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第696回 「烏」はカラスかウかどちら?

①https://kanji.jitenon.jp/kanjie/2167.htmlより引用の「烏」の漢字

   ①の漢字の「烏」はみなさんはなんと読みますか。ご存知だと思いますが「鳥」という漢字に似てはいますが、一本一が足りません。小学校か中学校で先生から「鳥より一本足らない鳥だからカラスと読む」と教えられたのを思い出します。実際に先生がおっしゃっていたのは、本当の漢字の画数がひとつ足りないってことで、カラスがバカだという意味では決してありません。しかし、このカラスの漢字はもうひとつあります。「鴉」という漢字もやはりカラスなのです。

②https://kanji.jitenon.jp/kanjih/3799.htmlより引用の「鴉」の漢字

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   この②の漢字の「鴉」もカラスなのです。学校でのカラスの漢字は「鳥」より一本画数の少ない「烏」とはっきり覚えています。「烏」の漢字は『象形文字』で、普通の「鳥」と違って「烏」の一がないのは、カラスの身体が全身真っ黒な野鳥が故に、眼の部分が見えなくて「烏」になりました。またこちらの「鴉」にはこの『牙』という漢字、実は当て字で、カラスの鳴き声から来ています。「カーカー」と「ガーガー」の鳴き声を昔の人は『牙』いう文字で現した形声文字です。

③https://kakijun.jp/page/u18200.htmlより引用の「鵜」の漢字

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   でもまたこの「烏」という漢字には、もうひとつの読み方があって『カラス』の他に『ウ」という読みがあります。ハシブトガラスハシボソガラスの『カラス』とカワウウミウの『ウ』の別個の野鳥の名前が当てられています。発音はカラスとウです。また諺で「烏合(うごう)の衆」があり、その意は「規律も統制もなく、ただ寄り集まっているだけの集団。秩序のない人々の集団や軍勢をいう。カラスの集まりが無秩序でばらばら」とあり、ウの発音なのにカラスなのです。

④https://blog.nazo2.net/1464/より引用の「烏骨鶏」の漢字

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   またこの「烏」という漢字は『カラス』や『ウ』だけではなく、この④の鶏の仲間の「烏骨鶏(ウコッケイ)」にも使われいます。『烏(カラス)の骨格をした鶏」で「烏骨鶏」です。カラスのような黒い身体(白い個体もいる)ということです。ここでも「烏」をウと発音させるということになっています。他にも「烏頭(ウズ)」の意味は「馬の後脚の外に向いてとがった関節」で訓読みはカラスガシラです。どうやら「烏」という漢字は『黒』を表していて、カラスもウも黒いです。

⑤https://tsurihack.com/3777より引用の「烏賊」の漢字

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   またこの「烏」という漢字は「烏賊(イカ)」「烏龍茶(ウーロンチャ)」「烏帽子(エボシ)=烏塗(くろぬり)の帽子の意」「烏滸(オコ)=愚かなこと」という単語にも使用され、特に⑤の漢字の「烏賊」はなぜイカに「烏」がついているかです。中国の古書にある時、水面にプカプカと浮かぶイカを捕らえて食べようとして、カラスが舞い降りた。イカは死んだふりをして、カラスに長い足を絡めて水中に引きずり込みカラスを捕食。カラスを襲う賊で「烏賊」となりました。

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