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第1206回 古代からのアリスイ(3回目)

①https://www.pinterest.ca/pin/334040497352998947/より引用の舌出しするアリスイ(体長約17㌢)

   アリスイ(漢字表記:蟻吸)は、キツツキ科アリスイ属に分類される鳥です。こんな姿形をしていてもコゲラ(体長約15㌢)より少し大きなキツツキです。夏は東北北部~北海道、冬は本州中部以西で観察される漂鳥です。これもキツツキの仲間には珍しいです。①の写真を見ても分かるように、キツツキの特徴の長い舌で、絡めるようにして、地上や木の幹を歩いている蟻を吸うように、口の中に放り込むから、蟻を吸う鳥で「蟻吸」です。キツツキは地上採餌しません。アリスイだけです。

②http://blog-imgs-44.fc2.com/m/a/r/maroleopie/arisui3.jpgより引用のキツツキの仲間のアリスイ

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   アリスイはキツツキの仲間なのにあまりキツツキ姿形をしていません。②の写真のように、クチバシもキツツキのように長めではありません。ほかのキツツキのように木を突かないのです。キツツキは自分で木の幹を突いて穴を掘り、営巣しますが、アリスイの営巣は、樹洞や地面に空いた穴、キツツキの古巣に営巣します。穴の中に営巣するというのはキツツキの習性が残っているんだと思います。キツツキらしくないのは、樹上では木の枝に対して水平に止まり、垂直に止まれません。

③http://iorablog.jugem.jp/?eid=6875#gsc.tab=0より引用のアリスイの雌雄(左がメス、右がオス)

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   ③の写真はアリスイの雌雄です。雌雄同色なので一見してはわからないと思います。右の写真のアリスイは喉元の色が左の写真に比べて、ハッキリしていますから、ほぼオスで間違いないと思います。雌雄同色の野鳥は体色の濃い方がオスと考えられます。繁殖期に「クィクィクィ」と甲高い声で鳴き、殆どののつがいが一夫一妻を形成しますが,一夫二妻や一妻二夫も確認されています。雌雄ともに抱卵斑が現れ、交代で抱卵します。育雛期間は約22日で、育雛も雄雌両方で行います。

④意外と地上採餌するアリスイ

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   ④の写真をご覧になられて分かるのは、身体全体の模様が何か爬虫類を思わせるような模様です。しかし、キツツキの仲間であることには変わりありませんが、この姿形で、樹上では木の枝に対して水平に止まり、警戒のために首を曲げ頻繁に後ろを向くことから、不吉の象徴とされ、属名のJynxは縁起の悪いもの、不運、不吉、ジンクスとあまり良くない意味が含まれます。またアリスイは地上採餌が多いのに、藪中をゆっくりした動きで行動します。アリスイには理由がありました。

⑤https://note.com/hiho2351/n/na08e9fbed3be/editより引用の爬虫類に擬態化するアリスイ

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   アリスイが藪中でゆっくりした行動をとる理由はおどろおどろしい背中の模様、小さな目、チロチロど長い舌を出しながらシューシューと威嚇します。姿から想像できる生き物といえばヘビしかありません。アリスイは、ヘビに擬態しているのです。葦の葉に擬態するヨシゴイ、死んだふりをする擬傷のコチドリ、自分の天敵の鳴き真似をするカケス。このアリスイは⑤の写真のように、ヘビのように行動し、尚且つヘビのように舌をチロチロさせ、あたかもヘビになりきり、撃退します。

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