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第1824回 カラスとトビは慕われもの

   みなさん、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします🙇

①Twitterより引用のカラスとトビの空中戦

   ちょっと街を離れて、郊外の山あいや海岸沿いや川辺なんかで、よく空を見上げてみると、二種の鳥が二手に分かれて、追いかけ回したり、①の写真のように攻撃を仕掛けたり、まるで大喧嘩しているようにくんず解れて地上に降りてもやり合っている場面をよく目あたりにしました。あんまり詳しいことを知らない方が目撃されたら、カラスが自分より身体の大きなトビを追いかけ回していると思われることでしょう。なぜこんなに、猛禽類のトビに対し、カラスは仕掛けるんでしょう。

②-1.https://www.birdfan.net/2018/12/07/66588/より引用のハシブトガラス(体長約56㌢)

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②-2.https://www.birdfan.net/2016/11/04/47276/より引用のハシボソガラス(体長約50㌢)

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   ②-1.は太いクチバシと出っ張りのおでこで「かー、カー」と鳴くハシブトガラスです。また②-2.はブトと比べてクチバシの細く、集団行動がおおく鳴き声が「ガァ、ガァ」と鳴くハシボソガラスです。よくこの日本で「カラス」と呼ばれるのはこの二種のことです。二種は留鳥で一年中見られます。しかし、生息域はブトが私たちの住む街中で、肉食が強い雑食です。ボソは山沿いの郊外に生息し、くるみなどの植物性の強い雑食です。姿形も違い、食性も行動も違う棲み分けなのです。

③https://www.birdfan.net/2019/11/15/74670/より引用のトビ(体長約59〜69㌢)

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   もう、皆さんも身近なスズメの「チュン、チュン」、ウグイスの「ホーホケキョ」に続いて③の写真のトビのトンビがクルリと輪を描いた「ピーヒョロロ」はご存知だと思います。街中にこそ現れませんが、私たちにとって身近な猛禽類だと思います。生息地は山沿いとか海岸沿いか多いです。しかし食性がトカゲとかカエルとかの小動物中心の肉食が強い雑食で、あの二種のカラスと食性がかち合ってしまうわけです。こちらは鴨川なんかでは集団行動を取る事もあり、衝突します。

④http://jp-isan.com/photo/kumanohongutaishayatagarasu.htmlより引用の熊野神社に祀られる八咫烏の像

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   今ではカラスはゴミ荒らし、トビは人の手からおかずをかっさらう引ったくりと良くないことが目立っていますが、しかし、太古のこの鳥たちは人から崇め奉られていました。『八咫烏(やたがらす)』は、日本神話に登場するカラスであり導きの神。神武東征の際、高皇産霊尊(タカミムスビ)によって神武天皇の下に遣わされ、熊野国から大和国への道案内をしたとされます。一般的に三本足の姿で知られ、古くその姿絵が伝わっています。今でもサッカー日本代表のユニフォームにいます。

⑤https://blog.goo.ne.jp/horinosuke/e/32146ff1ba3dacc82ba7f0c11a4d4dcbより引用の金鵄

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   一方のカラスにとっての喧嘩相手のトビは、八咫烏が『古事記』では高木大神によって遣わされ、『日本書紀』では天照大神によって遣わされたと伝わりますが『

金色の鵄として⑤の写真のように崇め奉られました。東征を進める彦火火出見(後の神武天皇)が長髄彦と戦っている際に、金色の霊鵄が天皇の弓に止まると、その体から発する光で長髄彦の軍兵たちの目が眩み、東征軍が勝利する事ができました。

※  『日本神話』に於ける三本足のカラスの『八咫烏』は神武東征の際には神武天皇を目的地まで導き勝利させ『金鵄』としてのトビは『日本書紀』に登場し、神武天皇による日本建国を導きました。同じ現象なのに、一方でカラスが崇められ、また一方では喧嘩相手のトビが崇められます。



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