消化物を体内に長く留めません。短い直腸からすぐに脱糞します。膀胱は重くなる水分を体内に留めないのでありません。尿は流動状の尿酸として、糞と共に出されます。盲腸は草食性では長く、肉食性では短いです。原始的な種ほど発達しているようです。水分と蛋白質を吸収します。糞や尿の一部は直腸を逆流して盲腸に戻り、栄養素を取り出して再利用します。昆虫食の小鳥、キツツキ類、オウムにはありません。海鳥、ハト、穀物食の鳥は粒状です。シギ、キジ、フクロウ、海ガモは中ぐらいの長さです。陸ガモのヒドリガモのオスは26㌢、ヨシガモのオス22㌢、マガモ15㌢、コガモ9.5㌢、ニワトリ12~15㌢、オオバン32㌢、エゾライチョウ53㌢、ダチョウは70㌢で腸全体は13㍍、ヤマドリの盲腸はたいへん発達しています。70㌢でキジの三倍、キジよりも植物食中心という具合です。要するに砂嚢とは、鳥の歯の代わりの鳥が持つ胃の一部であり、食べたものを砕くための器官です。 鶏には歯が存在しないため、噛むという行為の代わりに、砂嚢を使って食べたものをすり潰してから消化しています。

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