第2077回 鳥が登場する落語
①https://buhitter.com/search?q=%E8%90%BD%E8%AA%9E%E3%81%AE%E6%97%A5&offset=60より引用の鳥の落語家
①のタイトルイラストはタイトルが「鳥が登場する落語」ということですから、鳥の落語家が高座を勤めているイラストに致しました。ネットで鳥が登場する古典落語と検索致しますと「蔵前駕籠」という古典落語の演目が一番に現れました。原話は、安永四年(1775年)に出版された『浮世はなし鳥』らしいのですが、あんまり鳥とは関係無さそうで、二番目に表れましたのは「鷺とり」といいます古典落語の演目の一つで、これはといいますと上方落語の演目です。東京では雁(かり)釣りとか、雁とりと上方の鷺に対して雁に変えます。
②https://rakugonobutai.web.fc2.com/403sagitori/sagitori.htmlより引用の落語「鷺とり」の日本画
この小噺は桂枝雀の持ちネタだったようですが、誠に頭の良い人らしく、この「鷺とり」の話しの冒頭に登場致します男はどうやら居候で、他人の家の二階にすまう厄介者である主役の喜六は自分のことを二階の厄介者だから「十階者」として、その穴埋めに何かで儲けて穴埋めをしようと、これも古典落語の一つの「こぼれ梅」を致しましたが雀を沢山捕まえることに失敗し、大きな損をしてしまい、それを含めての儲け話を考えます。雀より大きな鷺を沢山捕まえて一儲けするにはどうすればいいか、すると話し相手になっていた甚兵衛さんが「サギが沢山集まる池がある、萩で有名な円頓(えんどう)寺に夜行ってみろ」と教えて頂き、行ってみますと、池にいっぱいの鷺が寝ています。そうっと忍びより、鷺が目を覚まさないことを確認し、余りあるくらいの鷺の首を掴んで帯の間に挟み込み、もうこれ以上は無理となり、寺をうろうろしていますと、白々と夜が明け、沢山の鷺たちも目を覚まして、喜六と共に大空に舞い上がって驚いた喜六はどこかにつかまる物はないかと鷺に運ばれながら探していますと、ここが天王寺さんの五重塔のてっぺんだと分かり、帯を緩め、鷺を解き放ち、五重塔の九輪に捕まって腰を抜かしてしまいました。五重塔の下で大きな布団の四隅をこの寺の僧が持ち、のぼりで『ここへ飛べ、救うてやる』と書いてあり、助かったとばかりに、うまく布団の上へズボッと落ちみしたが、坊さんたちが一生懸命、力一杯布団の四隅を引っ張っていたもんだから、四隅の僧さんの頭がゴチゴチゴチとぶつかって、一人助かり四人の僧さん達が死んでしまった。オチは何処なんでしょう。
③https://www.canstockphoto.jp/%E9%B3%A5-%E9%85%94%E3%81%A3%E3%81%9F-11824346.htmlより引用のほろ酔い鳥のイラスト
③のイラストは鶯が酔ったイラストがありませんでしたので、普通の鳥に致しました。鶯をお題に致しました作品は二点あり、その中でもポピュラーなのが「鴬のほろ酔い」です。あらすじは飼っている鶯の声が評判となり、人を集めて披露することになり、鶯に「良い声で鳴けよ」と言いつけると、鶯が「ここ二、三日寒くて、気が浮き立たないから鳴けません」そこで景気づけに鶯に一杯飲ませ、ほろ酔いかげんで鳴かせようとしますと「酒で喉が渇いたからお茶を一杯」茶は冷めていましたので、酒の燗をした湯を飲ませますと「舌を火傷した」と、ちょうず鉢のある縁側へ。主人「こら、どこへ行く」「あんまり熱いので埋め(梅)に行きます」と。他に「鶯宿梅」があります。
④http://sakamitisanpo.g.dgdg.jp/akegarasu.htmlより引用の「明烏」の日本画
「明烏」倅(せがれ)があまりにも堅物で、心配した日向屋半兵衛、遊び人の源兵衛に倅を吉原に連れて行ってもらいます。吉原は恐ろしい所と信じ込んでいる若旦那をだまして吉原へ。気が付いた若旦那、帰ろうとするが「勝手に出ると袋叩きにあいますよ」と源兵衛に言われ、しかたなく一夜を明かします。翌朝、源兵衛が若旦那を迎えに行くが、若旦那は布団から出てきません。あきれて源兵衛が先に帰ろうとすると「先に帰れるものなら帰ってみなさい、大門で袋叩きにあいますよ」
※明烏は明け方に鳴くカラスのことで、男女の朝の別れの情緒を表現するのに用いられました。 他のカラスが関わる落語は「小烏丸」「三枚起請」「鍬烏」の計四つの楽しい話しがあります。
⑤-1.http://sawayano.com/ikiru-kurasu/2017/04/09/gan/より引用の「雁風呂」のイラスト
⑤-2.https://blog.goo.ne.jp/fagus06/e/1834ea264c370cf304d2bd175853e753より引用の「抜け雀」の日本画
⑤-3.http://nominomi70.blog.fc2.com/blog-entry-2417.htmlより引用の「鸛」の作者笑福亭仁智
⑤-1.のイラストの「雁風呂」は雁の屏風絵が松に雁。「雁風呂」の講釈で金が返してもらえます。「雁(かりがね)の話をして借金(かりがね)が返った」の決まり文句が良いです。またもうひとつの「雁とり」は②の「鷺とり」の東京版として、『鷺』を『雁』に変え、また前半部分も変更しています。めちゃくちゃな手術をする雉が登場致します「蘭方医者」。眉唾物の見世物小屋に孔雀が登場致します「椀取り」。また⑤-2.の日本画のように、金屏風に描いた雀が飛び立つと評判になり、絵師である息子の父親が、絵に籠を付け足しました。息子の絵師が来て、自分は親不孝だと嘆き「親を籠描き(駕籠かき)にしてしまった」と。
「駕籠かき」が、雲助と言われ嫌われていた時代の話しで、籠を描きくわわせ、雲助にしてしまったなんて、とんちが効いて面白いです。また、上方落語協会会長であります、⑤-3.の似顔絵の仁鶴の弟弟子の笑福亭仁智の作品は、「コウノトリ」で、娘が子宝に恵まず、相談すると「鸛は泥鰌が好物、そういう環境を作れ」と言われ、努力が実り男児が誕生。男児は農業に従事した。
それを聞いて、「鸛が授けてくれた子や、やっぱり土壌(泥鰌) が好きや」と洒落が効いて面白いです。他には鶴が登場致します「つる」鳶の「通い鳶」白鳥の「白鳥の死」など色々と楽しめます。
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