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第1050回 ゴイサギの仲間

①-1.ゴイサギ(体長約57㌢)

   ①の写真は鷺の仲間の首の短いゴイサギです。鷺には大きく分けて、白鷺とそれ以外の鷺の仲間に別れます。このゴイサギはご覧になってお分かり頂ける様に白鷺の仲間ではありません。尚この白鷺というのも俗称で正式な学名ではありません。このゴイサギは有名な鷺で、漢字表記は「五位鷺」です。この『五位』というのは『平家物語』(巻第五朝敵揃)におき、醍醐天皇の宣旨に従い捕獲された為、正五位を与えられたという故事が和名の由来となり、能楽の演目にもなっています。

ホシゴイ(ゴイサギの幼鳥名)

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   ②の写真はゴイサギの幼鳥期の名前のホシゴイです。出世魚というのはブリの幼魚のハマチとか、サワラの幼魚のサゴシというのはありますが、鳥類に於いて幼名があるのはこのホシゴイくらいです。ゴイサギの幼鳥は、褐色の羽の白い斑点を星に例えて、ホシゴイと呼ばれます。あまりに見かけが違いますので、最初は同種の野鳥とは誰もが思いません。それにしても親鳥のゴイサギは天皇から命名され、幼名のホシゴイという名前とその容姿の違いで天敵の眼をくらます優れ物です。

アオサギ(体長約93㌢)

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   この②の写真の鷺の名前はアオサギと言います。冒頭で鷺の仲間は大きく分けて白鷺とそれ以外の鷺の仲間と紹介しましたが、このアオサギは漢字表記を「蒼鷺」と書きますので、よくいう煙草の煙の蒼い色です。また①-1.のゴイサギの写真をご覧になってお分かり頂けると思いますが、この成鳥であるゴイサギの色と同じ系列です。しかし体型が似ていません。アオサギのすらりとした体型に比べてみると、どうしてもゴイサギホシゴイ親子はずんぐりむっくり。同じ鷺の仲間なのに。

ササゴイ(体長約52㌢)

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   鷺をもっと分別してみますと、白鷺はダイサギチュウサギコサギアマサギなどを言いますが、そのほかの鷺の仲間には白鷺以外という分別の仕方に加えて、白鷺やアオサギのようにすらりとした体型の仲間と、ゴイサギのようにずんぐりむっくりした鷺の仲間に分かれます。すらり体型の鷺は先程の白鷺三兄弟と冬のアマサギ、白タイプのクロサギカラシラサギの約六種がそれにあたります。残るのはアオサギムラサキサギのすらりと、ゴイサギなどのずんぐりがあたります。

サンカノゴイ(体長約70㌢)

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   白鷺の仲間やアオサギムラサキサギは首が長くて足も長くスタイルのよい鷺ですが、ゴイサギの仲間は反対に伸ばしたらある程度、首は長いかもしれませんが、やはり体型はずんぐりむっくりの体型です。その仲間は③の写真のササゴイ、④の写真のサンカノゴイ、⑤の写真のヨシゴイ、⑥の写真のミゾゴイの五種と言うことになります。ササゴイの漢字表記は「笹五位」でやはり、羽色は蒼灰色で、喉に白い縦縞が入りますので、笹の茂みなどにいましたら、擬態する忍者となります。

ヨシゴイ(体長約36㌢)

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   サンカノゴイの漢字表記は「山家五位」で、ずんぐりとした体形の大型のサギ類で、全身が黄褐色の黒褐色の様々な形の斑が散在しています。頭頂と顎線は黒褐色。体の下面は白みがかった黄褐色で、胸には暗褐色の縦斑があり、頸は短く見えるが、伸ばすと長い。足は黄緑色です。続いてのヨシゴイの漢字表記は「葦五位」でやはり葦原に生息する鷺の仲間です。湿原や湖、池沼、水田などに生息すし、葦原に生息することが和名の由来。単独もしくはペアで生活します。薄明薄暮性。

ミゾゴイ(体長約49㌢)

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   他には珍鳥と言われるミゾゴイがいます。漢字表記は「溝五位」。昔はちょろちょろ流れる小川にるもとの支流を『溝』と呼んだらしいです。平地から低山地にかけての森林に生息し、暗い森林を好みます。単独もしくはペアで生活します。渡来直後のオスは夕方から夜間にかけて鳴くため夜行性と考えられています。木の枝に擬態します。サンカノゴイも頸とクチバシを伸ばして擬態します。こうやってみていくと、擬態をしないのは、ゴイサギだけで、それだけ潔いから「五位鷺」。

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