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第2034回 カワセミとモズ

①https://katsuk.exblog.jp/4539598/より引用の右のカワセミを追う左のモズ

   色んな身近な鳥の繁殖形態をご紹介させて頂いているうちに、私が好きでハンドルネームの翆野大地の「翆」はこの世の中の鳥と構造色がとても魅力的なカワセミの漢字表記のひとつです。そして、モズは男らしくて、このnoteの私のブログの顔紹介にもなるほど好きな鳥です。そしてそんな私のお気に入りの二種の鳥が、①のタイトル写真には一枚の写真に収まっています。恐らくカワセミは捕獲した小魚をクチバシで咥え食べようと、ダイブした木の枝に戻り食べようとしていたところに、お腹を空かしたモズが現れ、カワセミが捕獲した小魚を横取りしようとしたのではないかと思われます。いやひょっとしましたら、このカワセミを捕獲しようというのかもしれません。何しろ自分より小さなスズメは当たり前、自分より大きなヒヨドリさえも捕らえて引きずっている写真をネットで見つけた事があり、モズは「鷹になれなかった雀」と揶揄されますが小さな猛禽です。

②-1.https://nagomian.blog.ss-blog.jp/2020-07-15より引用のつがいのカワセミ(左がオス、右がメス共に体長約17㌢)

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②-2.https://www.google.co.jp/amp/s/plaza.rakuten.co.jp/kawasemibyou/diary/201406210000-amp/より引用の右のオスから左のメスに求愛給餌の求愛行動のカワセミ

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   カワセミは古くは「そにどり」とか「そに」「そび」とその名付けの由来はカワセミの『セミ(背美』すなわち背中の美しい鳥の意味があります。そういう観点からカワセミの名前の漢字表記を見てみますと「翡翠」と言われる表記がぴったり当てはまるように思います。この鳥は双方綺麗な雌雄同色ですが、②-1.の写真をご覧頂きますと、右側がメスですが、クチバシの下の部分が口紅を塗ったように紅いです。なんとも雌雄の区別がつきやすいことでしょう。カワセミの求愛は②-2.の写真のように求愛給餌で人でいうプロポーズを行います。受けるメスは翼を下げ細かく震わせながらクチバシを開け、まるでヒナが餌をねだるような姿勢をとります。 この求愛行動をメスが受けるとつがいになり、カワセミは3〜8月がカワセミの繁殖期で、つがいが協同で抱卵とヒナへの給餌に励みます。 桜が咲く頃にカワセミのオス同士の縄張り争いが起こります。 普段は単独でしか姿を見ないカワセミも、この時期にはオス二羽が縄張り争いを演じます。縄張り争いはつがいのためです。

③-1.https://nagomian.blog.ss-blog.jp/2020-07-15より引用のつがいのカワセミ(左がオス、右がメス共に体長約17㌢)

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③-2.https://doudesyo.blog.ss-blog.jp/2009-06-30より引用の左のメスが右のオスから受けるモズの求愛給餌

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   モズの繁殖形態はカワセミもそうですが一夫一妻です。しかし両種ともカラスやツル、ハクチョウのように一生涯のものではありません。一繁殖ごとにつがい相手を代えます。モズの雌雄の区別は雌雄同色ですが、メスのカワセミのクチバシの紅い色と同じように、③-1.の写真のオスの顔の裸眼線はメスと比べて濃くなっています。モズは2〜8月に繁殖期を迎えます。その時の求愛行動は名前の由来ともなっています様々な鳥を例えて「百の鳥」の鳴き声を真似た、複雑なさえずりを行うことから、「百の舌を持つ鳥」として、漢字表記の代表的なものは『百舌鳥』としました。そのくらい鳴き真似が上手ですから、高い木の天辺から鳴き真似をしてつがい相手を見つけ、カワセミもそうですが、③-2.の写真のように意中のメスに対して求愛給餌を行います。肉食の鳥の共通点です。

④-1.https://maruyama-isamu-atsugi.muragon.com/entry/27.htmlより引用の巣穴を掘るオスとそれを見届けるメスのカワセミ

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④-2.http://wakakusa3.sakura.ne.jp/HP8209.htmより引用のカワセミの子育て

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   カワセミはつがいになりますと、人が結婚致しましたら新居を探しますように、人も新居の環境を女の人が探し決めるようにこの鳥もメスが見定めます。④-1.の写真のようにメスが見守るなか、オスはその場所目掛けてクチバシから突進し、特有の趾の指を使って掘り出します。これを雌雄平等に行うところは人とは違います。当初は後ろ向きに出てくる姿が巣穴で方向転換し、前向きで外に出るようになれば完成です。カワセミは予備の巣も作るのも一般的ことです。地中とはいえ、浸水や蛇の侵入とかのことを考え、ダミーの巣を造らります。完成した巣の中は約50〜90㌢の深さがあり、一番奥は膨らんでおり、それが産座となって3〜4個の卵を産みます。抱卵日数は約18~20日。抱卵は、日中は1時間程度交代で、夜間はメスが担当します。抱卵の初期は、巣の中にいる時間も短いですが、次第に長くなり、数時間出てこなくなります。抱卵時間の長いメスのお腹は白っぽくなります。オスは抱卵初期までは、メスの為に給餌しますが、何れ給餌はしなくなります。孵化から巣立ちまでは22~26日で、育雛も雌雄共同で行います。繁殖期のカワセミは実に良い鳥です。

⑤-1.https://kakapoyo.blog.fc2.com/blog-entry-41.htmlより引用のモズの営巣

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⑤-2.https://ganref.jp/m/1949031665629/portfolios/photo_detail/3312963より引用のモズの子育て

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   カワセミと同じくモズの繁殖期では素晴らしい相手想いの優しい鳥です。繁殖形態が一夫一妻のこの鳥の繁殖期は2〜8月に⑤-1.の写真のように、樹上や茂みの中などに木の枝などを組み合わせた皿状の巣を雌雄で作り、4〜6個の卵を産みます。年に二回繁殖することもあります。残念なのはカッコウに托卵されることもあります。メスのみが抱卵し、抱卵期間は14〜16日。ヒナは孵化してから約14日で巣立ちます。しばらくの間は集団で生活をし、やがて自分の縄張りをもって単独で暮らすようになるのです。それまでは、まだ狩をすることができませんので、雌雄の親鳥が⑤-2.の写真のように給餌します。繁殖期のモズは良い鳥です。

⑥-1.http://blog.livedoor.jp/aoirotoridori/archives/51225980.htmlより引用のカワセミ同士の喧嘩

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⑥-2.https://www.google.co.jp/amp/s/plaza.rakuten.co.jp/resquerope/diary/200608130000-amp/より引用のカワセミの亡骸

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   カワセミモズの二種は繁殖期には、これまで紹介致しましたように、つがい相手や子育てに関してはとても愛情溢れる行動を行い、私たち人間も見習わなければならないと思うことは多々ありますが、それが一度繁殖期を離れますと、信じられないことが二種に起こります。カワセミは地上とはいえ、土手などの横穴に営巣し、4〜7羽の沢山のヒナを育てます。子だくさんは死亡率が高いからで、他の野鳥が二週間くらいの巣立ちに対して、この鳥は3〜4週間かかります。その幼鳥たちの本当の巣立ちを期に非繁殖期に突入します。その時にはつがい関係も解消され、一羽ごとに縄張りしますので、その密度が高くなり、⑥-1.の写真のようにつがい同士、親子同士でも対峙して縄張りを争います。悲しいことに猛禽類のように狙った獲物は仕留めますが、喧嘩相手には仕留めません。カワセミには手加減がなく、最悪は⑥-2.の写真のように、身内であろうとも手加減なしです。

⑦-1.https://yoskita.at.webry.info/201710/article_1.htmlより引用のモズの高鳴き

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⑦-2.https://msachiko1.exblog.jp/29616374/より引用のモズの速贄

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   モズカワセミ同様に肉食と言っても、小鳥まで捕食する猛禽類までいかなくてもハンターに変わりありません。そのこの鳥も繁殖期を過ぎる晩秋の頃になりますと、つがいや親子関係も解消され、モズの行動ではひとつの有名な⑦-1.の写真の高鳴きを高所の木立ちの天辺から、これから新たな縄張りであることを「キチキチキチ」と鳴き声高らかに宣言致します。こうなればいままでのつがい相手も若鳥に育った我が子も縄張りから追い出します。そして最も有名なモズの行動の⑦-2.の写真の速贄を縄張り内に作ります。一説には食糧確保とか、自分の縄張りの証とか、色んな説はありますが、戦線布告には変わりありません。カワセミ同様に孤独な闘いの始まりです。殺し合いこそしなくても、生きるための縄張り確保です。

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