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第594回 野鳥の着替え

①イラストACより引用のイラスト

   タイトルに野鳥の着替えって題名して、簡単に着替えている鳥さんの①のイラストをあげましたが、野鳥にとって死ぬ思いを経験するのが、この着替え=「換羽」なのです。野鳥が命を落とす可能性のある大変な行動といえば、「繁殖」「渡り」「換羽」ではないでしょうか。渡鳥でない留鳥はその危険性がひとつ減ります。もう一つの繁殖期もつがいに慣れなかったら省かれます。

②http://www.hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/seibutsu/00000059/66.htmlより引用の野鳥の毛繕いの羽の手入れ箇所

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   でも「換羽」だけは幼鳥であろうとも、雌雄関係なしに訪れます。またそれは季節がひとまわりする一年に一度やってくるのです。ただ大型のワシ類やツルの仲間は二年に一度とされています。とにかく季節が秋から冬にかけるころ、いろんな箇所が生え変わり、またある種の「換羽」は冬の色に変わったりするのです。だからどんな野鳥でも、②のような箇所の「毛繕い」を怠りません。

③https://blogs.yahoo.co.jp/r_s_sinsetu_4949/15742845.htmlより引用のモズの羽ばたき

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   ③はモズの羽ばたきですが、いろんな箇所の「換羽」がある中で一番大切なのがこの翼です。野鳥にとって「飛べる」ことは命に関わることになります。大空を自由に飛ぶことができる鳥への憧れは、誰しも一度は思い描いたことがあるのではないでしょうか。風を自由に操るように飛翔する鳥たちは優雅に映り、悩みなど全くないかのような錯覚に陥ります。それが違うのです。

④http://photozou.jp/photo/show/240261/225630468より引用のシジュウカラの換羽

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   ④の写真はシジュウカラの「換羽」です。なんともはや、みすぼらしい格好です。おそらく皆さんは、換羽といっても簡単に済むものと考えるのではないでしょうか。しかし換羽は、人間の髪の毛や爪が伸びるようなものではありません。古い羽を一旦落とし、新たな羽を体内から生やさなければなりません。鳥の羽は枚数が多くて、雨風を防ぎ保温する羽、風を切り飛翔する羽と色々。

⑤https://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?kind=news&inst=&link_num=24358より引用のオシドリのエクリプス

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   ⑤の写真の野鳥の名前がお分かりになりますか。多分わからないと思います。留鳥のオシドリのオスなのです。カモ類のオスはほとんどが渡鳥ですが飛来する時はこのようにみすぼらしい姿でやってきます。このカモ類の極端な姿の変化を「エクリプス」と言います。ただでさえ繁殖期を終え、体力を消耗しているのに、その直後に命をかけて全身の換羽を行わなけれはなりません。

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