![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171737/rectangle_large_type_2_9bec9a25f6b673aeb51bd89adc3cc533.jpeg?width=800)
第1871回 間遠な海鳥たち
①-1.https://www.google.co.jp/amp/s/s.resemom.jp/article/2014/06/10/18888.amp.htmlより引用の北方領土のエトピリカの案内イラスト
これまでは、比較的に身近な野鳥を紹介致しましたので、今度は反対にちょっとお眼にかかれない北方領土の野鳥を紹介致します。北方領土は、日本国とロシア連邦との間の領土問題でも有名です。 北海道の根室半島の沖合にある択捉島、国後島、色丹島、そして歯舞群島をあわせた四つの島が、いわゆる北方領土と呼ばれています。その北方領土に生息している北海道独特の海鳥を紹介していきますが、それ以外の千島列島とか、北海道の北端ともいえる島々に生息する海鳥たちです。
①-2.https://animalbook.jp/animalia/puffin/より引用のエトピリカ(体長約39㌢)
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171742/picture_pc_97377effbf813a05d0e9d95cfe9038d8.jpeg?width=800)
この生息域では一番有名な海鳥が①-2.のエトピリカだと思います。またこの鳥の漢字表記があまりにもユニークですので紹介します。花魁鳥(おいらんどり)と当字されました。エトピリカとはアイヌ語で「クチバシ(etu)が美しい(pirka)」という意味で、名前の通り橙色の大きなクチバシをもち、クチバシは縦に平たく、縦に数本の溝があります。クチバシの根元も黒っぽいですが、夏羽では顔が白くなり、目の後ろに黄色の飾り羽が垂れ下がり、クチバシの根元が黄褐色の独特の風貌となります。頭部が鮮やかに彩られる様から別名が花魁鳥という喜ぶべきかどうか解らない別名です。
②-1.https://www.saiyu.co.jp/blog/wildlife/?p=102より引用のツノメドリ(体長約40㌢)
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171744/picture_pc_35ff6aa08a5b71c5d30babb8df1985ff.jpeg)
②-2.http://nature2-birds-world.travel.coocan.jp/nisitunomedori.htmより引用のニシツノメドリ(体長約30㌢)
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171747/picture_pc_12e67ce8ba14f1cc0cfc173e480666e9.jpeg?width=800)
ややこしいのが、②-1.の写真のツノメドリと-2.のニシツノメドリです。①-2.のエトピリカを含むこの三種はそっくりだと思いませんか。エトピリカは全身が黒く、夏には顔が白くなり、目の後ろに黄色の飾り羽が垂れ下がるのが特徴なのですが、ツノメドリとニシツノメドリは、メスもオスも、胸、腹、下尾筒(かびとう)という尾羽のすぐ下側にある羽毛が白く、腹や顔以外は黒い色をしています。趾はオレンジ色から赤色。目の上と後ろに黒く細い模様があり、その名の通り、目から角が生えたように見えます。この二種は生息地がツノメドリが北太平洋、ニシツノメドリが北大西洋(エトピリカも同じ)。因みにキツツキが総称でそんなに名前の鳥はいない様に、この三種の事を『パフィン』といい、ややこしい海鳥だと思います。
③-1.http://www.birdfan.net/2008/07/11/2754/より引用のウトウ(体長約38㌢)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171754/picture_pc_905ed13b3dd1fc88476270fa840a6e9e.jpeg)
③-2.http://www.birdfan.net/2017/03/31/51450/より引用のウミスズメ(体長約26㌢)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171758/picture_pc_c5ed7ddcbe8ee390dba2f7c190d78d22.jpeg)
海鳥でアイヌ語の名前が付いていますのは、エトピリカだけではありません。③-1.の写真のウトウもまたそのひとつです。やはりエトピリカやツノメドリなどと同じく③-2.の写真のウミスズメの仲間です。ウトウという名前もアイヌ語で、何故か「突起」という意味を持ち、漢字表記は善知鳥です。またその名前の由来は烏頭中納言藤原安方朝臣という貴族が流罪となり、さすらい歩いて辿り着いた「外ヶ浜」なる地で亡くなりました。 その亡霊は見た事もない鳥となって海に群がり、磯にたくさん鳴いていたのを、その君の名をとってこの鳥を「うとう」と呼んだといいます。アイヌ語の意味も何故だかわかりません。北日本沿岸の天売島は約百万羽が繁殖するといわれ、世界最大の繁殖地となっています。何故か謎めいた鳥です。
④-1.http://www.birdfan.net/2012/08/17/19564/より引用のケイマフリ(体長約37㌢)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171764/picture_pc_a373e00e066529e85951c152a9dbc646.jpeg)
④-2.https://ebird.org/species/piggui?siteLanguage=jaより引用のウミバト(体長約35㌢)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68172250/picture_pc_f4745e8035cf101e7f79610b8aa1b818.jpeg?width=800)
北海道が関わる海鳥の名前にはアイヌ語が不可欠です。④-1.の写真のケイマフリの名前を始めて耳にした時は「桂馬振」と将棋の世界から名付けられたのかと思いました。アイヌ語の名前の由来はケマフレ(kemahure「足が赤い」の意)に由来し、その名の通り鮮やかな赤橙色の趾をもちます。一方、英名の"Spectacled"は「眼鏡をかけた」という意味で、目の周囲の白い模様を指しています。羽色は近縁種の④-2.のウミバトに似ますが、ウミバトの夏羽は顔が黒くて翼が白く、冬羽ではアイリングがありません。また海鳥には珍しく美しい鳴き声から「海のカナリア」とも呼ばれいます。
⑤-1.http://xenopuszoo.web.fc2.com/bird/umigarasu.htmより引用のウミガラス(体長約42㌢)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68171768/picture_pc_83ff2149997b88aae0a26278537bd3ef.jpeg)
⑤-2.https://www.city.kiryu.lg.jp/zoo/event/1018444.htmlより引用のフンボルトペンギン(体長約56〜70㌢)
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/68172677/picture_pc_54d921cf3aad5cc35aaf2c4bc6e0766f.jpeg)
やっとアイヌ語が由来の名前の海鳥が終わったと思いましたら、今度はウミスズメ、ウミバトに続いて⑤-1.の写真のウミガラスです。まあ地上にいる身近な野鳥たちが、間遠(まどお)な海鳥のスズメやハト、カラスになりました。またこのウミガラスはウミスズメやウミバトとあわせた中でも一番体長が大きいです。これは身近な三種と同じです。しかし姿形はカラスには似ず、⑤-2.の写真にそっくりなのです。北海道羽幌町の天売島(てうりとう)が「海鳥の楽園」と言われています所に生息しています。仲間のハシブトウミガラスによく似ていますが、背の色は黒いハシブトウミガラスより薄いです。クチバシが太いとか太くないとかはやはり私たちの身近な二種のカラスと同じです。
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