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第775回 放鷹種

①https://www.touken-world.jp/tips/14520/より引用の鷹狩のイラスト

   猛禽類といえば「鷲鷹」を思い浮かべることは自然のことと思います。西洋でも東洋でもこの日本でも高貴な身分の遊びとして「鷹狩」は行われてていました。飼いならした鷹を山野に放って行う狩猟の一種で、鷹狩でいう「鷹」とは猛禽類の総称のことであります。つまり「鷲鷹」のことです。特に「鷹」が強調されているのは「鷲」は日本人には大きすぎるからの配慮です。その「鷹狩」に使われる「鷹」のことを「放鷹種」と言い、その種は「鷹四姉妹」と呼ばれています。

オオタカ(体長オス約50㌢、メス体長約56㌢)

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   猛禽類は他の野鳥に比べるとオスよりメスの身体の方が大きいのが特徴です。産まれたヒナを外敵から守るための身体といわれています。その「鷹四姉妹」で一番大きいのがオオタカです。留鳥として周年生息するオオタカもいますが、一部のオオタカは、越冬のため南下を行う場合もあります。中小型の鳥類や小型哺乳類を空中あるいは地上で捕らえる里山の猛禽類で、飛行速度は水平飛行時で時速80km、急降下時には時速130kmに達します。一度狙いをつけた獲物は逃しません。

ハヤブサ(体長オス約42㌢、メス約49㌢)

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   オオタカが東の横綱だとすれは、西の横綱はハヤブサです。②の写真のオオタカが『側面攻撃』で獲物を空中で捕獲するのに対して、ハヤブサは獲物の捕獲方法が違い『俯瞰襲撃』といって、得物の遥か頭上から攻撃をしかけます。オオタカが横からの攻撃速度時速80kmに対して、ハヤブサは急降下速度が最高時速390kmといいますから、狙われた獲物は自分の身に何が起こったのかもわからないくらいの瞬殺です。獲物は飛翔しながら後肢で捕えたり、水面に叩きつけて捕えます。

ハイタカ(体長オス約32㌢、メス体長約39㌢)

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   ④の写真のハイタカは、日本では多くは本州以北に留鳥として分布していますが、一部は冬期に暖地に移動します。「疾(はや)き鷹」が語源であり、それが転じて「ハイタカ」となりました。かつては「はしたか」とも呼ばれていました。元来ハイタカとは、ハイタカのメスのことを指す名前で、メスとは体色が異なるオスはコノリと呼ばれていました。ハイタカの狩りは始め横からの突っ込みで、その後急上昇の急降下で捕えます。ちょうどオオタカハヤブサを足した感じです。

ツミ(体長オス27約㌢、メス約30㌢)

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   ⑤の写真のツミは「鷹四姉妹」の末っ子です。身体も一番小さいです。このツミハイタカ同様に雌雄の名称が違います。ツミのオスは悦哉(えっさい)で、メスは雀鷹(すずめたか)の呼称に由来します。周年生息する留鳥ですが、寒冷地では冬季に南下する夏鳥である種もいます。遥かに大きいカラスにも猛然とはむかうことから鷹狩りにも適していたのかもしれません。この「鷹四姉妹」はオスの体力より、メスの体力の方が上回っているので、鷹四兄弟ではなく「鷹四姉妹」なのです。

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