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第631回 黒を白?はたまた白が黒?

①この「白鷺」はクロサギ(体長62約㌢)

   日本には曖昧な言葉があって、カラスといえば、ハシブトガラスハシボソガラスのことで、ハトといえば、ドバトキジバトのこと、またキツツキといえば、コゲラとかアカゲラというケラの仲間、ワシタカ、フクロウと例を挙げたらキリがないほど浮かんできます。その野鳥の総称に「白鷺」も含まれます。白いサギだから「白鷺」…当たり前のことを昔から言ってるだけですが、ちょっとこの「白鷺」の仲間は腑に落ちないことがあります。なぜクロサギが「白鷺」なのか…

②http://tajimamori.com/roppo/roppo1106-01.htmlより引用のこの「白鷺」は手前ダイサギ(体長約89㌢)、向こう側チュウサギ(体長約68㌢)

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③この「白鷺」はコサギ(体長約61㌢)

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   一般に野鳥のことを知っていらっしゃる方には「白鷺」は②の写真のダイサギチュウサギ、また③の写真のコサギが「白鷺」の三種だと思っておられる方がほとんどで、以前にダイサギと一緒にコサギが写っている写真をみた職場の人は「あぁ、シラサギの親子が写っている」とおっしゃいました。②の写真でもダイサギチュウサギが写っていますが、見る人によっては大きさが違うからもしかしたら、シラサギの兄弟が仲良く歩いているんだなぁと思われるかもしれません。

④この「白鷺」はカラシラサギ(体長約65㌢)

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   ④の写真のカラシラサギは漢字表記で「唐白鷺」。朝鮮半島や中国黄河のあたりから九州に飛来する迷鳥みたいです。この写真では脚の色がわからないですが、後肢の色彩は黒く、趾は黄緑色とほかの「白鷺」に比べると大変趾の色が派手だから見分けはつくと思います。夏羽は後頭部の冠羽が10㌢以上伸びるほか、肩部、胸部の飾羽がやや伸長するみたいです。クチバシの色も濃い黄色だということです。このカラシラサギが厄介なのは、ほかの「白鷺」のコロニーに紛れこみます。

⑤この「白鷺」はアマサギ(体長約50㌢)の冬羽

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    この④の写真のアマサギは漢字表記で「飴鷺」です。別の表記で「猩々鷺」は能の演目であり、濃いオレンジ色の装束を着込んで、酒に浮かれながら舞い謡い、能の印象からこの名前を当てたと言います。しかし④の写真は「白鷺」です。このアマサギは冬羽がこのように真っ白に変身してしまいます。繁殖期は眼先が赤く、クチバシや後肢の色彩も赤みを帯び、夏季は頭部から頸部、胴体上面はオレンジがかった飴色をの羽毛で被われます。「白鷺」は変身の姿だったんです。

⑥白黒の決着を付けて欲しい黒いクロサギ(手前)と白いクロサギ(向こう側)

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   今回の疑惑の張本人はこの⑥の写真のクロサギです。当たり前ですが、クロサギを漢字表記すると「黒鷺」黒い鷺と書きます。じゃあそれでまた問題はないではないかと思われますが、そんなに単純なことではないのです。「白鷺」は白いサギのことです。しかしクロサギがなぜ「白鷺」なのでしようか。⑥の写真に二羽のクロサギが写っています。九州以北では黒色型が分布し、南西諸島では白色型の割合が増えます。また、黒い羽と白い羽が両方ある中間型も少数存在。厄介です。

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