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第837回 早春にイソヒヨドリ(8回目)

イソヒヨドリのオス(体長約23㌢)

   早春の二月ともなると、未だに陽が昇っていないあたりが真っ暗な街中に、大きな鳴き声で「ヒーチュリツチーチュルリル」など複雑な鳴声でさえずっています。こんなまだまだ寒くて暗い朝早くから、イソヒヨドリは気持ち良さそうに、少しだけ翼を浮かせて、身体を膨らませブルブルと身体を揺らせながら、つがい相手を探すのにさえずっています。イソヒヨドリは「鵯」とついてますが、メスの身体の色がたまたまヒヨドリに似ていただけで、本当はヒタキ科のツグミの仲間です。

②日本では文字通り「磯鵯(イソヒヨドリ)」

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   日本ではイソヒヨドリは読んで字の如く「磯辺に生息する」野鳥で、港の桟橋に以前はよく見かける野鳥でした。それがいつの間にやら街中にやってきたのだから驚きます。面白いことにキジバトと同じような名付けら方で、それも目立つのはこの①〜④の写真をご覧になればお分かり頂けると思いますが、オーシャンブルーの濃い青色をしたイソヒヨドリのオスより、何故か地味な色をしたメスの色を見て、あの鳥はヒヨドリの色にそっくりだから、磯にいるヒヨドリイソヒヨドリ

③つがいで仲良く子育てするイソヒヨドリ(左がメス、右がオス)

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   イソヒヨドリは大きく分けると、ヒタキ科なので、地鳴きは「ヒッ、ヒッ、ヒッ」と鳴きますが、さえずりのその声が遠くまで通るのは、さえずり上手なツグミの仲間であるからとされています。またヒタキ科のルリビタキジョウビタキにもあるように、③の写真のようにオスが派手な色合いをしているのに対して、メスは地味で目立たない色合いをしています。ここまでは、ヒタキ科の習性ですが、ヒタキ科はオスしかさえずりませんが、このイソヒヨドリはメスもさえずります。

④磯部ではゴカイなどの海の節足動物を食べていたイソヒヨドリ

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   何故、イソヒヨドリが海辺から街中に進出してきたのか、その原因は不明です。一説にはあの東北大震災のあのかつてない巨大津波が影響しているのではないかと考えられています。まだまだ研究の余地はあると思います。このイソヒヨドリは元来、アフリカとユーラシア大陸に広く分布する鳥で、和名どおり海岸や岩山などで多く見られます。また世界的には標高2,000〜4,000mの高山の岩石地帯に生息する鳥であります。その野鳥が日本に住み着いたときには山でなく海岸でした。

⑤身を守るための保護色になるイソヒヨドリのメス

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   ⑤の写真はイソヒヨドリのメスです。ルリビタキやオオルリコルリなどの青い鳥は見えやすく、外敵に襲われやすいのです。そのため自然の知恵か、種の繁栄のためにヒナを育てるためにメスは⑤の写真のように岩場では保護色になって目立たないどころか、ぱっと見ではどこにいるかわからないようになっています。またヒタキ科の幼鳥もそうなのですが、オスの幼鳥は二年間はメスの成鳥と同じく、目立たない地味な色で経験を積み、立派な成鳥となり強い子孫を残します。


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