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第738回 千鳥足って?

①https://www.ttrinity.jp/product/2275561より引用のイラスト

 「千鳥足」というと、ひどく酔っぱらうとまっすぐ歩くことが困難になり、フラフラしながら歩くことになります。このことを「千鳥足」といいますが、この言葉はその字の通り、鳥の「チドリ」の歩き方に例えています。実際に「チドリ」の歩き方をみると、酔っぱらいのようにフラフラと歩いています。さらに、「チドリ」はフラフラ歩きであるだけではなく、エサを探すときには歩きながら前に出した足で地面を探って歩きます。この為よりフラフラと歩いている様に見えます。

②https://www.ac-illust.com/main/search_result.php?word=%E5%8D%83%E9%B3%A5%E8%B6%B3より引用のイラスト

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  「チドリ」がなぜこのような行動をするのかというと、これは、砂地の上の虫などを捕らえるときに、いったん無関係の方向に行くと見せかけて、いきなり急襲するという習性のためであります。人間は酔っ払うと、三半規管がアルコールによって、機能しなくなりまともにまっすぐに歩けなくなります。足腰に力が入らずによろめいているさまで、足元がおぼつかない、フラフラたたらを踏み、よろめき気分がクラクラしたような状態を人間では「千鳥足」を踏むといいます。

③干潟のコチドリ(体長約16㌢)

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 「千鳥」というのはチドリの仲間の総称でありますから、このコチドリを例えにして、語りを続けていこうと思います。チドリの中でもコチドリは日本に於いては「夏鳥」であったり「留鳥」であったりして、他のチドリの仲間のほとんどが渡りの途中で日本に立ち寄る「旅鳥」でなく、滞在期間が長かったり、年がら年中に観察できる野鳥と言えるからです。はじめに語りましたが「千鳥足」の『千鳥』が野鳥であるチドリに因んだものであるのはチドリの身体に秘密があるからです。

コチドリの趾(あしゆび)

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 ③の写真が干潟にいるコチドリで、コチドリは水辺の近くの河原や灌漑にもチョコまか歩いている体長約16㌢のスズメより少し大きいばかりの野鳥です。そしてこの④の写真右側のコチドリの趾(あしゆび)を見ていただくと、お分かりになると思いますが、足の指が三本しか見えません。人間の手足の指は五本ずつありますが、鳥の場合にはほとんどの趾は四本です。第一趾が人間でいう親指で、野鳥の足でいうと後趾にあります。その第一趾である『指』がコチドリにはありません。

⑤走っているコチドリ

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 コチドリの趾は他の野鳥が前に三本の『指』があり、後ろに一本の『指』があり、計四本の『指』によってバランスを取っているのです。四本に対して、前趾に三本だけしかないので、体重を後方で支えるための一本の『指』がないのです。このため歩くときにどうしてもフラフラと歩いてしまいます。だからコチドリを始めとする仲間のチドリは干潟や砂浜、河原の場所を選んで営巣もするのです。もちろんコチドリは人間のように酔っ払ってはいなく⑤のようにも走ります。

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