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第983回 一妻多夫の野鳥

①https://www.photolibrary.jp/img575/180133_5483358.htmlより引用の主夫家庭のイラスト

   近頃、何気なくアルバイト・パートの情報誌を見ていますと、学生、主婦、シルバーなど年齢対象を載せているその発音的に同音の『主夫』の単語が目につきます。以前なら主婦だけであったのが、いまや『主婦、主夫』と並んで表記してありますので「イクメン」とかではなく、会社などで働かず、家庭での家事を優先し、子供からいたら育児までする「主婦」の代わりを生業とする『主夫』なのです。人にもいる『主夫』は野鳥の世界でも「一夫一妻」の中でも、見受けられます。

②https://blog.goo.ne.jp/pandado4/e/aabef94e5251172f785bda7c04c59973より引用のレンカクのつがい(手前がオス、奥がメス、共に体長約55㌢)

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   よく人間の生き様は鳥類も同じことがあると思いますが、やはり当然なのか実際に鳥の世界でも起きている事実なのです。1960年代末には大部分の鳥類は、一般的に一夫一婦制だと思われていました。実際に殆どの動物のメスは一個体のオスとだけつがいになり、貞操を守るというのが社会通念でした。カイツブリの雌雄による素晴らしい求愛行動は明らかに一夫一婦制で、一方、極めて見境のないオスのマガモは無理やりにメスの上に乗り、メスがそのために溺れ死ぬことがあります。

イソシギのつがい(左がオス、右がメス、共に体長約20㌢)

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   1970年代半ばから1980年代にかけて行動生態学が進展するのに伴い、特にメスにおける性的な一夫一妻制は基準ではなく、例外であることが明らかになりまり、そのつがいのあり方の中に「一夫多妻」や「一妻多夫」「乱婚」などの生活環境に応じた適応として、いま確認されている野鳥で『主夫』を担当しているのは、②の写真の後肢の指と爪が非常に長いシギチの仲間のレンカクと、③のイソシギコバシチドリ、④のアカエリヒレアシシギ、⑤のタマシギがこれに当たります。

④https://sekainotori.com/763.htmlより引用のアカエリヒレアシシギのつがい(手前がメス、奥がオス、体長約19㌢)

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  こね野鳥の『主夫』が存在する「一妻多夫」は「一夫一妻」も「一妻多夫」「乱婚」など色んな野鳥のつがい制度はありますが、猛禽類のつがいは「一夫一妻」ですが、メスの方が身体が大きいのです。これと同じように「一妻多夫」はオスが『主夫』しますから、オスが目立たないように、オスの身体の方がメスよりも小さな身体となっています。タマシギだけが体長の大きさがメスが大きいですが、②〜④の写真を見ても、複数のオスとつがいを結ぶため、メスがやや大きいです。

タマシギのつがい(手前がオス体長約22㌢、奥がメス体長約26㌢)

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   オスが『主夫』をする「一妻多夫」の代表的な野鳥であるタマシギは⑤の写真をご覧になられてお分かり頂けると思いますが、明らかにオスよりメスの方が大きく、また色合いも派手な出で立ちとなっています。タマシギはその時のつがいとなったメスが、オスが作った営巣に卵を産むとまた次のオスを探してつがいを結びます。オスは抱卵から産まれたヒナの育児をオスだけで、巣立ち幼鳥となるまで育てあげ、本当にオスとメスが入れ替わったようなオスの仕事ぶりが目立ちます。

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