第1294回 鳥のオスとメスの事情 ⑶
③-1.http://ono-wildbird.life.coocan.jp/yachou_tamashigi.htmlより引用のつがいのタマシギ(左がメス体長約26㌢、右がオス体長約22㌢)
③-2.https://blog.goo.ne.jp/pandado4/e/aabef94e5251172f785bda7c04c59973より引用のつがいのレンカク(奥側がメス、手前がオス共に体長約55㌢)
これまでにも大変珍しいので、何回か紹介してきました③-1.の写真のタマシギと、同じく③-2.の写真のレンカクは二種共に一妻多夫の野鳥として有名です。特にタマシギは写真をご覧になってお分かり頂けると思いますが、メスのほうが身体も大きく、また派手な色合いの身体です。一妻多夫で性的二型があるのはタマシギだけです。一方のレンカクは日本では迷鳥で、本州や四国、九州、南西諸島で数回観察されただけでしたがその後記録が増え南西諸島ではほぼ毎年記録されています。
③-3.http://maroleopie.blog118.fc2.com/blog-entry-372.htmlより引用のつがいのミフウズラ(左がオス、右がメス共に体長約14㌢)
もう一方の③-3.の写真のミフウズラは別名をフナシウズラというみたいです。ウズラと名が付くゆえに身体の大きさを想像していましたらスズメより小さい最小の野鳥でした。写真でお分かりのように雌雄同色ながらメスの身体の色の輪郭のほうがはっきりしています。またウズラのようです実はキジの仲間です。雌雄逆転はタマシギと同じで、抱卵から育児までオスの仕事ですが、縄張り争いはメスの仕事で、何事にもメスがリードします。オスはただただメスに従う雌雄逆転です。
④-1.https://www.naturingnews.jp/?p=19524より引用のつがいのイワヒバリ(左がメス、右がオス共に体長約18㌢)
④-2.https://blog.goo.ne.jp/kotopapa_001/e/ff111eaedf4c9be131f7e0e7e9e7ad80?fm=entry_awpより引用のつがいのツメナガホオジロ(手前がオス、奥側がメス共に体長約16㌢)
この項は餌を巡って、種の保存に関わる野鳥の繁殖状態です。④-1.の写真はイワヒバリです。雌雄数羽ずつがグループを結成して、不思議なことにつがいの絆は成立していて、メスが求愛行動をして、繁殖が始まると、またメスが世話をし、雌雄とも順位があるというもので、複数のオスが一つの縄張りを防衛し、その中に複数のメスがそれぞれ狭い縄張り防衛するか、縄張り全体を共有して共同営巣します。④-2.の写真のツメナガホオジロも同じような行動をとる不思議な繁殖形態です。
⑤-1.http://blog.livedoor.jp/rh1-manyo/archives/52788404.htmlより引用のつがいのキジ(左がオス体長約80㌢、右がメス体長約60㌢)
⑤-1.の写真は日本の国鳥でもあり、幼い子供たちにとっては、英雄の昔話の桃太郎に登場する勇敢な野鳥のキジです。キジは繁殖期になると顔の赤い肉垂れか真っ赤に充血し、お互いのオス同士で繁殖相手のメスを取り合うために、蹴爪を使って突組み合いをし、勝てば母衣打ちの勝利宣言をします。メスや卵、ヒナを守るため、外敵の蛇なんかにも勇猛果敢に闘う。そんなイメージを持っていましたが、地上生活のキジなどはつがいの絆は意外となく、オスもメスも浮気のし放題です。
⑤-2.https://plaza.rakuten.co.jp/nonkiblog/diary/?PageId=5&ctgy=23より引用の左がオス、右がメスのカッコウ(体長約33㌢)
⑤-2.の写真のカッコウは皆さんもご存知の托卵鳥です。仲間にホトトギス、ツツドリ、ジュウイチがいます。ウグイスや一夫多妻の鳥のように、殆どメスと一緒の写真はありません。カッコウの仲間は托卵して自分の子供を他の種類の野鳥に育てて貰うだけで、雌雄ともいっさい抱卵や郁雛をすることはありません。すべて他の野鳥任せです。キジのような乱婚と違った性質を持っています。産んだ卵に責任を持たず、郁雛をする野鳥を騙すのですから、当然つがいの絆もありません。
⑥-1.https://amanaimages.com/info/infoRM.aspx?SearchKey=32258003086より引用のエリマキシギのレック(左二羽がオス体長約32㌢、右がメス体長約25㌢)
⑥-2.https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9880/?ST=m_newsより引用のレックするノガン(左がオス体長約100〜105㌢、右がメス体長約75〜80㌢)
⑥-1.の写真は「旅鳥」として春と秋に少数が観察されるエリマキシギで、⑥-2.の写真は日本では迷鳥として主に冬に記録されているノガンです。二種とも面白い習性を持っていて、集団求愛場(アリーナ)で、雌雄の複数が集まり、人間でいう集団見合いを行います。エリマキシギの襟が白い個体は持てないみたいです。またつがいになると、オスは造巣、抱卵、育雛を行わず、オスは繁殖に必要な食物源を防衛もせず、ぐうたらみたいです。
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