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第745回 ホーホケッキョッ(法 法華経)

①https://nenjudo.ocnk.net/product/622より引用の「法華経」の経典

   沙加戸弘(さかどひろむ)さんと言われる国文学教授の方が、ウグイスのことを「『ほう ほけきょ』春告鳥とも呼ばれ春の鳥の代表とも言える鴬の鳴き声である。我国の先達は鳥や虫の鳴声をことばとして聞いてきた。これを「聞き為し=ききなし」と称する。『てっぺんかけたか』とほととぎすは鳴き『つくつく法師』と蝉は鳴き『つづれさせ』と蟋蟀(こおろぎ)は鳴く。文献を見るかぎり、鴬が『法華経』(『仏説 妙法蓮華経』の略称)と鳴くようになったのはそう古いことではない。

②「ホーホケッキョッ」とさえずるウグイス

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   歴史や文学に長けている国文学教授がおっしゃることだから間違いはないはずです。以前に私も中学の頃、英語の授業の一角で、日本では犬は「ワンワン」鳴くけれど、アメリカでは「バゥワゥ」と鳴き、鶏は「コケコッコー」だけど「クックルドゥ」、豚は「ブゥブゥ」が「オィンコ、オィンコ」と人種によって鳴き声の捉え方が違ってくると教えられました。ハワイに持ち込まれたウグイスは現地人には「ホーホピッ」と聞こえ、中国人には「ファーファチン」とききなします。

③「仏法僧」と鳴くとされたブッポウソウ

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   仏法僧と鶯について「仏法僧とは仏と法と僧の三宝、すなわち仏教の三つの宝をいう。さとりを開いた人(仏)と、その教え(法)と、それを奉ずる教団(僧)という三つである(『仏教語大辞典』)。鶯がこの仏教の仏法僧と鳥の仏法僧の両方に関わりをもっていることである」と。空海と仏法僧の項で「鳥の鳴き声を仏教に関連付けて聞きなすことは、平安時代の初期に始まる。空海は、仏法僧という鳥の鳴き声を仏教における三宝、すなわち仏・法・僧に擬えて聞きなしているのである」

④「仏法僧」と本当に鳴いているのはこのコノハズク

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   その昔に同じ日本で、ウグイスの鳴き声はすれど姿は見えずとなって、春先に民家の庭の梅にやってくる、鮮やかな鶯色したメジロウグイスと勘違いしたように、同じ夏鳥で同じ時期に同じ生息場所の森林にやってきて、夜方にききなしの「ブッポウソウ」と鳴く野鳥はいるけれど、暗いゆえその姿を見せないその鳴き声の野鳥。夕刻にたまたま見つけた③の写真のブッポウソウを本当の声の主は④のコノハズクなのに、うまいこと混同されてしまって、この名を馳せています。

⑤https://ja.m.wikipedia.org/wiki/三宝より引用の「仏法僧」の三宝

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   「法華経」とその経典の中にある「仏法僧」の三宝は野鳥の三鳴鳥のひとつのウグイスに「森の宝石」といわれるブッポウソウ、ありがたき「仏法僧」と鳴き声を発しているコノハズク。聖徳太子の時代に仏教とともに日本に伝来し、大乗仏教の初期に成立した経典であり、だれもが平等に成仏できるという仏教思想の原点が説かれています。それをその当時の僧侶たちがこの教えを広めんとして、この三種の野鳥を巻き込んだ、このありがたき教えを広げる宣伝活動と言えます。

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