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第1395回 地中生活の野鳥

①https://ikimono-matome.com/burrowing-owl/より引用の地面に穴を掘って営巣するアナホリフクロウ(体長19〜28㌢)

   ①の写真はアメリカ大陸に住むアナホリフクロウです。他のフクロウより脚が長く、雄雌の差は大きさや見た目では僅かですが、オスの成体はより活動的なため、日焼けにより色褪せて体色が明るく見えます。ほかのフクロウの仲間は木の祠に住いますが、このアナホリフクロウだけは写真をご覧になってお分かり頂けるように、地中の穴に住います。またフクロウは夜行性でありますが、アナホリフクロウだけは、砂漠や草原、農地などの開けた環境に生息しますので、昼行性です。

②https://ja.m.wikipedia.org/wiki/プレーリードッグより引用のプレィリードッグの巣

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   地下に営巣することが知られている、唯一のフクロウのアナホリフクロウは、穴掘りと言いながら、自分で地面に穴を掘ることもありますが、いつもは掘るわけではなく、②の写真のプレィリードッグやジリス、アナグマなどの地中の古巣を使うか、はたまた彼らのいま使用している動物の巣を掠奪します。地面の巣穴は地上のあらゆる捕食者に襲われる危険があり、また実際に襲われるのに、なぜなのでしょう。そのため、もし鳥が地面の巣穴に住もうと考えるならどうしますか。

③http://karapaia.com/archives/52099261.htmlより引用の脚が長いアナホリフクロウ

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   そんなアナホリフクロウは、地上には外敵が多い環境なのに、どうして穴蔵生活を選んだのでしょう。それは子育てをしている中で、そのヒナたちが外敵である捕食者が穴の入口を探り始めると、アナホリフクロウのヒナたちは、ガラガラヘビによく似た「シュッシュッ」という音をたてます。この音を聞いて「ガラガラヘビだ」と思い込むのは、人間だけではありません。外敵もそう信じこみます。アリスイは爬虫類の形に擬態し、このヒナたちはガラガラヘビの音を擬音するのです。

④http://karapaia.com/archives/52099261.htmlより引用の長い脚で走るアナホリフクロウ

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   このアナホリフクロウは③の写真を見てもお分かり頂けると思いますが、とても脚が長くこれを活かして、バッタなどの昆虫類や小型哺乳類を捕食します。また地上の昆虫などを捕えるときは、④の写真のように、かなりの距離を走ります。またバイソンなどの糞を巣穴の近くに運び、それに集まってきた甲虫類を捕食するほか、その糞の発酵熱を暖房代わりにしたり、臭いを身体に付けて外敵から身を守るなど活用するという、経済家であり、知恵物だったり、普通の野鳥ではないです。

⑤http://karapaia.com/archives/52099261.htmlより引用のアナホリフクロウの子育て

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   先程でも触れましたが、他の野鳥は危険を冒してまで、地中に営巣などはしませんが、それを踏まえてアナホリフクロウはこの巣で子育てまでも行います。また最大の防衛の知恵は無害な生き物が、他の危険な生き物であるかのように装うことを「ベイツ型擬態」と言い、アナホリフクロウの場合は、「ベイツ型“音響”擬態」です。アナホリフクロウがどのようにこの能力を獲得したかは定かではありませんが、フクロウの幼鳥が親鳥に空腹を訴えるさえずりが元ではないかといいます。

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