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第1139回 新・妖怪寺つつき

①https://dic.pixiv.net/a/寺つつきより引用のイラスト

   妖怪寺つつきは、鳥山石燕の妖怪画集『今昔画図続百鬼』に登場した妖怪で、啄木鳥(キツツキ)のような怪鳥です。大阪の四天王寺や奈良の法隆寺というどちらも聖徳太子が建立されたという、有名なお寺での出来事です。クチバシで寺中を突いて破壊しようとしていると言われています。寺つつきの語源は、以前は啄木鳥(けらつつき)と呼ばれ、木の幹にいる虫けらを突き食べることから、この鳥をけらつつきとしました。また啄木鳥(キツツキ)は木を啄(ついば)む鳥のことが語源といわれます。

②https://ja.m.wikipedia.org/wiki/寺つつきより引用の『今昔画図続百鬼』より「寺つつき」

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   啄木鳥・啄木(きつつき  けら  けらつつき)とは、キツツキという種類の野鳥の総称で、キツツキという名前の鳥はいません。それは他で言うと、サギという名の鳥もいませんし、カモやカラスもいません。皆んなその種の仲間の総称です。キツツキの個別の名前には、古名である〜ケラ(又はゲラ)が付きます。この呼び名だけは、アリスイを除いて、どんなキツツキにも〜ケラがつくようになっています。因みにこの世間を揺るがした、キツツキの呼称はのちにおいおいと紹介していきます。

③https://www.osp.osaka-info.jp/jp/facility/detail?id=15より引用の四天王寺

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   妖怪寺つつきの現場が二つあるといいましたが、私は大阪府に住んでいますので、③の写真の天王寺区にあれ四天王寺を選びました。その話の内容は、古来の神々を信仰していた物部守屋が、聖徳太子と蘇我馬子に討伐された後、寺つつきという怨霊になって、仏法に障りを成すため、太子の建立した寺を破壊しようとしているのだとされています。その寺つつきの正体はアカゲラだとされています。キツツキには色んな仲間がいて、クマゲラの生息地は東北や北海道、コゲラは小さすぎ。

アカゲラ(体長約24㌢)

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   クマゲラが何か体長約46㌢の大きなキツツキとしても有名で、さぞ迫力を持って建物を破壊するだろうと思っても、本土には生息することが薄いとなれば、このクマゲラでもない。また最近では街中に進出してきた体長約15㌢のコゲラにしてもあまりにも小さすぎて、迫力に欠けます。そうなってくると、本土には幅広く生息するキツツキはということになりますと、アカゲラが浮かび上がります。寺つつきの正体は、アカゲラだと言われています。このアカゲラがクチバシで寺中をつついて破壊しようとしていた妖怪だったのです。

⑤https://ja.m.wikipedia.org/wiki/聖徳太子より引用の物部守屋の画

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   この⑤の物部守屋が、変身した妖怪寺つつきの討伐に立ち上がったのが、鎌倉時代の軍事物語「源平盛衰記」によると、聖徳太子は鷹になり、寺つつきに対抗したところ、寺つつきは二度と現れなくなったといわれます。ここからが、あんまり知られていない話しとして、聖徳太子は四天王寺を再建される時に、戦いに負けた物部守屋の御霊を四天王寺の境内地に祀られ、さらに守屋の家来達を寺の公人として使役されたといいます。ここまでされたら、物部守屋も納得したと思います。


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