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第1616回 国鳥キジ

①https://ja.m.wikipedia.org/wiki/桃太郎より引用の山東庵京伝(山東京伝)著『絵本宝七種』(蔦屋重三郎刊、1804年)より。

   日本に於いて、キジを有名にしたのはやはり、昔話の「桃太郎」しかありません。いまの世の中より、普段から人達の身近にいたと思われるキジ。繁殖期の子育て中に縄張りを侵して、ヒナを襲おうとする外敵のキツネやヘビを相手に、勇敢に立ち向かうオスキジ。真っ赤に膨れ上がった肉垂れを震わせて威嚇するその姿に、桃太郎も鬼を退治するには、イヌの忠誠心、サルの知恵、そしてキジの勇敢さを買って、いざ青鬼や赤鬼の待ち受ける鬼ヶ島に赴き、見事に鬼征伐に成功しました。

②-1.https://kosenkaitori.info/furushihei/ken_nihonginkoukendgou/より引用の福沢諭吉の一万円札のつがいのキジ

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  ②-2.http://www2.isl.co.jp/SILKYPIX/japanese/special/yacho/photo_bbs/?mode=al2&namber=3130&rev=&no=0?r&KLOG=2より引用のつがいのキジ(手前がオス体長約80㌢、奥がメス体長約60㌢)

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   そのキジの勇敢な男っぷりが認められて、日本の国鳥になったのかと思っていましたら、なんの日本の国鳥を選定する際、理由の一つが『狩猟鳥として親しまれている』というものでしたから、私自身がっかりしました。国鳥を狩猟対象としている国は日本以外にはないようです。また岩手県と桃太郎発祥の地である岡山県の県鳥にも選ばれています。また②-1.のように1984年から発行された福沢諭吉の一万円にキジがつがいの姿で登場しています。②-2.のようなキジがお札になってます。

③-1.https://www.google.co.jp/amp/s/tenki.jp/amp/suppl/usagida/2017/01/15/19221.htmlより引用のキジの羽ばたき

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③-2.http://diastataxy.jpn.org/sr1131_kiji_tarsal_spur.htmlより引用のオスのキジの蹴爪

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   キジが勇敢な理由の一つに、樹上性から地上性へ進化し、地上性に関連し、外敵も多く多卵性となり、夜は枝で寝ます。後羽は体羽と綿羽には羽軸から派生した後羽があり、保温に役立ちます。胸の筋肉には毛細血管が少なく、必要な酸素が素早く供給されないため、短時間しか飛べません。また地上で闘う時には、距(けずめ)があり、これはオスに生じる骨状突起で脚の後内側面に発達しています。キジの仲間にありメスにも稀に生じます。

④-1.https://ganref.jp/m/mukkun/portfolios/photo_detail/2648673より引用のキジの母衣打ち

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④-2.http://sanganshimizu.o.oo7.jp/sizen/kanrinin/120923pheasant/120923pheasant.htmより引用のキジの子育て

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   キジの繁殖は、1月15日からは七十二候「雉始雊(きじはじめてなく)」。キジのオスがメスを求めて鳴き始める頃と言われます。鳴き声は「ケーン、ケーン」が縄張り宣言「ケッ、ケッ、ケッ」警報鳴き「他のオスに対して、自分の縄張りに入らないように警告「ケーケーケー」敵対鳴きなどなど。メスはオスの縄張りに入り交尾をすますと別のオスの縄張りに行きます。オスは巣には関与せず、巣を守るのはメスの役割で、巣作り、抱卵、育雛の全てをメスがし、補充産卵性が強いです。

⑤-1.https://zaonofumoto.blog.fc2.com/blog-entry-2707.htmlより引用のつがいのヤマドリ(奥がオス体長約125㌢、手前がメス体長約55㌢)

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⑤-2.http://interesting.world.coocan.jp/hphp/b/kbpc/i/i-0799.htmより引用のヤブツカツクリ(体長約70〜90㌢)

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⑤-3.https://alpine115mao.blog.fc2.com/blog-entry-457.htmlより引用のヤブツカツクリの巣

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⑤-4.https://ikimono-matome.com/hoatzin/より引用のツメバケイ(体長約60〜65㌢)

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   日本のキジの仲間の代表格は⑤-1.のヤマドリです。中国からの外来種で、キジよりも大きく、一夫一妻と言われます。他にはウズラライチョウ、やはり中国からの外来種のコジュケイがいます。意外なキジの仲間には、⑤-2.のツカツクリがいます。卵を塚と呼ばれる⑤-3.の営巣に埋めて、地熱や発酵熱を活かして抱卵せずに孵化させます。またツメバケイは、ヒナの時に翼の肘から二本の爪を持ち、飛べるようになる頃に消失(孵化後二週間以内)します。また植物しか食べません。


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