見出し画像

第1227回 鳥の川柳 ⑵

①https://birdstory.net/illust/6042より引用のイラスト

ツバメ(体長約17㌢)

画像1

   た〜つ)  (19)  鷹(たか)
❶  駒込は 一富士二鷹 三茄子
   (駒込富士神社近くには、鷹匠屋敷があり、名産が駒込茄子)
❷  鷹の爪 土瓶へ下女は 鷲つかみ
❸  青首を 取るが時世の 手柄也
   (鷹狩 首を取るといっても鴨)
❹  嘉運拙く 献上の 鶴となり
   (鷹狩)

   (20)  千鳥(ちどり)
❶  ぶちまける やうに千鳥は おりるなり

   (21)  ツバメ
❶  雨宿り 燕の糞を 一つ浴び
❷  燕(つばくろ)は 梵字のやうに 飛んで行き

   (22)  鶴(つる)
❶  一切れが 一年程の 御吸物
   (鶴の別名は千年)(鶴の肉を千切り)
❷  一声は 松千声は 竹で鳴き
   (一声=鶴、千声=雀)
❸  二千年 寄って我が名を 一つ呼び
       (鶴は雄がツーと鳴き、雌がルーと鳴くとして)

③オオハクチョウ(体長約140㌢)

画像2

   に〜は)  (23)  鶏(にわとり)
❶  産んでいる 間命が 無事な鶏
❷  母だけが 産まない鶏を まだかばい
❸  鶏の 喧嘩おじぎを してはじめ

   (24)  鵺(ぬえ)→トラツグミ 
❶  夜へんに 鳥だと笏で 書いてみせ
❷  夜の鳥 時の鳥とで 名を揚げる
    (鵺退治の源頼政)
❸  鵺よりも 化鳥の多い 吉田町
    (吉田町は夜鷹が多い)現 墨田区南部
❹  ぬえを見に 百人一首程 寄たかり

   (25)  白鳥(はくちょう)
❶  白鳥は 淋しい池を にぎわせる
   (江戸では冬に上野の不忍池によく下り、なじみの鳥であった)
❷  白鳥を 喰った男を 見ちがいる
   (白鳥を食えば毛髪が抜けるという俗語があった)

   (26)  鳩(はと)
❶  八の字で 九の字を書く 御神号
   (八=八幡の表象)(九=鳩の異称)

④ヒバリ(体長約17㌢)

画像3

   ひ〜ほ)  (27)  ヒバリ
❶  出合いする 上をひばりは 舞って居る 
            (出合=村出合=村の男女の密会)
❷  おっこちる ように雲雀は おりるなり

   (28)  ヒヨドリ
❶  南天へ ひよどりが来て 御手が鳴り
    (音を立てて追い払う)
❷  ひよどりを 追って柄杓の 柄が抜ける
    (柄杓で手を洗っているときに、鳥が来たので柄杓を振り回す)
❸  ひよ鳥は 鷲の尻尾に ついて行き
    (義経の鵯越は、鷲尾三郎の案内で)

   (29)  ホトトギス→不如帰、ほととぎす
❶  目には青葉 山不如帰 初鰹
❷  聞いたかと 問われて 喰ったかと答へ       ❸  目と耳は 良いが口には 銭がいる 
❹  花より団子 初音より初鰹
❺  ほとゝぎす 先から先へ さしみ皿
   (ホトトギスの行く先には、どこでも初鰹が)
❻  僧正は 山ほととぎす 青葉なり
   (僧正には生臭物の初鰹はダメ)
❼  ほとゝぎす もう小金井も 毛虫なり
   (杜鵑の初音が聞こえる頃になると、小金井の桜並木は葉桜となり、毛虫がつく)
❽  せせなげへ うっかり落ちる ほととぎす 
(せせなげ=下水)
   (ホトトギスの声を聞いて、空を見ながら歩いたら下水に落ちた)         

⑤ホトトギス(体長約28㌢)

画像4

   ほ〜み)  (30)  ホトトギス→時鳥  杜宇                            ❶  時鳥 聞かぬと言えば 恥のよう
❷  見たものは ないががんばれ ほととぎす
   (夜中も鳴くので声はよく聞くが、姿は見つけにくい)
❸  同じ巣を 出て梅に鳴き 月に鳴き
   (ホトトギスはウグイスに托卵)(梅に鶯、月にホトトギス)
❹  時鳥 油断をすると 鳴き足らず
   (ホトトギスは八千八声鳴くという。油断すると7,999とか)
❺  二つほど うねっておいて 一つ鳴き
   (鳴く前に首をうねらせ、声を出す)
❻  杜宇 どれがそもじの 実名ぞ
    (杜鵑、不如帰、時鳥などたくさんある)

   (31)  マガモ
❶  青首を 取るが時世の 手柄成
    (敵将の首でなく)

   (32)  ミミズク
❶  みゝづくは 泥棒猫に 羽が生え
    (ミミズクは猫に似た顔)

   (33)  都鳥(ミヤコドリ)→ユリカモメ
❶  名にし負はば いざ事問わん 都鳥 我が思ふ人は ありやなしやと     在原業平
❷  翌る日は いざこざ聞かん 都鳥
❸  問う人が ただの人なら ただの鳥
❹  業平が 歌に詠まぬと 名なし鳥
❺  隅田川 所の人は かもめ也
    (ユリカモメは都鳥だが)土地の人間にはただの鴎
❻  隅田川 鳥さえ見れば 都鳥
❼  水鳥に 二つ名のある すみだ川           

⑥当時はミヤコドリとされたユリカモメ(体長約40㌢)

画像5

   み〜) (34)  都鳥(ミヤコドリ)                               ❶  名にほれて 見れば鴎も 都鳥
❷  名所とて かもめ住めば 都鳥 
            (「住めば都」にかけて)
❸  鴎見て あれにしておけ 都鳥
❹  橋一つ 隔てば鴎 都鳥
   (吾妻橋から上流の鴎を都鳥と呼んだ)
❺  鳥の名も 変わり息子の 気も変わり
   (吾妻橋から浅草と来れば吉原が近い)

   (35)  椋鳥(ムクドリ)
❶椋鳥も 毎年来ると 江戸雀
    (江戸時代、椋鳥は冬、町に来る漂鳥)
(転じて冬の農閑期に江戸に来る出稼ぎ者のこと)
    (江戸雀とは、江戸市中の事情に通じ、しゃべりまわる者)

   (36)  夜鷹(ヨタカ)
❶  頬白に 塗った夜鷹の 四十雀
   (江戸時代は二十歳過ぎたら年増、三十過ぎると大年増)
❷  君は京 嫁は大阪に 江戸では鷹
   (街娼のことは、京都では辻君、大阪では惣嫁、江戸では夜鷹)

   (37)  呼子鳥(よぶこどり)
❶  羽物か毛物か おぼつなくと咏み
   (鳥説や猿説がある)

   (38)  雷鳥(ライチョウ)
❶  黒百合の 咲く近所には 雷の鳥     (白山) 


                             

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?