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第612回 ワシタカ

①https://www.gettyimages.co.jp/イラスト/ワシタカ科?sort=best&mediatype=illustration&family=creative&phrase=ワシタカ科より引用のイラスト

   この日本でワシタカといえば、猛禽類の類いで、ワシの部類は四種だけで、オオワシ(体長約89〜102㌢)、オジロワシ(体長約80〜94㌢)、イヌワシ(体長約81〜89㌢)、カンムリワシ(体長約55㌢)だけです。

   タカの部類は十二種で、ハチクマ(体長約57〜61㌢)、トビ(体長約59〜69㌢)、ミサゴ(体長約55〜63㌢)、クマタカ(体長約72〜80㌢)、チュウヒ(体長約48〜58㌢)、ツミ(体長約27〜30㌢)、ハイタカ(体長約32〜39㌢)、サシバ(体長約47〜51㌢)、オオタカ(体長約50〜60㌢)、ノスリ(体長約52〜57㌢)、チョウゲンボウ(体長約33〜38㌢)、ハヤブサ(体長約42〜49㌢)と別れます。

   カンムリワシなんかはタカ類のハチクマクマタカトビより体長が小さいのにワシの仲間に入っているのは、沖縄という周りにカンムリワシ以上の大きなワシタカがいなかったからです。

②http://kuropopura.blog.fc2.com/blog-entry-331.htmlらより引用のイヌワシのつがい(左がメス、左がオス 体長約75〜95㌢)

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   なぜワシタカは基本的に、メスのほうがオスより体長が大きいのかは、縄張り内の獲物の関係で、オスは小さな獲物を選び、繁殖期に大きなメスが巣に留まってヒナを守ります。また、巣を守るにはメスの体が大きい方が有利で小さなオスが頻繁に餌を運び小さなオスの方が俊敏なので、小さな獲物を獲ることができます。小さな獲物ほど個体数が多いし、ヒナが小さいうちは大量の餌を必要としませんが、野鳥の内臓のような質の高いものが必要となります。

   ヒナが大きくなると、メスがヒナを暖める必要がなくなり、餌は大量に必要となるので、メスも狩に出かけます。大型のメスは大型の獲物を捕りますが、大型の獲物はオスが捕らないので、大量に残っている計算になります。ヒナにやる餌を雌雄で獲る場合でも、餌が競合しないので小さな縄張りで生きて行けます。巣ではメスが優位で、オスはメスに餌を渡すとすぐに巣を離れます。

③http://www.spmnh.jp/hpnature/tushin/19/ootaka.htmより引用のオオタカのつがいのイラスト(左がメス体長約60㌢、右がオス体長約50㌢)

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   またオスは交尾の際、攻撃的になる場合があり、普通の野鳥なら大きな問題は無いが、ワシタカ類では鋭いクチバシや爪が、メスを傷つける恐れが有るので、メスが大きい必要があります。猛禽類は動くものを襲う習性があり、オスは母性本能が弱いので、ヒナを襲う危険があり、メスは母性本能が強いので自分のヒナを襲うことはないです。

オスの攻撃性を弱め、番い形成を成功させるためにはオスが小さい必要があります。オスは養育本能が弱いので、ヒナに餌を与えたがらないので、餌を取り上げるにも、メスが大きい必要があるわけです。餌をとるオスは機動性が必要なので小型、メスは外敵から巣を守るため大型が有利とされています。

④ワシタカの翼

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   メスの全長はオスより大きいですから、全長が
翼面積が足りなくなってしまいます。そこでメスは次列風切羽や三列風切羽を長くして対応します。ミサゴでは初列風切羽が長く、ハイタカは尾羽が長いです。長距離の渡りをするサシバハチクマアカハラダカチゴハヤブサの翼は特に初列風切が細長く、海鷲類の翼は幅が広く、自分の体重より重い獲物も持てるようになっています。
また尾羽は舵やブレーキの働きをします。ハイタカオオタカクマタカは林間を急旋回し、獲物を獲るものは、長くて幅の広い尾を持ちます。

   またワシタカの翼の先の翼指は、初列風切羽の外側にあり、根元は広いが途中で急に細くなる羽で、段刻と呼ぶみたいです。高速で飛ぶときには隙間をつぼめて、翼の後ろに生じる気流の乱れを、帆翔のときには開いて空気を逃がすことで解消します。

   その翼指は七本あるのがクマタカオジロワシ
カラフトワシカタシロワシ、(オオワシ)、(イヌワシ)で、六本はトビハチクマハイタカオオタカ、(イヌワシ)、(カンムリワシ)。五本がノスリケアシノスリオオノスリチュウヒハイイロチュウヒマダラチュウヒツミサシバ
(ミサゴ)と一番多いです。四本は小さなアカハラダカとなってます。

⑤https://www.pinterest.ie/pin/652036852276566941/より引用のオオタカの補食

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⑥http://goshawkfund.jp/02_ecology/01.htmlより引用のオオタカのクチバシ

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⑦https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32152000272より引用のオオタカの趾(足指)

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   猛禽類のカギ状に曲がった鋭いクチバシは、肉を引き裂くため進化したことを改めて認識させられるくらい頑丈な作りになっています。これで、捕獲した野鳥や小さな哺乳類も噛みちぎって、食べやすくします。一度狙いをつけた獲物は執拗に追い続け、それゆえ狩りの時間は長くなることもあります。一日に一度の狩りで食を満たすことができる身体の構造にはなっています。小さなワシタカは昆虫や小鳥、ミサゴにいたっては魚、トビは生きたものより屍肉を好みます。

   ワシタカは一番小さなツミでも⑥⑦の写真のような鋭く尖ったクチバシとこれも鋭い鉤爪を持っています。よく猛禽類になれなかったスズメと揶揄されるモズは、鋭いクチバシは持っていますが、鉤爪は持っていません。ツミであろうがインコの仲間とされるハヤブサであろうとも、自分より大きなハト類やカモ類でも捕獲して、自分より重たい相手を鉤爪で捉えて、補食する場所に移動することが出来るのです。この違いがよく比べられるカラス類との違いだと思います。

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